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平成19年6月定例県議会 知事提案事項説明要旨

最終更新日:
 
議案等の審議結果
平成19年6月定例県議会

 

  本日、平成19年6月定例県議会の開会に際し、県政を運営するにあたりまして、私の所信を述べさせていただくとともに、提案いたしました平成19年度補正予算案並びにその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。
 私は、先般の知事選挙におきまして、県民の皆様のご支持をいただき、新たな4年間の県政を担当させていただくことになりました。
 選挙期間を通じて私に寄せられました県民の皆様の期待や様々なご意見、知事としての責任の重みといったものを胸に刻みながら、全力をあげて県政運営に取り組み、県民の皆様の信頼に応えてまいる所存であります。
 4年前に私が知事に就任した当時、雇用情勢には大変厳しいものがありました。
 そのため、1万人雇用創出を掲げ、積極的な企業誘致やトライアル発注などによる地域企業の支援を進めてまいりましたが、4年間で目標を大きく上回る12,758人、緊急雇用創出基金事業による短期雇用を差し引いても10,398人と1万人を超える新規雇用を達成することができました。
 佐賀県の経済につきましては、法人、企業部門は、製造業を中心に、かなり回復していると考えており、現場の経営者の方から「人を採用しようとしても、なかなか人が採れない」というようなお話を聞くことも出てまいりました。
 しかし、一方で、企業や業種によって回復感に濃淡があったり、家計部門への波及が少ないといったこともあり、「くらしの中で景気回復の実感が薄い」とか、「競争社会が拡大する中で、個人あるいは地域間の格差が大きくなった」といった声もよく耳にしております。
 戦後最長といわれる景気回復が続く一方で、長時間働いても十分な収入が得られないワーキングプアの問題も顕在化しております。
 地域間におきましても、例えば、佐賀県と東京都における労働者1人当たりの給与額の差が近年再び拡大しており、平成18年は約1.6倍の格差が生じているほか、佐賀県と東京都の地方税収につきましても格差が広がりつつあり、平成17年度決算による人口一人当たり地方税収額の差が約2.5倍となっております。
 一方、高い経済成長を背景としたアジア諸国を中心とするエネルギー需要の増加などにより、石油を始めとするエネルギーの国際価格が急激に上昇し、国民生活や経済活動の基盤となるエネルギーの安定供給の確保が重要な課題となっております。
 県内におきましても、ハウスみかんをはじめとする施設園芸農家について、燃料用重油の高騰が経営を大きく圧迫したり、運送業や製造業でも、厳しい競争の中で燃料費や材料費の上昇分を価格に転嫁できず、収益を圧迫しているなどの影響が出ております。
 また、エネルギーの利用に伴います環境問題、とりわけ地球温暖化問題への対応といたしまして、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出をいかにして抑制していくかが、大きな課題となっております。
 佐賀県におきましても、元々、東南アジアなどの温かい海域に生息し、日本近海ではみられなかったナルトビエイが有明海に多く来遊するようになったり、また、九州では鹿児島県に多く生息していた、ウニの仲間であるガンカゼが玄海沿岸域で増えているなど、温暖化の影響ではないかと思われる事象も見られております。
 また、最近、福岡県、長崎県、熊本県などで光化学オキシダント注意報が相次いで発令されましたが、佐賀県におきましては、幸い注意報濃度は超えていないものの、同時期に濃度が上昇する傾向が見られており、中国大陸からの汚染物質の流入の可能性も指摘されているところであります。
 エネルギーや地球規模での環境の問題は、私たちの日々の生活や活動と密接に関連しており、私たち一人ひとりが、こうした問題に真剣に取り組み、自然や生態系と共生し、環境保全と地域活性化を両立させていきながら、持続可能な社会を実現していくことが求められております。
 このような格差社会の問題や地球環境の問題は、現代社会が抱える様々な「歪み」や課題を象徴するものであります。
