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平成12年2月定例県議会 知事提案事項説明要旨

最終更新日:
 
平成12年2月定例県議会

本日、平成12年2月定例県議会の開会にあたり、県政運営について所信の一端を申し上げますとともに、提案いたしました平成12年度当初予算案並びにその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。 
今年は、西暦2000年という節目の年であり、また、平成12年度は、21世紀への橋渡しの役割を担うとともに、新世紀の幕開けを迎える記念すべき年度であります。 
私にとりましても、今年は、「住みたい県日本一」 づくりを掲げて知事に就任以来、10年目を迎える節目の年に当たり、今一度、初心にたちかえり、県民の皆様の英知と総力を結集して、明るい夢と希望を持つことのできる、活力に満ちた新世紀の佐賀を築いてまいりたいと考えております。 
さて、現在、私達は、グローバル化や情報化が急速な勢いで進展していく時代を迎えております。 
このような時代には、独創的な技術や新しい産業の創出が経済発展の原動力となり、また、優れた才能や創造性を持つ個性的な人材が、知恵を絞り、勇気を出して、様々な分野で絶えず先駆的な挑戦を試みることによって、社会の活性化が図られてまいります。 
とりわけ、インターネットの普及拡大に代表される近年のめざましい情報通信技術の進展により、知恵の時代を反映した新しいビジネスが次々に生まれるとともに、生活様式が多様化し、私達の暮らしも大きく変わってまいりました。 
私は、このような時代の変化に即応して、インターネット等の情報通信技術を、産業、教育、行政等の幅広い分野に活用して県勢の発展を図るため、情報通信基盤の整備に力を入れてきたほか、道路、下水道など身近な社会資本につきましても計画的な整備を促進するなど、佐賀県が21世紀に飛躍するための布石となる事業を着実に推進してまいりました。 
特に、昨年は、若者や次代を担う子供たちが、様々な体験を通じて自らの夢や希望を実現できるよう「みどりの森県営球場」、「波戸岬少年自然の家」、そして「宇宙科学館」などの施設を相次いでオープンさせることができました。 
私は、今後とも、県民が多様な個性、創造性や技術力を遺憾なく発揮できるための基盤づくりを推進するとともに、 恵まれた自然環境など佐賀のよさを十分に生かして、真の豊かさを実感でき、安全で安心して暮らせる、住みよい佐賀を築いてまいりたいと考えております。 
ところで、本年4月から地方分権一括法が施行され、国と地方は、上下・主従の関係から対等・協力の関係に変わることとなります。 
また、これからの分権型社会には、各地方自治体にこれまで以上の自立が求められ、自己決定、自己責任が問われることとなってまいります。 
このような中で、基礎的自治体である市町村が、少子・高齢化の進展に伴う義務的負担の増大に対処するとともに、 多様化する住民ニーズに的確に応えていくためには、財政基盤の強化と行政の効率化が不可欠となっております。 
そこで、本県におきましても、市町村の自主的合併を積極的に推進していくことが緊急の課題であると考えております。 
また、県では、これまでにも、地方分権の時代にふさわしい、簡素で効率的な行政システムをめざして、事務事業や組織機構の見直しを進めてまいりましたが、今後とも、さらに積極的に行政改革の推進に取り組んでいく所存であります。 
さて、最近の我が国の経済は、平成9年度、10年度と戦後初の2年連続マイナス成長を記録するという大変厳しい状況にありましたが、平成11年度に入り、各種の政策効果の浸透に加え、アジア経済の回復の影響もあって、緩やかな改善が続いております。 
しかしながら、個人消費、設備投資などの民需の回復力は弱く、雇用情勢についても、失業率が高い水準で推移するなど、我が国経済は、なお厳しい状況にあります。 
このようなことから、国の平成12年度予算につきましては、我が国の経済を本格的な回復軌道に繋げていくための積極的な予算編成がなされたところであります。 
県内経済につきましても、工鉱業生産が平成11年4月以降、前年に比べ、プラスで推移するとともに、企業倒産も前年度を下回って推移するなど、一部に明るい材料が見られるものの、個人消費が低調で有効求人倍率も低水準にあるなど、厳しい状況が続いております。 
