(平成20年6月27日)
本日、平成20年6月定例県議会の開会にあたり、提案いたしました平成20年度補正予算案並びにその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。
提案事項の説明に入ります前に、去る6月19日及び21日の大雨により、県内各地において、住居への浸水や、土砂災害などの被害が発生いたしました。被害を受けられた県民の皆様に対し、心からお見舞い申し上げます。災害の復旧にあたりましては、今後、関係市町と緊密な連携をとり、その対策に万全を期してまいる所存であります。
また、去る6月14日に発生しました岩手・宮城内陸地震、5月2日から3日にかけてミャンマーを襲った大型サイクロン、及び5月12日に発生しました中国の四川省を震源とする大規模な地震によって、犠牲となられた多くの方々に対しまして、謹んで哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたしますとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
去る4月23日、文化勲章受章者で日本芸術院会員でもあった県陶芸界の至宝、青木龍山先生が逝去されました。
「龍山の黒」といわれる天目で陶芸界の最高峰に立たれてなお、意欲的な創作を展開されるとともに陶芸界の発展にご尽力いただいておりました。さらなるご活躍を願っていただけに残念でなりません。謹んで哀悼の意を表し、ご冥福をお祈り申し上げます。
次に、道路特定財源について申し上げます。
道路特定財源につきましては、4月1日の暫定税率の失効と同時に、道路事業を中心に予算の執行留保の措置をとりましたが、税制関連法案などの再可決により、当初想定していた事業費が概ね確保される見通しが立ったことから、県単独事業の一部を除いて執行留保を解除いたしました。
しかしながら、県税である軽油引取税及び自動車取得税等に減収が見込まれており、これについては、国の責任において、地方特例交付金による補てんを強く望むとともに、このような事態を繰り返すことがないよう、本年は税制改正論議を例年より前倒しすることを与野党に求めているところであります。
今後は、道路特定財源の一般財源化後の税制のあり方が議論の中心となります。地方財政全体にとっても、佐賀県にとっても必要な財源が保障され、かつ地方の自由度が高まる制度にすることが重要であり、その旨国に対し政策提案を行っているところですが、今後は地方からのより具体的な提案を行ってまいりたいと考えております。
次に、地方分権改革について申し上げます。
先月末、政府の地方分権改革推進委員会は、内閣総理大臣に第一次勧告を行いました。この第一次勧告は、福祉施設の基準や農地転用をはじめとする土地利用の仕組みなど、これまでの地方分権改革で議論がなされ、引き続き課題となっていた17の重点行政分野の抜本的見直しと、都道府県から基礎自治体である市町村への大幅な権限移譲を中心とする内容であり、「地方政府」の確立に向けた大きな一歩として高く評価できるものと考えております。
この第一次勧告を受けて、政府は、去る6月20日、「地方分権改革推進要綱」を決定したところでありますが、その内容をみると、第一次勧告から後退した印象が否めません。
このため、最終的な政府の意思決定である地方分権改革推進計画が「地方政府」の確立につながるものとなるよう、地方分権改革を進める自治体の首長、議員、そして国会議員との連携をさらに強化しながら、運動を展開してまいります。
続きまして、当面の課題に対する対処方針について申し上げます。
まず、九州新幹線西九州ルートについて申し上げます。
九州新幹線西九州ルートにつきましては、3月26日に武雄温泉―諫早間の工事実施計画が認可され、4月28日に嬉野市において冬柴国土交通大臣をはじめ、関係国会議員の皆様、県議会議員の皆様、並びに県内市町の行政・経済団体等の関係者の皆様にご臨席いただき、起工式を実施いたしました。
この場を借りまして、今日まで多大なるご尽力を賜りました県議会の皆様をはじめ、関係者の皆様に改めて感謝申し上げます。
今後は、鉄道建設・運輸施設整備支援機構により、おおむね10年後の完成を目指して工事が進められていくことになりますが、県としても工事の進捗に最大限協力していくとともに、県内の建設投資効果を高めるための取組を行ってまいります。