 格差社会や市場原理の流れの中で、取り残された人々や地域から、「このままではダメだ」「何とかしなければ」という切実な声があります。こうした声に、格差社会に対して脱・格差、市場原理に対して市民原理、といった考えのもと、しっかりと手を差し伸べて、地域社会に優しさや温かさを取り戻さなければなりません。
 また、21世紀は環境の世紀であります。この21世紀に生きる者の責務として、国、地方自治体、事業者、住民一人ひとりが、地球市民の一員として、ライフスタイルや社会経済活動、制度などを、環境を前提としたものに変えていかなければなりません。
 このような認識に立ち、「競争から共生へ」「量から質へ」といった観点から、社会のあり様そのものを変革し、地域に暮らす人々が幸せを実感でき、それを将来世代にも継承できる社会の実現に努めることが、私の新しい四年間に課せられた使命であると考えております。
 このため、誰もが個性と能力を発揮でき、人と自然が調和して、安心・快適に暮らせる「共生社会」多くの人が地域に貢献でき、個人や企業など多様な主体が地域づくりに参画する「真の参加・協働型社会」豊かさの尺度を量の拡大ではなく質の高さに求め、働きやすさや住みやすさなど、一人ひとりのくらしの豊かさを実現する「クォリティの豊かな社会」を目指していきたいと考えております。
 そして、そのような社会を実現するため、
一 安心して子育てができる環境づくりや、障害者が地域で自立できる環境づくり、誰もが暮らしやすいまちづくりなどを進める「健康で暮らしやすい 佐賀県」
一 障害者の雇用の拡大や、企業における労働力の正社員化、女性の社会参画の推進など を進める「誰もが活躍できる 佐賀県」
一 新エネルギーの導入促進や研究支援、地球環境の保全などを進める「地球環境時代のトップランナー 佐賀県」
一 こどもの個性を伸ばす教育環境や、県民の知的ニーズに応える「学び」の環境づくりを進める「学びきらめく 佐賀県」
の4つの柱と、これらを支える、
一 環境保全型農業の取組拡大など農林水産業の振興や、企業誘致、地域企業の強化を進め、佐賀県ブランド力を高める「活力あふれる 佐賀県」
一 九州新幹線西九州ルートや西九州自動車道、有明海沿岸道路の整備など、産業の発展や観光の振興のためのインフラ整備を進める「未来ひろがる 佐賀県」の2つの柱、合わせて6つを政策の柱といたしまして、新しい4年間の県政運営に取り組んでまいりたいと考えております。
 そして、概ね10年後の姿を見据え、これから4年間の県政運営の基本となるものといたしまして、現在の佐賀県総合計画に代わる総合計画を、県議会や県民の皆様のご意見も踏まえながら、10月頃までに策定したいと考えております。
 以上、新しい4年間のはじめの予算案の提出にあたり、今後の県政運営の考え方を申し上げましたが、私は、「がんばらんば さが!」をキーワードに、県議会議員の皆様、並びに県民の皆様方とともに、21世紀のモデルとなるような地域としての「くらしの豊かさを実感できる佐賀県」の実現をめざして、誠心誠意、全力で取り組んでまいる所存であります。県議会の皆様のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
 次に、当面の県政の課題について申し上げます。
 まず、「2007青春・佐賀総体」について申し上げます。
「この夏 佐賀に 君色の風が吹く」のスローガンのもと、来月28日から本県で開催する平成19年度全国高等学校総合体育大会「2007青春・佐賀総体」まで、あと44日となりました。
 総合開会式や各競技種目別大会の会場となるそれぞれの市町における開催準備もいよいよ最終段階を迎えております。
 本県を訪れていただく選手・役員や応援者の皆様を「もてなしの心」で温かくお迎えするとともに、高校生が主体となった大会運営や、マナーアップ・クリーンアップさが県民運動などの県民協働の推進、さらには、ICT(情報通信技術)を活用した佐賀県の情報発信など、「佐賀県ならでは」の工夫をこらした取組によりまして、「佐賀にまた行ってみたい」と思っていただけるような、印象に残る大会となるよう、全力を挙げて取り組んでまいります。
 県民の皆様のご支援とご協力をお願い申し上げます。
 次に、九州新幹線西九州ルートについて申し上げます。
 九州新幹線西九州ルートにつきましては、国において3年連続で着工予算が確保されたところですが、並行在来線の経営分離に関する沿線自治体との協議に具体的な進展がなく、いまだ着工への道筋が明らかになっておりません。