県といたしましては、これまで、国の経済新生対策などの景気雇用対策に呼応して、公共事業及び県単独事業の追加等、機動的かつ可能な限りの措置を講じてきたところでありますが、今後とも、県内外の経済情勢を十分見極め、 適切に対応してまいりたいと存じます。 
一方、平成12年度の地方財政計画におきましては、経費全般について徹底した節減合理化を推進し、歳出の抑制を図るとともに、地方税収の確保等を図ることにより、極力財源不足の縮小に努めることとされております。 
また、特別の措置として、地方の財源不足に対する補てん措置のほか、景気に配慮して臨時経済対策事業を継続するための措置や、情報化、環境への対応、技術開発など、21世紀に向けた新たな発展基盤を緊急に整備するための措置が講じられたところであります。 
このようなことから、本県の平成12年度当初予算につきましては、国の予算及び地方財政計画に即応しながら、 新世紀に向けて佐賀県が発展していくために必要な事業については積極的に取り組んでいくことを基本として、事業の厳しい選択や徹底した事務事業の見直しなどを通じて、限られた財源の重点的、効率的配分に努めながら編成したところであります。 
この結果、平成12年度当初予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
一 般 会 計 4,937億円
特 別 会 計 約 103億1,400万円
となっており、一般会計におきましては、前年度6月現計予算と比較いたしますと、ほぼ同額となっております。 
また、公債費や地方消費税の清算金支出等を除いた一般歳出では、1.4パーセントの減となっております。 
なお、公共事業につきましては、国の認証見込額約751億1,000万円を計上するとともに、県単独事業につきましては、約644億500万円を計上いたしております。 
以下、予算案の主な内容について、新総合計画の基本方向に沿って申し上げます。 
第一は、『健康で心やすらぐ佐賀をめざして』についてであります。 
88万県民全てが安全に安心して暮らしながら、お互いに助け合い、 県民一人ひとりが楽しく活躍できる、「健康で心やすらぐ佐賀」をめざしてまいります。 
はじめに、保健医療対策について申し上げます。 
県民一人ひとりが健康で生き生きと活躍できる社会を実現するため、健康寿命の延伸や生活の質の向上をめざして昨年策定した「佐賀県健康プラン」に基づき、関係機関や団体と連携して、健康づくり・疾病予防対策を総合的に推進することといたしました。
  また、がんや糖尿病等の生活習慣病に対する取組みを充実するとともに、寝たきり予防のため、地域リハビリテーションの体制確立を図ることといたしております。 
さらに、感染症新法の施行や最近の結核の動向に対応し、感染症指定医療機関の整備等を行うことといたしました。 
医療体制の充実につきましては、県立病院好生館の将来構想について、有識者懇談会の報告を踏まえ、新しい好生館の基本構想策定等の検討に必要な基礎調査及び資料の収集等を行うことといたしました。 
また、二次保健医療圏における救急患者実態調査等を実施し、地域における救急医療の充実のための課題及び必要な施策の基本方向について検討することといたしております。 
次に、福祉の充実について申し上げます。 
高齢者福祉の充実につきましては、市町村が行うひとり暮らしの高齢者等に対する介護予防・生活支援サービス事業や、高齢者を介護している家族の負担の軽減を図る事業を支援することといたしております。 
また、これらと併せて、高齢者が生きがいを持って安心した生活を送ることができるよう、地域の実情に応じたサービスを提供する事業に対し、助成することといたしました。 
さらに、市町村が行う生きがいデイサービスを提供するための基盤整備等に対して助成するとともに、高齢者が生涯現役として活躍できる社会づくりを推進するため、高齢者大学の定員の増加を図ることとし、所要の経費を計上いたしております。 
このほか、平成12年度から始まる県の新高齢者保健福祉計画及び介護保険事業支援計画に基づき、 特別養護老人ホームや痴呆性老人グループホーム等の整備に助成するなど、介護サービス基盤の整備を行うことといたしております。 
