意第5号
可決
交通事故等による被害を受けた胎児に係る法整備についての意見書(案)
昨年5月、愛知県一宮市において交通事故により妊婦の尊い命が失われ、緊急帝王切開で出生した女児に重篤な障害が残るという痛ましい事故が発生した。遺族にとっては最愛の家族を失った悲しみと、女児の将来への不安を抱える二重の悲劇となっている。
人口10万人あたりの人身交通事故発生件数が全国ワーストレベルにある本県においては、交通事故による被害は県民にとって極めて身近な問題であり、妊婦や胎児が巻き込まれる重大事故が本県で発生しても何ら不思議ではない。
しかしながら、現行法において胎児は刑法上の「人」とはされておらず、母体の一部として扱われるため、交通事故等による加害行為によって胎児が重大な被害を受けた場合であっても、その被害が十分に法的評価を受けているとは言い難い状況にある。
被害者家族からは、生まれてきた子どもも被害者として扱ってほしいとの切実な声が上がっており、この遺族の思いに賛同するオンライン署名は13万筆を超えている。そこには、現行制度と国民の命に対する認識との間に大きな隔たりがあることが表れている。
近年の医学の進歩により、胎児は出生前から一人の命としてその成長や健康状態を詳細に把握できる時代となった。にもかかわらず、被害発生時点が出生前か出生後かによって法的評価に大きな差が生じる現状は、命の尊厳、公平性及び被害者救済の観点から課題が残されていると言わざるを得ない。
よって、国においては、交通事故等による被害を受けた胎児に係る法整備を図るため、下記事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。
記
1 交通事故等による母体への加害行為によって胎児が出生後に死傷した場合における自動車運転処罰法等の処罰規定について、刑法上の見直しも含めた議論を行うこと。
2 死傷した胎児についても、刑事訴訟法上の犯罪被害者参加制度における被害者としての地位が認められるよう、制度及び運用の改善を図ること。
3 交通事故等により出生前に障害を負った子どもとその家族が、生涯にわたり十分な医療、福祉及び経済的支援を受けられるよう、自賠責保険制度の拡充をはじめとする公的な被害者支援体制の充実を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和8年7月 日
佐
賀 県 議 会
衆議院議長 森 英介 様
参議院議長 関口 昌一 様
内閣総理大臣 高市 早苗 様
法務大臣 平口 洋 様
国土交通大臣 金子 恭之 様
以上、意見書案を提出する。
令和8年7月1日
提出者 全議員
佐賀県議会議長 宮原 真一 様