 そのような中で、鹿島市民の皆様の中には県から話を聞きたいとの意向を示されている方々もおられ、鹿島市内の雰囲気も変わりつつあるのではないかと感じております。

 大変厳しい状況には変わりありませんが、引き続き地元との対話の道を探し続けていくとともに、平成20年度の国予算の概算要求に向け、広報活動や機運の盛り上げを進めてまいります。
 1日も早く西九州ルートが着工できますよう、今後、私自身が先頭に立ち、並行在来線の経営分離に対する沿線自治体の同意を得てまいりたいと考えております。
 今後とも、県議会をはじめ県民の皆様のご理解、ご協力を賜りながら、最大限の努力をしてまいります。
 次に、佐賀県行財政改革緊急プログラムについて申し上げます。
 佐賀県行財政改革緊急プログラムにつきましては、平成16年度に計画を策定し、これまで計画に沿って歳出総額を抑制し、財源調整用基金は計画を上回る残高を確保できる見込みでありますが、予想を上回る地方交付税の削減によりまして、一つの目標であった平成20年度での収支均衡を達成することが難しい状況になっております。
 今後も、引き続き厳しい財政状況が続くことが予想される一方で、社会経済状況の変化に対応するための新しい施策をスピード感を持って実施していく必要があり、このような状況の中で将来にわたって自律的で持続可能な財政運営を図るため、将来に向けての新たな対応を検討してまいります。
 続きまして、提案いたしました平成19年度補正予算案並びにその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。
 平成19年度の当初予算は、いわゆる「骨格予算」として編成しておりましたが、今年度の県の財政状況は、平成18年度末の県債残高が予算規模を大きく上回る6,262億円にのぼっており、また、平成16年度以降、国の財政構造改革の一環として、地方交付税や臨時財政対策債が大幅に削減されたことにより、非常に厳しい状況が続いております。
 今回提案いたしました補正予算案におきましては、「くらしの豊かさを実感できる佐賀県」を目指して、予算編成に当たっての財政運営の考え方を平成19年度重点方針として策定し、これまで以上の事業の選択による財源の重点的、効率的な配分に努めながら、新規施策等の政策的事業を中心に編成を行ったところであります。
 なお、当初予算において前年度当初予算額の六割程度の予算計上を行っていた公共事業につきましては、国の認証見込み額を追加計上するとともに、前年度当初予算額の四割程度の予算計上を行っていた単独事業につきましては、生活道路の整備等、県民生活に密着した社会資本の整備をさらに推進するため、必要額を追加計上することといたしました。
 この結果、補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
・一般会計 約474億1,800万円
・特別会計 約3千700万円
となり、これを既定の予算額と合わせますと、本年度の予算総額は、
・一般会計 約4,117億1,200万円
・特別会計 約850億9,700万円
となっており、一般会計におきましては、前年度当初予算と比較いたしますと、マイナス2.3%となっております。
 このうち、投資的経費につきましては、国の予算や地方財政計画などを踏まえ、公共事業として、国の認証見込み額約108億5,400万円を計上するとともに、単独事業につきましては、約228億5,200万円を計上したところであります。
 以下、予算案の主な内容について、先ほど申し上げました六つの政策の柱に沿って申し上げます。
 まず、「健康で暮らしやすい 佐賀県」についてであります。
 子育てにやさしい環境づくりにつきましては、三世代同居や親との近接住まい等を含め、子育ての負担が少ない住み方などを県民に提案するため「子育てにやさしい住み方」に関する検討を進めることとしております。
 乳幼児医療につきましては、3歳未満の乳幼児に係る入院及び通院医療費を助成する現行の乳幼児医療費助成制度を拡充し、3歳から小学校就学前までの幼児に対しても、入院費の半額を助成することとしました。将来的には、小学校卒業時までの助成拡大を目指しており、今後の拡大につきましては、この事業の実施主体であります各市町とも十分協議を行いながら進めてまいりたいと考えております。