本年4月から施行される介護保険につきましては、介護サービス事業者の指導、 低所得利用者に対する助成、保険者の財政安定化対策等を構ずることにより、制度の円滑な実施運営に努めることといたしております。 
障害者福祉の充実につきましては、障害者の就労の場である授産施設等が、共同で受注、販売、製品開発などを行うための方策を探る「授産活動活性化特別対策事業」 を実施することといたしました。 
また、家庭での介護が困難な重度障害者のための知的障害者更生施設の増築や、障害者が自立した生活を送るための知的障害者授産施設の整備に助成することといたしております。 
少子社会対策につきましては、「さがエンゼルプラン」に基づき、保育所の特別保育事業や放課後児童健全育成事業を実施するほか、新たに認可外保育施設の児童の健康・安全対策に取り組むなど、子育て支援の環境づくりを推進することといたしました。 
また、少子化に関する広報啓発事業に引き続き取り組むとともに、若い世代を対象とした出会いのきっかけづくりの支援や、不妊に悩む方々のための相談体制等の充実を図るため、所要の経費を計上いたしております。 
男女共同参画社会の形成につきましては、女性センターを拠点として、男女平等意識の定着や女性の自立のための各種講座・セミナー等を実施するほか、男女共同参画施策を総合的かつ計画的に推進していくための指針として、 「男女共同参画計画」を策定することといたしました。 
交通安全対策の推進につきましては、極めて憂慮すべき事態にある交通死亡事故の発生を抑止するため、市町村や関係団体と連携して県民運動を展開し、交通安全意識の高揚と交通マナーの向上を図ることといたしております。 
また、交通事故による死亡者の約6割を占める高齢者及び若者に重点をおいた広報啓発活動や、これらを対象とした参加体験型の交通安全事業を実施することといたしております。 
原子力防災対策につきましては、昨年9月の茨城県東海村での臨界事故を踏まえ、防災活動に使用するための資機材について目標数量を配備するほか、玄海原子力発電所周辺に放射線測定局を増設するため、所要の経費を計上いたしました。 
また、被ばく医療体制の確立を図るため、緊急時医療中核施設に充てている唐津赤十字病院内に、被ばく医療に必要な施設及び機器の整備を行うことといたしております。 
県土の保全につきましては、安全でうるおいのある県土と緑豊かな生活環境を形成するため、山地災害の復旧・予防等を行う治山事業、地すべり防止事業、保安林整備事業等を計画的に実施することといたしております。 
第二は、『多彩な文化を創る佐賀をめざして』についてであります。 
県民が日常生活の中にゆとりやうるおい、楽しさを求めている中で、各人が文化に親しみながら充実した時間が過ごせるような「多彩な文化を創る佐賀」をめざしてまいります。 
まず、県民に優れた芸術を鑑賞する機会を提供するため、「県民芸術文化劇場」を開催することといたしております。 
また、本県が世界に誇る陶磁器を広く紹介することを通じて、陶磁器文化の振興と本県のイメージアップを図るため、大英博物館において佐賀県陶芸展を開催することといたしました。 
さらに、博物館等の文化施設における特別企画展として、九州陶磁文化館では、開館20周年及び日蘭交流400年を記念して「古伊万里の道展」を、県立博物館では、開館30周年及び西暦2000年を記念して「佐賀2000年・名宝の旅展」を、名護屋城博物館においては、日韓交流の窓口になった慶尚南道地域の歴史と風土と現在の交流の姿を紹介する「交流の窓・倭館(わかん)と交易展」を開催することといたしております。 
また、本県の幕末から維新期にかけての歴史・文化をテーマとした「歴史資料館 (仮称)」の建設につきましては、 このたび建物建築設計及び展示基本設計を行うとともに、 その建築用木材として県有林材を活用するために必要な経費を計上いたしました。 
吉野ヶ里歴史公園につきましては、平成13年度当初の第一期開園を広くアピールし、本県から全国に向けた情報発信、 地域の活性化、公園への誘客促進を図るため、開園記念式典及び記念イベントを実施することとし、その事業主体となる「吉野ヶ里歴史公園開園記念事業実行委員会 (仮称)」に対し、応分の負担を行うことといたしております。 