また、昨日、庁内に「新幹線活用プロジェクトチーム」を立ち上げたところであり、今後、開業効果を県内のできるだけ広い範囲に波及させるための効果的な施策に、全庁を挙げて取り組んでまいります。
次に、佐賀商工共済問題について申し上げます。
佐賀商工共済問題につきましては、第一陣訴訟において控訴された原告との間で、また、第二陣訴訟において元組合役員の原告との間で訴訟が続いていましたが、このたび、それぞれの訴訟において裁判所から和解を勧告されましたので、早期の被害者救済という従来からの考えに基づき、これを受け入れることとし、和解に関する議案と和解金及び損害賠償金をお支払いするための予算を提出することといたしました。
また、国家賠償法に基づき、井本前知事に対して求償請求訴訟を提起することとし、訴訟の提起に関する議案と訴訟に要する経費に係る予算を提出することといたしました。
なお、訴訟を提起されていないその他の被害者の救済につきましては、外部の委員からなる委員会において、本年1月以降、救済の対象範囲や考え方、支給額の基準などについてご検討いただいているところであります。県としましては、この委員会での検討結果を受けて、できるだけ早期の問題解決を図ってまいりたいと考えています。
続きまして、提案事項についてご説明申し上げます。
今回の補正予算案の編成に当たりましては、当初予算編成後の事態の推移に対処するため、早急に措置を要するものについて所要額を計上することといたしました。
この結果、補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
一般会計特別会計
約 8億 8,200万円
1億 7,000万円
となり、これを既定の予算額とあわせますと、本年度の予算総額は、
一般会計 約 3,939億 1,600万円
特別会計 約 878億 6,300万円
となっております。
以下、予算案の主な内容について申し上げます。
情報化施策につきましては、地域住民が快適で安心・安全な生活が送れるよう、佐賀市及び唐津市が過疎地等において行う移動通信用鉄塔施設整備に対して助成を行い、携帯電話等の利用可能な地域の拡大を図ることとしております。
障害者の地域移行支援につきましては、これまで国に提案してまいりましたグループホームの整備に係る国庫補助制度が今年度創設されたことから、これを活用して事業を推進することといたしました。
企業誘致の推進につきましては、雇用効果や経済効果の大きな大規模企業や今後大きな発展が見込まれる新エネルギー産業等の重点誘致産業の立地を促進するため、これまでの3地域に加え、今回新たに武雄地域において、大型工業団地の整備に向け、県と地元市で共同して取り組むこととしております。
農産物等の海外市場開拓につきましては、先駆者利益を念頭に、経済成長著しい中東諸国への輸出に取り組むこととし、まずは、アラブ首長国連邦のドバイにおける継続的な佐賀牛の取扱いを目指し、販売促進活動を実施することとしております。
道路整備事業につきましては、税制関連法案等の再可決に伴う国の内示を県予算に反映するとともに、現在、県単独事業で取り組んでいる観光拠点施設等への交通アクセスの向上を図るための道路整備について、国の交付金事業である「地域自立・活性化交付金事業」を活用して行うこととしております。
以上、補正予算案の主な内容について申し述べましたが、これに対する一般会計の歳入財源といたしましては、
地方交付税 約 3,900万円
分担金及び負担金 減額 約 7,300万円
国庫支出金 約 12億8,600万円
繰入金 1億7,000 万円
県 債 減額 5億4,000 万円
計 約 8億8,200万円
となっております。
次に、予算外議案といたしましては、条例案として、「佐賀県手数料条例の一部を改正する条例(案)」など四件、条例外議案として、「未登記用地の固定資産税非課税取扱依頼未済による損害賠償について」など5件、あわせて九件となっております。
これらの議案につきましては、それぞれ提案理由を記載しておりますので、説明を省略させていただきます。
以上、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げましたが、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。 |