 障害者の自立のための生活支援につきましては、障害者自立支援法に基づき、施設に入所されている知的障害者の地域生活移行を進めていくことにしておりますが、必要とされる住まいの場の整備を促進するため、グループホーム等の整備に必要な経費の一部を助成することとしております。
 地域における医療体制の整備につきましては、小児科や産婦人科といった県内で不足が見込まれる診療科医師の養成・確保を図るため、佐賀大学との協働により、佐賀大学医学部医学科の特別選抜制度の中に、佐賀県の推薦による入試制度を導入し、毎年2名を佐賀県推薦として入学させることとしました。
 がん対策の推進につきましては、がんによる死亡率が依然として高い状況が続いていることや本年4月1日にがん対策基本法が施行されたことから、対策を強化することとし、がん予防の普及啓発活動を拡充するほか、がん診療連携拠点病院の機能強化や先端的ながん治療施設の誘致に向けた取組を進めていくこととしております。
 高齢者福祉の充実につきましては、個室近くに共用室を設け、グループ単位で入居者一人ひとりの生活リズムに応じたケアを行う、特別養護老人ホームのユニット型施設への整備に対して助成を行うなど、介護サービス基盤の質の向上を推進することとしました。
 県民協働の推進につきましては、CSO(市民社会組織)活動の更なる活性化を図るため、新たな活動支援の拠点整備に対して助成するとともに、これらの活動支援拠点を運営する中間支援組織と連携しながら、市町とCSOとの協働の取組を支援することとしております。
 まちなかの再生につきましては、その成功事例を生み出すため、地元関係者の意欲が高まっている地域を中心に、にぎわい拠点づくりへの取組を、引き続き、重点的に支援することとしました。
 交通安全対策の推進につきましては、電動車いすに対応できる幅の広い歩道の整備を進めるとともに、ユニバーサルデザイン推進指針に沿った佐賀県標準仕様による歩道の段差解消に取り組むこととしております。
 住宅・建築物の耐震化対策につきましては、県有施設の耐震診断を昨年に引き続き優先順位の高いものから計画的に行うとともに、県が定めた耐震改修促進計画ガイドラインに沿った地区所有の公民館や避難弱者が利用する建物、地震時の倒壊により緊急輸送道路の円滑な通行に支障を及ぼすおそれのある建物及び市町が定める地域等の住宅などの民間建築物について耐震化を推進していくため、耐震診断費補助を行う市町に対し、その一部を助成することとしました。
 次に、「誰もが活躍できる 佐賀県」についてであります。
 障害者の働く場づくりにつきましては、本年4月23日に健康福祉本部に新たに設けた就労支援室に専門のコーディネータを配置し、障害者と企業との橋渡し機能を強化するとともに、出前講座や実践アドバイスの実施など、企業等に対する障害者雇用の直接的な働きかけを行うなどして、県内企業の障害者雇用率の向上に努めることとしております。
 留学生の支援につきましては、経済的に厳しい状況にある私費留学生に、県民や県内企業等と県が協働して奨学金を支給することにより、留学生の個々の能力を活用しながら、奨学金を提供していただいた方々との交流の促進が図られるよう支援することとしました。
 次に、「地球環境時代のトップランナー 佐賀県」についてであります。
 新エネルギーの導入促進と研究支援につきましては、燃料電池に代表される新エネルギー関連分野の産業化を目指し、県内の研究施設を活用した先導的研究開発や県内企業の優れた技術を活かした研究開発について支援することとしております。
 また、バイオマス等の新エネルギーの導入につきましては、間伐材、廃食用油など県内に存在する多様なバイオマス資源を対象に、バイオ燃料などのエネルギー利用を進めることによる新たな産業化の可能性を探ることとしました。
 森林・緑の保全につきましては、「森林(もり)と緑の再生プロジェクト」により、引き続きこだまの森林(もり)づくりを推進するとともに、平坦地においても「緑の県土づくり方針」に基づき、身近な緑の創造・保全を目指し、県民協働により積極的に取り組むこととしております。
 自然環境の保全につきましては、県で唯一の特別名勝である「虹の松原」の白砂青松といわれる景観が広葉樹の侵入などにより変容しつつあることから、国や唐津市とも連携し、県民協働による「虹の松原」の再生と保全に向けた取組を進めることとしました。