また、展示機能の充実を図るとともに一層の普及啓発を促進するため、吉野ヶ里遺跡の展示室を改修することといたしております。 
このほか、本県の良好なイメージの形成と定着を図るため、新聞・テレビ等の様々な媒体を活用し、首都圏、関西圏をはじめ全国に向け、佐賀情報の発信を行うことといたしております。 
また、本県のすばらしい自然や歴史、文化等を盛り込んだ歌を通して、県民が郷土のすばらしさを再認識し、 郷土に対する愛着と誇りを感じてもらうため、「さが・ふるさとの歌」を制作し、完成発表会の開催や各種普及活動を展開することといたしております。 
第三は、『きらめく人を育む佐賀をめざして』についてであります。 
21世紀の本県の発展を担う、たくましさと思いやりを持った人間性豊かな人づくりや、各人の持つ個性や能力、創造性を最大限に伸ばし、意欲的な人材を育成する「きらめく人を育む佐賀」をめざしてまいります。 
教育内容の充実につきましては、たくましく健やかな子供達を育成するため、引き続き「教育ルネサンス21さがっ子育成アクションプラン」の充実・強化を図りながら、県民運動として「教育県佐賀の再生」に取り組んでいくことといたしております。 
まず、社会教育においては、新たに、「教育ルネサンス21地区大会」や「トップセミナー」を開催するなど、啓発事業を充実するほか、幼児期に身につけるべき基本的な生活態度を養成するための体験学習事業や、子育て支援ネットワークの充実を図っていくことといたしております。 
学校教育においては、引き続き、スクールカウンセラーを県下の中学校区全てに配置するほか、特に、問題行動の多い中学校に対しては、生徒指導をより徹底できるよう非常勤講師を配置するとともに、基礎学力の定着を図るため、全ての小中学校でティームティーチングを実施するなど、施策の充実を図っていくことといたしております。 
さらに、学習や交流を通して国際社会に貢献できる資質と能力を育成するため、西暦2000年を記念して、高校生を米国等に1年間留学させる「高校生海外留学研修事業」を実施することといたしました。 
また、コンピュータやインターネット等を活用した教育の展開など、情報化に対応できる教育を推進するため、教育用コンピュータの整備を促進するとともに、新たに佐賀工業高校ほか3校に校内情報ネットワークを整備することといたしております。 
教育環境の整備につきましては、多久工業高校を平成14年度から総合学科へ改編し、教育内容・教育方法の新たな展開を図るため、施設の改築・改修の設計を行うことといたしております。 
また、現在、唐津市に建設中の県立養護学校につきましては、引き続き事業の進捗を図るとともに、平成13年4月開校に向け、その準備のため、所要の経費を計上いたしております。 
さらに、本県の教育、文化、経済等の発展を図るとともに、個性豊かな人材の育成をめざすため、21世紀の新たな県づくりにふさわしい大学等高等教育機関の導入について、引き続き検討を行うことといたしております。 
スポーツの振興につきましては、8月に本県で開催される予定の「全国中学校体育大会」の体操及び新体操競技会、並びに、11月に本県で開催される予定の「第4回アジアソフトテニス選手権大会」の大会運営費に助成することといたしました。 
さらに、平成19年度に本県で開催を予定している「全国高等学校総合体育大会」に向けて、競技開催地の決定や競技運営・施設整備の方針等を策定するため、準備委員会を設置することといたしました。 
スポーツ施設の整備につきましては、県民が夜間も野球を楽しむことができるとともに、プロ野球も開催できるナイター設備を森林公園内の「みどりの森県営球場」に整備することといたしております。 
青少年の健全育成につきましては、子どもたちに離島での生活体験・自然体験や様々な交流を体験させるため、 「九州北部三県子ども離島体験事業(仮称)」を実施することといたしております。 
科学技術の振興につきましては、県内の産業技術研究活動の活性化を図るため、創造性豊かで意欲に富む若手研究者が、窯業技術センター及び工業技術センターで一定期間研究活動を行う「佐賀県科学技術研究員制度」を創設することといたしました。 
また、新世紀を見据えて、新しい産業を生み出す技術革新に取り組むため、産学官で構成される共同研究体から革新性の高い技術開発に関する研究を募り、優秀な提案に対して助成する「新世紀戦略型技術移転推進プロジェクト事業」を実施することといたしました。 
