本日、平成17年6月定例県議会の開会にあたり、提案いたしました平成17年度補正予算案並びにその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。
提案事項の説明に入ります前に、去る3月20日発生しました福岡県西方沖地震についてご報告いたします。
本県では、みやき町で、県内観測史上初となる震度6弱を記録するなど、ほぼ県全域が震度4以上となり、重軽傷者15名の人的被害をはじめ、民家、事業所、公共土木施設などを中心に、総額約3億4,000万円の被害が発生いたしました。
被害を受けられました県内外の皆様に対し、改めて、心からお見舞い申し上げます。
災害の復旧にあたりましては、関係市町村と緊密な連携をとり、その対策に万全を期してまいります。
今回の地震では、休日や時間外での緊急時の職員招集など、初動時の情報伝達においては、携帯端末やパソコン等による電子メールが有効であることを改めて痛感するとともに、安全情報や生活支援情報を積極的に県民に提供することが重要であると認識したところです。
このため、県では、今回の地震で得られた認識を踏まえて、地域防災計画を見直し、本県防災対策の強化を図ることとしたところです。
続きまして、当面の懸案事項に対する対処方針について申し上げます。
まず、佐賀市水道局の跡地への対応についてであります。
この用地は、昨年4月、佐賀市において競争入札が行われ、マンション業者が落札し、マンション建設用地として譲渡されたものです。
今年に入り、地元自治会では、歴史的景観を守り歴史を感じさせる街並みづくりを目指すため、建物の高さ制限を現在の15メートルから10メートル以下にすること、マンション等の建築禁止について詳細な検討をすることなどの合意がなされました。
県では、城内地区のまちづくりのために個人所有の財産価値の減少を招くことを受け入れた住民の方々の強い熱意を受け止め、佐賀城公園整備の一環として、同地区においては歴史を感じさせる街並みづくりを行っていくこととし、将来、当該地を含む区域を佐賀城公園の区域に編入することとしました。これを受けて、佐賀県土地開発公社が、土地代及びマンション業者がマンション建設のために既に投入した資金等に相当する額で当該地を買収することとなりました。
なお、佐賀城公園整備計画の策定や都市計画の変更などの手続きを経て、当該地を県が、平成21年度までに佐賀県土地開発公社から買い取るための債務負担行為3億5,000万円を計上しております。
今後は、佐賀市や地元の方々と知恵を出し合い、住んでいる人が誇りに思い、また、そこを訪れる人が、佐賀県らしい歴史的景観を楽しめる象徴的な地区として、整備していきたいと考えております。
次に、城原川ダム問題についてであります。
城原川の河川整備につきましては、一昨年7月に国から、「城原川ダムについて」という資料を受け取って以来、関連する分野の専門家のほか、賛成、反対それぞれの意見をお持ちの住民代表の方々も加わり、城原川整備のあるべき手法を検討する「城原川流域委員会」で、さらに、昨年12月からは、地域の責任ある立場にある4市町村の首長と、ダムによらない治水対策の実現性を中心に議論する「城原川首長会議」に場を移して協議してまいりました。
城原川流域委員会では、「城原川は安全な川ではなく、何らかの治水対策が必要であり、治水対策としてダムは有効」との提案を昨年11月にいただきました。
城原川首長会議では、約半年の間に11回に及ぶ会議を開催し、議論を行った結果、
・ 城原川の治水対策の目標である基本高水のピーク流量は毎秒690トンとすること
・ 堤防の補修・強化を行い、河川管理施設等構造令上必要とされる堤防断面を確
保するとともに、河道の改修を行い、毎秒330トンの流下断面を確保すること
・ これらの河川整備のほか、なんらかの治水対策が必要であること
以上の3点を首長間の共通認識として整理することができました。
また、どういう治水対策を取るにせよ、いずれかの地域の方々にはご理解をお願いし、ある意味ご迷惑をおかけすることによって、はじめて安全な川というものが実現されるということも、首長間の共通認識になったと思っております。
ダムによらない案については、遊水地、河道改修、引堤及びそれらの組合せ案、さらには、洪水を計画的に溢れさせる案を議論しましたが、いずれの案も課題があり、一つの案に意見を集約することはできませんでした。
一方、ダム案について、国から、当初計画よりもダム容量を縮小した貯留型のダムと洪水調節専用ダムの説明があり、ダムによらない案と国から提案があったダム案についてさらに検討を行いました。これらの案を事業費の面から比べると洪水調節専用ダムと河道改修の組合せ案が約760億円と一番安くなります。事業期間についてはダム案の場合、約20年程度、ダムによらない案については、一定の仮説のもとでの算出ではありますが、約85年から100年程度との説明があり、ダムによらない案の場合には非常に長い時間がかかります。
また、ダムが建設されると、水没予定地の方々の生活はもちろんですが、ダム直下の住民の方々には、景観面や心理的な面で大きな影響があり、さらに、従来型のダムの手法によれば、土砂が有明海に今までのようには流れない、水質も変わってしまうとの指摘もなされました。
こういう状況の下、一つの案に絞ることは、大変難しいものがありましたが、私は、昭和28年水害と同程度の洪水から流域の住民を守る治水対策を比較的短期間のうちに実現し、併せて水質や有明海への環境に対する影響のことを考えれば、従来型のダムではなく、環境と共生できる新しい形のダムが必要ではないかと考えました。
そこで、城原川における河川整備については、「流水型ダム」とでもいうべき方法をとっていただくよう河川管理者である国に対し提案することとしました。今回提案している「流水型ダム」というのは、洪水時以外は、ダムがない状態と同じように上流の土砂や水が下流に流れ、洪水時は、ダムのところできちんと受け止め、河川が氾濫する危険性を今より低く抑えることができるものであります。