 次に、「学びきらめく 佐賀県」についてであります。
 私立学校教育の振興につきましては、私立高等学校に在籍する生徒の修学上の経済的負担を軽減するとともに、私立高等学校の教育条件の維持・向上のため、運営費の助成について充実を図ることとしております。
 社会の進展に対応した多様な教育の推進につきましては、障害のために義務教育の就学を猶予または免除され、昭和54年に養護学校が義務化された際、すでに学齢を超過していた方のうち希望される方を対象として、新たに特別支援学校において訪問教育を実施することとしました。
 時代のニーズに応じた教育環境の整備につきましては、毎日利用する生徒はもちろん、訪れるすべての方々にとって利用しやすい学校施設としていくため、県立学校の校舎等について、多目的トイレの整備や段差解消など計画的なユニバーサルデザイン整備に取り組んでいくこととしております。
 有田窯業大学校につきましては、高度な技術力やデザイン力、企画力を有した人材の育成を図るため、平成21年度を目標に、修業年限4年制の課程を新設することとし、その教育内容等について具体的な検討を行うこととしました。
 多様なニーズに応える生涯学習の環境づくりにつきましては、これまで取り組んできた「図書館先進県づくり」をさらに進め、県民が県内一円の図書館を有効に活用しながら豊かな学習活動に取り組み、読書に親しむ風土が育まれるよう、読書環境づくり、図書館ネットワークの充実、学校図書館と公共図書館の連携推進、県立図書館の機能充実を柱とする、図書館先進県づくりのステップアップに取り組むこととしております。
 文化芸術の振興につきましては、県民に幅広い文化に触れていただく機会を提供するため、「佐賀ノ顔」写真展を開催することとしました。
 次に、「活力あふれる 佐賀県」についてであります。
 環境保全型農業の推進につきましては、消費者が求める、より安全・安心な農作物の生産拡大と環境の維持保全を図るため、化学肥料や化学合成農薬の使用を大幅に低減するなど、地域でまとまって環境負荷を低減する先進的な営農活動等に対して助成するとともに、そのトップランナーである有機農業の取組を推進するため、有機農業の普及活動促進や、有機農業の取組農家に対して助成することとしております。
 また、重油価格の高騰により増大している施設園芸農家の燃料費を削減し、経営の安定を図るため、省エネ栽培技術や重油に代わる燃料を活用したハウス加温技術の開発を行うこととしました。
 農村地域における農地、農業用水などの資源や農村環境につきましては、これまで農業者を中心に、集落で適切に維持保全されてきましたが、農業者の減少や高齢化、さらには混住化の進行などにより、集落機能が低下し、耕作放棄地の増加や農村環境の悪化が懸念されていることから、農地、農業用水などの資源や農村環境が良好な状態に保全されるように、県民協働の観点から、非農家を含めた新たな活動組織による地域をあげての共同活動を支援することとしております。
 就職の促進と就業環境づくりの支援につきましては、全国的に、若い優秀な人材確保が困難になってきている中で、本県産業の発展や優秀な若手労働力の確保を図るため、採用活動に関するセミナーを開催するなど、県内企業の採用活動の支援に取り組むこととしました。
 また、仕事と家庭の両立、いわゆるワーク・ライフ・バランスを推進するため、県内企業・事業所に専門のアドバイザーを派遣するなどして、労働時間短縮や育児休業取得の普及啓発を強化することとしております。
 県産品の市場開拓・販路拡大につきましては、佐賀のりの最大の特長である口どけの良さなどといった、味覚を基準にした共販制度を創設して、新たな「佐賀のり」ブランドの確立を目指すこととしております。
 海外市場の開拓につきましては、今後とも有望な市場と目されるアジア地域を中心に輸出を促進していくこととしており、特に、本年度は、台湾において県産ハウスみかんのシェアを高めてナンバーワンブランドにしていくことや、経済成長著しい中国において日本食ブームが急速に広がる中、佐賀のりの需要開拓に向けたマーケティング活動を行うこととしました。
 高品質・高付加価値な農産物づくりの推進につきましては、「佐賀牛」の銘柄確立のため、肥育素牛の生産拡大や新たな生産システムの導入など地域における組織的取組に対して助成することとしております。