さらに、次世代の産業技術を創出するため、九州で初めての 「シンクロトロン光応用研究施設」を鳥栖北部丘陵新都市用地に設置することとし、実施設計を行うことといたしております。 
第四は、『たくましく産業が伸びゆく佐賀をめざして』についてであります。 
社会経済環境の変化に対応しながらそれぞれの産業の高度化・高付加価値化を促進し、多彩で創造的な産業が発展する「たくましく産業が伸びゆく佐賀」をめざしてまいります。 
まず、 農業の振興について申し上げます。 
本県の基礎産業である農業の持続的な発展を図っていくためには、体質の強い佐賀農業の構築と活力に満ちた農山村を形成することが重要であります。 
このため、まず、土地利用型農業の振興につきましては、需要に応じた米の計画的生産と麦・大豆等の本格的生産を進めて、安定した水田農業経営を確立するため、 作付の計画的な団地化や農地利用の地域間調整を推進する「さが水田農業経営確立対策事業」を新たに実施することといたしております。 
園芸の振興につきましては、一層の高品質化等による競争力のある産地の形成や高収益な経営を展開する園芸農家の育成を図るため、ハウス施設や省力機械の整備、新技術導入等を総合的に推進する「21世紀さが園芸農業確立対策事業」を引き続き実施するとともに、農業協同組合が行う果樹や野菜の高性能選果機の整備等に対して助成することといたしました。 
畜産の振興につきましては、「佐賀牛」の生産基盤の強化に向け、受精卵移植技術を活用し、遺伝能力に優れた子牛の効率的な生産体制を整備する「受精卵利用繁殖基盤強化モデル事業」を実施することといたしております。 
また、受精卵移植関連技術の実用化を促進するため、 受卵牛の頭数を増加させるとともに、畜産試験場の施設を整備することといたしました。 
担い手づくり対策につきましては、農業青年の資質の向上と自主的な活動を強化し、次代の佐賀農業・農村の担い手として育成するため、「第12回全国農業青年交換大会」 を開催することといたしております。 
中山間地域の振興につきましては、中山間地域等において農地の多面的機能を発揮させるため、適切な農業生産活動を継続的に行う農業者等に対し、農業生産条件の不利を補正する「中山間地域等直接支払」を新たに実施することといたしております。 
林業の振興につきましては、森林の公益的機能の増進と林業経営の安定化を図るため、間伐などの森林整備を行う造林事業や林道整備事業等を引き続き促進することといたしております。 
次に、水産業の振興について申し上げます。 
本県水産業を取り巻く厳しい環境を踏まえ、玄海及び有明海両地域の水産業の振興を図るため、各種施策に積極的に取り組んでまいります。 
つくり育て、管理する漁業の推進につきましては、玄海地域において、栽培漁業をより一層推進するため、引き続きアワビ、ウニなどの種苗生産を目的とした施設の整備に取り組むこととし、所要の経費を計上いたしました。 
また、水産資源の増大を図るため、魚介類の産卵場や幼稚仔(ようちし)の保育場となる藻場の造成事業を新たに実施することといたしております。 
さらに、有明海地域において、ノリ養殖漁家の経営の安定等を図るため、ノリ養殖業の協業化を強力に推進するほか、水産資源の回復を図るため、引き続き、タイラギを対象とした増殖場の造成を実施することといたしました。 
漁港・漁村の整備につきましては、引き続き、漁村集落の生活環境の整備を推進するほか、有明海地域の河川内漁港を中心とした漁港の浮泥対策に重点的に取り組むことといたしております。 
このほか、豊かな水産資源を持ち、また多くの貴重な生物が生息する 「宝の海」 である有明海をテーマに関係県との連携によりシンポジウムを開催し、有明海の環境保全に対する県民の意識の高揚を図ることといたしております。 
次に商工業の振興について申し上げます。 
持続的な地域経済の発展と多様な雇用を創出するためには、県内にある技術、人材、資金などの経営資源を生かして、新事業・新分野への展開やベンチャー企業の創出などが促進される機運や環境づくりが必要となっております。 