城原川と同等規模のダムにおいては、こういう流水型ダムはまだ実現に至っていないと伺っておりますが、国に対しては、是非とも技術的な検討を進めていただくようお願いしているところであります。
なお、不特定用水をどの程度ダムで確保するかについては、首長会議においてもなお結論を出すことはできませんでしたので、関係者の水利用の調整を早急に行い、出来るだけ早く不特定用水の結論をだされるよう国にお願いしております。ただ、その場合でも、環境保全を前提としたダムという考えのもとで、不特定として必要な水量を確保することが可能かどうかの検討をしていただく必要があると考えております。私がこの問題を担当して約2年、特に水没予定地の脊振村の方々には、何度となく結論が決まらなかったことでご迷惑をおかけしたことに対し、心からお詫びを申し上げますとともに、今回の私の判断について、水没予定地の皆様方のご理解をお願いします。
城原川中流域、下流域にお住まいの方々におかれても、城原川流域で安心して生活を営んでいくためには、脊振村の方々や、景観などが大きく変わるダム直下の方々のご理解とご協力がどうしても必要になることをご認識いただければ有り難く思います。
続きまして、提案事項についてご説明申し上げます。
今回の補正予算案の編成に当たりましては、当初予算編成後の事態の推移に対処するため、早急に対応する必要があるものについて計上することといたしました。
この結果、補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
一般会計 約 5億6,000万円
となり、これを既定の予算額とあわせますと、本年度の予算総額は、
一般会計 約4,275億9,000万円
となっております。
以下、予算案の主な内容について申し上げます。
福岡県西方沖地震の災害復旧対策につきましては、林道施設の災害復旧事業に約800万円を計上するとともに、国の重要文化財「旧高取家住宅」及び国の特別史跡「名護屋城跡並びに陣跡」の緊急修理に要する経費に対し、約700万円を助成することとしております。
企業誘致の推進につきましては、大規模コールセンターや情報関連企業の立地促進を図るため、リース会社が整備した事業所用ビルを県が賃借することとし、平成18年度から15年間にわたり支払う予定の賃借料相当額について、債務負担行為18億9,000万円を計上しました。
中小企業に対する金融支援につきましては、本年度から創設した「がんばる企業支援資金」について、当初の目標を上回る資金需要が見込まれることから、引き続き県内中小企業の資金調達の円滑化を図るため、融資枠を増額することとし、所要の経費を追加計上しております。
がん対策につきましては、年々増加している乳がんの早期発見のため、佐賀県医師会成人病予防センターのエックス線撮影装置(マンモグラフィ)の整備に対して助成することとしました。
幼児教育・保育の充実につきましては、平成18年度から本格実施される就学前の教育・保育サービスを一体的に提供する「総合施設」の運営方法や利用形態に関する課題等について調査研究するため、川副町においてモデル事業を実施することとしております。
幹線道路網の整備につきましては、その基軸となる有明海沿岸道路の福富鹿島道路が今年3月に地域高規格道路の整備区間に指定されたことから、当該区間の環境影響評価法に基づく調査に着手することとしました。
情報通信基盤の整備につきましては、過疎地等における情報通信格差の是正を図るため、ケーブルテレビを活用した高速インターネットの環境整備を行う七山村、並びに携帯電話等の移動通信用鉄塔施設の整備を行う脊振村に対して助成することとしております。
また、県内における地上デジタルテレビ放送の確実な実施を図るため、必要な施設整備を行う民間放送事業者に対し、地域総合整備資金貸付事業(ふるさと融資)による無利子貸付を行うこととしました。
以上、補正予算案の主な内容について申し述べましたが、これに対する一般会計の歳入財源といたしましては、
地方交付税 約 1億 300万円
国庫支出金 約 2億5,200万円
県 債 2億 500万円
計 約 5億6,000万円
となっております。
次に、予算外議案といたしましては、条例案として、「佐賀県防災会議条例等の一部を改正する条例(案)」など8件、条例外議案として、「市村の廃置分合について」など13件、あわせて21件となっております。
このうち、乙第67号議案「佐賀県知事の給料の特例に関する条例(案)」につきましては、食糧費等に係る過去の不適正支出の問題に関しまして、私の給料を平成17年7月から、平成18年4月までの10か月間、毎月15万円減額するものであります。
乙第74号議案「市村の廃置分合について」につきましては、平成18年1月1日から東松浦郡七山村を廃し、その区域を唐津市に編入するものであります。
乙第75号議案「市町の廃置分合について」につきましては、平成18年1月1日から藤津郡塩田町及び同郡嬉野町を廃し、その区域をもって、新たに嬉野市を設置するものであります。
乙第76号議案「市町の廃置分合について」につきましては、平成18年3月1日から武雄市、杵島郡山内町及び同郡北方町を廃し、その区域をもって、新たに武雄市を設置するものであります。
乙第77号議案「町村の廃置分合について」につきましては、平成18年3月1日から神埼郡三田川町及び同郡東脊振村を廃し、その区域をもって、新たに同郡吉野ヶ里町を設置するものであります。
乙第78号議案「町の廃置分合について」につきましては、平成18年3月1日から西松浦郡有田町及び同郡西有田町を廃し、その区域をもって、新たに同郡有田町を設置するものであります。
乙第79号議案「市町村の廃置分合について」につきましては、平成18年3月20日から神埼郡神埼町、同郡千代田町及び同郡脊振村を廃し、その区域をもって、新たに神埼市を設置するものであります。
その他の議案につきましては、それぞれ提案理由を記載しておりますので、説明を省略させていただきます。
以上、今回提案しました議案についてご説明申し上げましたが、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。 |