洋上風力発電事業誘致の早期実現に向けた取組を求める決議(案)
カーボンニュートラル実現に向けて再生可能エネルギーの重要性が高まっており、周囲を広大な海に囲まれている我が国では、洋上風力発電が再生可能エネルギーの切り札として導入拡大することが期待されている。
また、洋上風力発電は、規模の大きな発電が可能であることに加え、開発海域の周辺地域に大きな経済効果が期待され、さらに、風力発電設備自体が漁礁となることで、漁業振興に繋がることも期待されている。
佐賀県内では、唐津市沖が洋上風力発電の適地とされ、平成30年度から「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に係る法律(再エネ海域利用法)」に基づく事業誘致の検討を進めており、令和3年9月には、国が唐津市沖を「一定の準備段階に進んでいる区域」として整理されたことが公表されている。
しかしながら、事業誘致の検討開始から既に5年以上が経過しているものの、未だ法定協議会が設置される「有望な区域」にはなっていない。
このような中、唐津市玄海地区の漁業は、海水温の上昇等により海洋環境が変化し漁獲量が減少し、漁業家数の減少や高齢化、後継者不足などで衰退の一途をたどり、漁業の再生は一刻の猶予も残されていない状況となっている。唐津市沖に洋上風力発電が設置されることが決まれば、建設に向けた調査段階から発電事業終了後に撤去が完了するまでの長期にわたり、漁船が調査船や警戒船等の用途で活用されるだけでなく、発電設備の定期点検など新たな雇用の創出が見込まれ、人口減少に歯止めがかかることも期待される。
ついては、再生可能エネルギーを推進している佐賀県は、洋上風力発電事業の誘致を早期に実現するため、唐津市や地元住民と連携し、法定協議会の設置に向け環境整備に努め、速やかに国へ申し入れするよう強く求める。
以上、決議する。
令和6年3月 日
佐賀県議会