本日、平成17年11月定例県議会の開会にあたり、提案いたしました平成17年度補正予算案並びにその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。
提案事項の説明に入ります前に、まず、ご報告を申し上げます。
陶芸家の青木龍山先生が平成17年度文化勲章を受章されました。
この受章は、多年に亘り陶芸家として、意欲的な創作を展開されるとともに、我が国美術工芸界の発展に寄与してこられたことによるものであり、県内在住者としては初めて、県出身者としても38年振り、4人目となる快挙であります。
このたびの受章を県民の皆様と一緒に心からお祝い申し上げますとともに、今後とも優れた芸術作品を生み出していただきますことを祈念いたします。
次に、三位一体の改革について申し上げます。
政府においては、構造改革の要の一つとして、三位一体の改革に取り組まれているところですが、昨年までに3兆円規模を目指すとした国から地方への税源移譲のうち、約2兆4,000億円が確定し、残る6,000億円が今年の課題となっておりました。
私ども地方六団体は、7月20日に、3兆円の税源移譲を確実なものとするため、約6,000億円分の税源移譲対象補助金を示した「国庫補助負担金等に関する改革案(2)」を内閣総理大臣に提出し、その後、政府との協議を行ってまいりました。
政府においては、内閣官房長官、総務大臣はじめ関係閣僚の間で調整がなされておりますが、厚生労働省が、国の責務で行うべき生活保護費について一部一般財源化や医療扶助の都道府県負担の導入を提案していることや、財務省が、最も地方分権の趣旨に合致する施設整備費の移譲について建設国債が原資となっていることを理由に反対しているなど、現在も政府・与党の調整が続いているところであります。
これまで、地方六団体は、再三にわたり、地方の自由度を高める、地方分権の趣旨に合致した改革の実現を求め、活動を行ってまいりました。私は、地方分権改革は、「高コスト・低満足社会」から「低コスト・高満足社会」へ、日本の行政システムを大胆に転換する構造改革のもう一つの本丸と確信しています。
政府・与党は、明日にも調整を終える見込みであります。三位一体の改革が後世の評価に耐えうるものとなるよう、政府・与党においては、地方の意見に沿った、住民満足度の向上につながる改革を実現していただきたいと期待しております。
続きまして、当面の懸案事項に対する対処方針について申し上げます。
まず、九州新幹線西九州ルートについて申し上げます。
九州新幹線西九州ルートにつきましては、並行在来線の経営分離に対する沿線自治体の同意を得るため、「JR長崎本線存続期成会」との間で、協議を行っているところであります。
期成会との協議においては、県が地域鉄道として提案している新たな運行案や「有明海沿岸道路」及び「鹿島武雄道路」という広域・高速道路網の前倒し整備等の地域振興策について、充分に議論されていない状況であります。そのような中、沿線市町の議会や経済団体の中には、県の提案を勉強すべきとの意見が出され、私自身が出向いて意見交換を行うなど、情報提供を行ってまいりました。
今後、経営分離に対する同意を得るため、誠意を持って期成会との協議を続けていくとともに、沿線住民の皆さんに対して、県が提案している新たな運行案や地域振興策を丁寧に説明し、理解を得ていきたいと考えております。
国においては、年末の平成18年度予算編成に向けての作業が進められているところであり、西九州ルートの来年度予算が確保されるよう、国に対し強力に働きかけていくことにしております。
今後とも、県議会の皆様のご協力を賜りながら、できるだけ早く沿線自治体の同意が得られるよう、最大限の努力をしてまいります。
次に、県立病院好生館の移転について申し上げます。
県立病院好生館のどんどんどんの森への移転について新佐賀市としての意向の確認と、佐賀市が要望された駅南案及び隣接地拡張による現地改築案に対する佐賀市としての具体的な協力方針等について、回答を求めていたところですが、佐賀市長からは、「どんどんどんの森の市有地の提供については、遠慮させていただきたい。」という回答が改めてあり、同地への移転は残念ですが、断念せざるを得ない状況であります。
また、「駅南案及び隣接地拡張による現地改築案については、市議会や地元との調整を要するため、もうしばらく時間をいただきたい。また、併せて、その他の候補地についてもお願いしたいと思っており、できるだけ12月末までには回答をしたい。」とされました。
県といたしましては、新しい県立病院の医療機能を果たすという前提のもと、どのような手法で移転先の選定を行うのか、検討を進めてまいりたいと考えております。
続きまして、提案事項についてご説明申し上げます。
今回の補正予算案の編成に当たりましては、9月補正後の事態の推移に対処するため、早急に措置を要するものについて所要額を計上することといたしました。