そこで、まず、県内における創業・ベンチャー・経営革新を積極的に促進するため、財団法人佐賀県地域産業支援センターを支援拠点として位置づけ、プロジェクト・マネージャー等を配置するなど、組織、機能の拡充を図るほか、県内5か所に「地域中小企業支援センター」を設置することといたしました。 
また、「ネットコムさが推進協議会」が行う、県内ケーブルテレビ網やギガビット・ネットワークを活用した高度情報通信の実用実験の実施並びにケーブルテレビ局が行う情報通信基盤の高度化を引き続き支援することといたしております。 
県制度金融につきましては、長びく景気低迷によって、 厳しい経営環境にある県内中小企業者の経営の合理化及び経営安定等を金融面から支援するため、緊急倒産防止対策融資の貸付制度延長やベンチャー対策融資の貸付限度額引き上げなど、制度の拡充を図るとともに、所要の融資枠を確保することといたしました。 
商店街の活性化につきましては、魅力ある商業環境を創出するためのアーケードやカラー舗装などの整備事業、空き店舗活用事業等を引き続き支援することといたしております。 
また、新たに、商店街の個店対策として、地元商店・商店街に対する消費者の関心を高め、集客を促進するための事業を実施するほか、商店街での新規営業店舗の展開や新分野への進出等を促進するため、設備資金等の借り入れにかかる金利が無利子となるよう、市町村が行う利子補給に対し助成することといたしました。 
流通機能の強化につきましては、鳥栖流通業務団地について、基本設計、環境影響評価を実施するなど、事業の推進を図ってまいります。 
観光の振興につきましては、有明佐賀空港を活用し、首都圏等からの観光客誘致を強化するため、旅行会社等とのタイアップによる旅行商品の造成を行うなど、“観光さが”推進キャンペーン事業に取り組むことといたしております。 
さらに、近距離圏の観光客誘致を促進するため、本県への入込み客数が最も多い福岡都市圏に重点をおき、情報紙等を活用して、 県内の観光情報を積極的に発信することといたしております。 
労働福祉の充実につきましては、勤労者が仕事と家庭を両立させ、安心して働くことができるよう「ファミリー・サポート・センター」の設置を支援することといたしました。 
雇用対策につきましては、現下の厳しい雇用情勢を踏まえ、事業廃止、合理化等に伴い、解雇された中高年齢者を雇用する事業主に対し、奨励金を支給する「中高年齢者特別雇用奨励金制度」を1年間延長することといたしました。 
また、昨年10月に創設した「佐賀県緊急地域雇用創出基金」による緊急地域雇用創出事業に引き続き取り組むことといたしております。 
このほか、産業構造等が大きく変化するなかで、これに対応した本県の商工業、観光業振興の具体的方策を明らかにするため、「商工観光アクションプラン」を策定することといたしております。 
第五は、『いきいきと交流する佐賀をめざして』についてであります。 
地域の活性化を図るため、様々な分野における交流を促進するとともに、それらの基盤となる交通、情報通信ネットワーク等の整備を促進し、「いきいきと交流する佐賀」をめざしてまいります。 
まず、有明佐賀空港を利用しやすい便利な空港にするため、着陸料の減免措置等を継続していくほか、東京路線をはじめとする路線・便数の充実や運用時間の延長等について、引き続き運輸省や航空会社へ働きかけを行うとともに、大型ジェット機が就航可能な滑走路の2,500メートル化に向けた基礎調査に取り組むことといたしております。 
幹線道路の整備につきましては、佐賀市内の渋滞を解消するため、環状線の4車線化完成をめざし、佐賀環状東線に着手するほか、県西部における道路網の骨格をなす国道498号の伊万里市の大坪バイパス整備に着手することといたしております。 
港湾の整備につきましては、海外からのコンテナ貨物の増加を図るため、伊万里港コンテナターミナルに、くん蒸施設を整備することといたしております。 
鳥栖北部丘陵新都市開発整備事業につきましては、引き続き事業を推進するとともに、平成13年春の開業を目指したJR「弥生が丘駅 (仮称)」の建設等に対し、応分の負担を行うことといたしております。 
国際交流の推進につきましては、本県の特性を生かした多様な交流を促進することとし、アジアを中心とした特定地域との交流を図るほか、特に、今年は、ブラジル県人会創立45周年記念式典、ペルー県人会創立20周年記念式典に友好訪問団を派遣することといたしております。 