 県産木材の利用促進につきましては、新たに、県産乾燥木材の認証制度を創設するとともに、県内製材業者が共同で行う県産乾燥木材の生産コスト削減に向けた取組を支援するなど流通・加工対策を講じ、他県と競争できる品質の安定した県産木材の供給体制づくりを行うこととしました。
 また、高性能林業機械を活用した間伐の推進などの低コスト生産対策や、県民に対する木の良さの普及啓発など消費対策についても、一体的に取り組むこととしております。 漁業生産の拡大につきましては、有明海沖合漁場の底質等の現状を、広域的かつ詳細に把握し、漁場環境の改善や栽培漁業等の取組をさらに効率化することによって、有明海の水産資源の回復を加速させるため、有明海資源回復対策基礎調査を実施することとしました。
 建設業の健全な育成につきましては、相談業務に専任職員を配置し業務の充実を図るとともに、技術力の向上、企業合併の促進、新分野への進出と定着促進及び再就職に対する支援を行うことにより、社会資本整備の担い手である建設業の再生を図ることとしております。
 次に、「未来ひろがる 佐賀県」についてであります。
 幹線道路網の整備につきましては、県内の主要都市を結び、北部九州の広域的な高速交通網を構築する西九州自動車道や佐賀唐津道路の整備を引き続き推進するとともに、昨年度事業着手しました有明海沿岸道路の佐賀福富道路について、本格的に事業を推進していくこととしております。
 また、国道498号につきまして、武雄市区間において、今年度から新規に若木バイパスの整備に着手することとしました。
 九州新幹線西九州ルートの並行在来線沿線地域の地域振興につきましては、並行在来線沿線地域に係る特別支援事業を円滑に実施するため、白石町、太良町の特別支援事業の実施に伴い生じる両町の負担増に対し、助成を行うこととしております。
 ICT(情報通信技術)を活用できる環境整備につきましては、情報通信技術をめぐる環境変化に対応し、企業、CSO(市民社会組織)、行政が役割分担、連携して情報通信技術の利活用を推進するため、包括的なビジョンと推進戦略を策定し行動に移していくこととしました。
 次に、その他の事項について申し上げます。
 県庁の仕事の進め方の見直しにつきましては、昨年度、県職員が行っている業務を県民に公開し、担い手のあり方についてご提案をいただきました「協働化テスト」を、さらに推し進めていくため、人件費も含んだトータルコストの算出方法をルール化し費用対効果の分析に取り組んでまいります。
 合併後のまちづくりにつきましては、県内における市町村合併後の新しい枠組みの中、市町のまちづくりを支援するとともに、地域活力の向上に向け、県、市町、CSO(市民社会組織)、地域住民が協働して取り組む地域づくりを推進してまいります。
 県職員の採用につきましては、昨今の厳しい人材確保競争の中で多彩な人材を確保するため、平成二十年度から大学卒業程度試験の特別枠として、新たな試験制度を実施することとし、今年度はそのための受験者確保対策等に取り組むこととしております。
 以上、補正予算案の主な内容についてご説明申し上げましたが、これに対する一般会計の歳入財源としましては、
・地方交付税 約49億4,800万円
・国庫支出金 約101億1,300万円
・繰 入 金 約88億5,400万円
・県   債 191億3,400万円
・そ の 他 約33億6,900万円
・計   約474億1,800万円
となっております。
次に、予算外議案といたしましては、条例案として、「政治倫理の確立のための佐賀県知事の資産等の公開に関する条例の一部を改正する条例(案)」など16件、条例外議案として、「県有財産の取得について」など七件、あわせて23件となっております。
 これらの議案につきましては、それぞれ提案理由を記載しておりますので、説明を省略させていただきます。
 以上、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げましたが、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。




 
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