この結果、補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
一般会計 約 32億3,000万円
となっております。
これを既定の予算額とあわせますと、本年度の予算総額は、
一般会計 約 4,321億7,900万円
となっております。
以下、予算案の主な内容について申し上げます。
アスベスト対策につきましては、これまで県民の不安を解消し、安全と安心を確保するための対策を講じてきましたが、これらに加え、今回、吹付けアスベストの除去等適切な処理を促進するために、総合的な「緊急アスベスト対策」を実施することとしました。
具体的には、民間建築物について、早期に適切な処理が行われるよう、その所有者が、アスベスト除去工事や分析調査等を行う場合、その経費の一部を助成することとしております。
また、吹付けアスベストの使用が判明した県有の公共施設については、緊急度が高いものから、順次、必要な措置を講じることとしておりますが、今回、県立学校のうち、特に日常利用する場所でアスベストが直接天井に吹付けられている3校について、早急に除去工事を行うこととしました。
高齢者の福祉につきましては、介護保険法の改正に伴い介護サービス情報を公表する必要があるため、平成18年度からの制度実施に向け、情報公表システムの構築や、調査員の養成など体制の整備を進めることとしております。
高齢者や障害者の福祉有償運送につきましては、NPO法人等が運送に携わる運転者を養成し、福祉有償運送の許可を取得することに対して支援することとしました。
漁協の経営基盤強化につきましては、平成19年4月に合併予定の有明海地区18漁協の事務の合理化・効率化を図るため、電子計算機等の整備・導入に対して助成を行うこととしております。
現地機関の見直しにつきましては、県民ニーズの多様化や市町村合併の進展に対応するとともに、昨年4月に再編した本庁組織との整合などの観点から、県民や利用者などからご意見をいただきながら、すべての現地機関について、そのあり方の検討を行ってまいりました。
このうち、来年4月に実施を予定している保健所と福祉事務所の再編、及び労政事務所で実施している事務の本庁への集約につきまして、関連の条例案の審議をお願いするとともに、再編に伴う施設の改修や電算システムなどの再構築に要する経費を計上しております。
離島の振興につきましては、離島住民自らの創意工夫による地域づくりを総合的に支援するため、唐津市が設置する離島振興基金の造成費用の一部を助成することとしました。
学校教育の充実につきましては、平成18年4月から併設型中高一貫教育を導入する県立唐津東高等学校について、新東唐津駅土地区画整理事業地内への全面移転に向け、用地を取得することとしております。
このほか、地方自治法の一部改正により、公の施設の管理方法が指定管理者制度に改められたことに伴い、佐賀県立女性センターほか20施設について、指定管理者への管理委託を行うための債務負担行為約59億2,100万円を計上しました。
また、翌年度発注予定の県単独事業を一部繰り上げて発注し、事業効果の早期発現を図るとともに、端境期における中小建設業者の受注機会の確保及び工事量の平準化を図る、いわゆる「ゼロ県債」について、債務負担行為約10億8,800万円を計上しております。
以上、補正予算案の主な内容についてご説明申し上げましたが、これに対する一般会計の歳入財源といたしましては、
地方交付税 約 5億5,300万円
諸 収 入 減額 約 2億4,600万円
県 債 29億3,700万円
そ の 他 減額 約 1,400万円
計 約 32億3,000万円
となっております。
次に、予算外議案といたしましては、条例案として、「佐賀県総合開発審議会条例を廃止する条例(案)」など12件、条例外議案として、「県事業に対する市町村負担について」など29件、あわせて41件となっております。
このうち、乙第109号議案「佐賀県知事の給料の特例に関する条例(案)」につきましては、不適正支出による公金を原資とした通帳等の問題に関しまして、8月に、当時新たに確認された2件以外には不適正通帳はないと思うと発表しましたが、9月の再調査の結果、新たに不適正通帳や業者への預け金等が14件存在することが確認されました。
8月の調査は不十分であったと言わざるを得ませんし、私自身の判断の甘さを痛感しております。
今回、その責任を明らかにするため、私の平成18年1月分の給料の10分の2を減額するものであります。
その他の議案につきましては、それぞれ提案理由を記載しておりますので、説明を省略させていただきます。
以上、今回提案しました議案についてご説明申し上げましたが、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。 |