広域行政の推進につきましては、市町村の自主的合併を推進するため、具体的な合併パターンを示して支援策などを盛り込んだ合併推進要綱を策定するとともに、市町村長等で構成された合併協議会が行う調査研究等に対し、 新たに「合併協議会支援交付金」を交付するなど、市町村合併を積極的支援していくことといたしております。 
第六は、『美しく快適な佐賀をめざして』についてであります。 
本県の豊かな自然と環境を県民の共有財産として保全し、継承していくとともに、地域の特性を生かした快適で魅力ある都市環境や農村環境の整備を推進し、環境にやさしい社会づくりを進め、「美しく快適な佐賀」をめざしてまいります。 
まず、環境にやさしい社会の創造について申し上げます。 
今日、環境問題は、産業型公害に加え、生活型の環境問題や地球規模の環境問題が顕在化してきており、これまでの「大量生産・大量消費・大量廃棄」型の消費経済構造を見直し、人と自然が共生する持続的発展が可能な社会の構築が求められております。 
このため、公害防止条例や自然環境保全条例などの既存の環境関係条例を整備・統合するとともに、快適な環境づくりの観点を盛り込んだ総合的な条例の検討に着手することといたしました。 
また、安全で快適な環境づくりのため、県民一人ひとりが主役として行動する地域社会づくりを図るため、「環境新世紀推進事業」を実施し、年間を通じた環境キャンペーンや、 子どもから大人までが楽しみながら学べる総合的な環境イベントを行うとともに、各市町村において、地域の環境を守る住民活動母体の組織化を図り、その実践行動を促進するため、県と市町村が一体となって支援することといたしております。 
また、農業水路が持つ、かんがい排水機能や洪水調節機能を保全し、河川・海域への水草の流出による環境悪化の防止を図るため、市町村が行う水草除去対策等に助成することといたしました。 
ダイオキシン対策につきましては、「ダイオキシン類対策特別措置法」に基づき、大気、水質等の常時監視に取り組むこととし、所要の経費を計上いたしております。 
廃棄物対策につきましては、21世紀における循環型社会の構築に向けて、廃棄物の適正処理を確保するとともに、 廃棄物の減量化やリサイクルの一層の推進を図ることといたしております。 
まず、産業廃棄物対策につきましては、排出事業者等と一体となって、減量化やリサイクルの方策を検討することといたしております。 
また、鎮西町菖蒲の県有地に計画しております公共関与による廃棄物処理施設の整備について、財団法人佐賀県環境クリーン財団が行う生活環境影響調査及び施設の基本計画づくりに助成することといたしております。 
次に、一般廃棄物対策につきましては、「ごみ減量化行動計画」を策定し、廃棄物の減量化・リサイクルに取り組むことといたしました。 
地球環境問題につきましては、県として環境保全対策に率先して取り組むため、県庁本館屋上に太陽光を利用した発電システムを設置することといたしております。 
住宅の整備につきましては、高齢者が安全に安心して暮らせる住まいづくりを推進するため、高齢者や要介護者に配慮したモデル住宅を建設し、その普及・促進を図るほか、新たに、民間で供給される高齢者向け優良賃貸住宅の建設に助成することといたしました。 
また、県営住宅の整備につきましては、老朽化している唐津市の和多田団地を高齢者等にも配慮した住宅として建て替えを行うことといたしております。 
次に、水と緑を生かした自然とのふれあい空間の形成につきましては、県民の参加も得ながら、 平坦地における緑の空間づくりを推進していくため、「みどりの里づくり推進事業」を引き続き展開するとともに、県民の緑化に対する意識の高揚と理解の醸成を図るため、21世紀を「みどりの新世紀」と位置づけ、県民参加による記念植樹等を行う「みどりの新世紀緑化事業」を展開することといたしました。 
さらに、県立学校に植樹を行い、学校の緑化を進めることによって、若い世代にも緑に親しむ気持ちを育むことといたしております。 
このほか、平成14年秋に嬉野町で開催する「第26回全国育樹祭」に向けて準備を進めるとともに、新たに、「育樹祭記念の森(仮称)」を整備するため、所要の経費を計上いたしました。

次にその他の事項について申し上げます。 
平成12年度が新世紀の幕開けを迎える年度であることから、県民総参加のもとに「佐賀新世紀記念事業」を実施することといたしました。 
この記念事業は、「記念イベント」、「国関連プロジェクト」、 そして「新世紀創造事業」の3つの事業で構成することといたしております。 
まず、「記念イベント」としては、「佐賀新世紀創造祭」を実施することといたしております。 
これは、本年10月開催予定の「2000年佐賀元気まつり」 を中心に「SAGA技術交流フェア」、「エコライフ21フェア」 等を併せて開催するほか、年末から年始にかけて、新世紀の幕開けを県民一体となって迎える「新世紀ウエルカムフェスタ佐賀 (仮称)」 を実施するものであります。 
また、これに関連するイベントとして、「2000年記念さが国際交流音楽祭」の開催に助成するほか、「さが・ふるさとの歌」完成発表会、「青少年のための科学の祭典・佐賀大会」等を開催することといたしております。 
次に、「国関連プロジェクト」といたしましては、全国各地域でテーマを選び、インターネット上で交流等を行う「インターネット博覧会」が、国の1000年紀記念行事として予定されていることから、本県もこの催しに参画することとし、所要の経費を計上いたしました。 
「新世紀創造事業」につきましては、21世紀における佐賀県にとって、重要性や緊急性の高い、環境や技術開発、 緑化推進や景観創造、人づくり等の施策を推進するための事業を記念事業として位置づけ、積極的な事業の展開を図るものであります。 
このほか、「佐賀新世紀記念事業」についての県民の盛り上がりを図り、積極的な参加を促すため、統一的な広報活動を行うとともに、記念事業として、さらに取り組むべき事業を県民から公募することといたしております。 
なお、現在の「佐賀県新総合計画」は、平成5年12月に策定したところでありますが、計画策定時の想定を超える社会経済情勢の変化が見られるため、今年中に新世紀の県勢発展を図るための新たな総合計画を策定することといたしております。 
以上、平成12年度当初予算案の主な内容について申し述べましたが、これに対する一般会計の歳入財源といたしましては、
県 税   832億 6,000万円
地方消費税清算金 158億 2,600万円
地 方 譲 与 税 12億 5,200万円
地 方 交 付 税 約1,794億  900万円
分担金及び負担金   約109億  300万円
国 庫 支 出 金 約957億3,000万円
諸 収 入 約400億1,100万円
県 債 509億6,800万円
そ の 他 約163億4,100万円
計 4,937億円
となっております。
このうち、県税につきましては、最近における経済の動向、過去の実績等を総合的に勘案するとともに、平成12年度地方税制改正案にかかる増減収額を考慮して計上いたしております。 
地方交付税につきましては、国の予算案、地方財政計画等をもとに、 現段階で見込み得る額を基礎において、所要額を計上いたしました。 
県債につきましては、国の地方債計画をもとに、今回計上する事業費の財源として所要額を計上いたしております。 
次に、企業会計として運営いたしております県立病院好生館につきましては、収益的支出約106億2,100万円、資本的支出約15億5,100万円となっており、これに対し、一般会計から約18億7,300万円を繰り出すことといたしております。 
工業用水道につきましては、収益的支出約4億9,400万円、資本的支出約4億1,200万円となっております。 
次に予算外議案といたしましては、条例案として、「民法の一部改正に伴う佐賀県条例の整備に関する条例(案)」 など23件、条例外議案として、「公平委員会の事務の受託について」 など2件、あわせて25件となっております。 
これらの議案につきましては、それぞれ提案理由を記載しておりますので、説明を省略させていただきます。 
以上をもちまして、今回提案いたしました平成12年度当初予算案並びにその他の議案についての説明を終わる次第でありますが、なにとぞ、よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。 

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