本日、平成20年11月定例県議会の開会にあたり、提案いたしました平成20年度補正予算案並びにその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。
提案事項の説明に入ります前に、最近の経済情勢への対応について申し上げます。
最近の経済情勢につきましては、世界の金融資本市場が100年に1度と言われる混乱に陥り、世界的な景気後退の兆しが強まる中、我が国においても、株価の大幅な下落、急激な円高が、輸出産業の業績や雇用情勢の悪化など、実体経済や国民生活に深刻な影響を及ぼし始めております。
県内の状況につきましても、個人消費や生産活動、雇用情勢が弱含みで推移する中で、今回の世界的な金融危機が発生したことから、足下の経済状況と将来への影響を把握するため、先月中旬から下旬にかけて、緊急に県内企業70社の訪問調査を実施いたしました。
この結果、「景況感が悪化している」と答えた企業が過半数に上り、また、製造業において「投資を控える」と答えた企業が過半数に上るなど、現在の景況感の悪化とともに、将来の不透明感の高まりが明らかになったところであります。
このような県内企業からの声を受け、先般、原材料価格の高騰に対応した国の新たな保証制度と連動する形で、県制度金融の拡充を図ったところ、開始早々から多くの相談や問い合わせが寄せられ、資金繰りにお困りの中小企業者の方々の期待の大きさを実感したところであります。
県といたしましては、先に決定された国の「安心実現のための緊急総合対策」に対応しつつ、今後とも県民生活の実状に即した各種対策に積極的に取り組んでまいります。
また、先月30日に決定された、生活者の暮らしの安心、金融・経済の安定強化、地方の底力の発揮を重点分野とする、国の「生活対策」につきましても、詳細が明らかになり次第、スピード感をもって適切に対応してまいりますとともに、引き続き県内の経済動向の把握に努め、県として取り組むことのできる最大限の対策を講じてまいる所存であります。
次に、地方分権改革について申し上げます。
地方分権改革につきましては、政府の地方分権改革推進委員会の第2次勧告を控え、直轄国道や1級河川の管理権限の都道府県への移譲や、自治事務に対する義務付け・枠付けの見直しの検討、また、今月に入って麻生総理大臣から具体的な検討の指示がなされた国の出先機関見直しなどの議論が大詰めを迎えております。
佐賀県におきましては、先般、多くの首長・議員の参集のもと緊急総決起大会を開催し、改革の実現に向けた決意を表明するとともに、国に対して、都道府県への権限移譲、地方交付税の復元と安定的な一般財源総額の確保、道路特定財源の一般財源化に伴う「地方枠」の確保などを強く求める決議を行ったところであります。
今後は、この決議に沿って、最終的な政府の意思決定である地方分権改革推進計画が「地方政府」の確立につながるものとなるよう、県議会の皆様をはじめ、関係者の皆様との連携をさらに強化しながら運動を展開してまいります。
続きまして、提案事項についてご説明申し上げます。
このたびの補正予算案の編成におきましては、
一、先に決定された国の「安心実現のための緊急総合対策」に対応した措置を講じること
一、その他、早急に措置を要するものについて所要額を計上すること
を中心として編成いたしました。
この結果、補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
一般会計 約 14億 100万円
特別会計 約 9,100万円
となり、これを既定の予算額とあわせますと、本年度の予算総額は、
一般会計 約 3,998億 1,900万円
特別会計 約 921億 6,700万円
となっております。
以下、予算案の主な内容について申し上げます。
まず、国の「安心実現のための緊急総合対策」への対応について申し上げます。
中小企業対策につきましては、経営環境が厳しさを増す中、県内中小企業者の資金繰りに対する支援を強化するため、国の対策と連動して県制度金融の拡充を図ったところでありますが、これに伴い、今後の資金需要に十分対応できるよう、所要の融資枠を確保することといたしました。
漁業対策につきましては、省エネルギー型漁船エンジン等の導入を支援するため、沿岸漁業改善資金の貸付枠を拡大することといたしました。
地域医療対策につきましては、県民に対し、より適切な医療を提供するため、情報通信技術を活用して県立病院好生館などの診療情報を県内医療機関が参照できるシステムを整備することなどにより、医療機関相互の連携を強化することといたしました。
防災対策につきましては、地震や集中豪雨等による災害の防止など、緊急に必要な事業として国の認証があった道路、河川の整備等について計上することとしました。
次に、その他の予算案について、その概要を申し上げます。
アスベスト対策につきましては、これまで県民の不安を解消し、安全と安心を確保するための対策を講じてきたところですが、トレモライト等の新たな種類のアスベストが国内で検出されたこと、また、規制基準が強化されたことから、県有施設について再調査を実施した結果、基準を上回るアスベストが検出された施設について、応急対策を講じた上で、順次、除去工事を行うこととしました。
有田窯業大学校につきましては、来年度から修業年限4年制の課程を新設することに伴い、必要となる校舎の整備について、債務負担行為を設定することとしました。
特別支援教育の推進につきましては、「佐賀県特別支援教育推進プラン」に基づき、より身近な地域で教育を受けられるようにするため、県東部地域において、病弱の児童生徒を対象とした中原養護学校に、新たに知的障害や肢体不自由の小・中・高等部及び病弱の高等部を段階的に設置することとし、来年四月の知的障害の小学部設置に必要な備品などを整備することとしました。
「九州・山口の近代化産業遺産群」の世界遺産登録に向けた取組につきましては、これまで、九州・山口の関係六県共同で活動してまいりましたが、去る9月26日に開催された文化審議会世界文化遺産特別委員会において、「世界遺産暫定一覧表」への記載が決定されました。
これは、非西洋地域において最初に、かつ極めて短期間に飛躍的な進展を遂げた、世界に特筆すべき日本の近代工業化において、その基礎としての幕末期の西洋技術の導入や、その後の近代工業化の過程を示す確かな産業遺産として評価されたことによるものであります。
今年度から、関係六県で設置した推進協議会において、国内外の専門家を招聘した委員会やシンポジウムを開催することとしておりますが、今後は、資産の構成など国から示された課題の解決を図るとともに、世界遺産登録の実現に向けて県内の機運が高まっていくよう、市町とも連携しながら取り組んでまいります。
公の施設の管理につきましては、現在、指定管理者制度を導入している施設のうち、今年度末に指定期間が終了する佐賀県立女性センターほか25施設について、来年4月から新たに指定管理者への管理委託を行うこととし、必要な債務負担行為を設定することとしました。
不適正な会計事務処理に伴う国庫補助金等の返納につきましては、佐賀土木事務所における平成13年度から平成17年度の支出のうち、昨年度実施された国の会計検査において返納等の措置をとるよう指摘された国庫補助金等について、国の通知に基づき返納することといたしました。
以上、補正予算案の主な内容について申し述べましたが、これに対する一般会計の歳入財源といたしましては、
地方交付税 減額 約 2億 400万円
国庫支出金 約 5億 800万円
諸 収 入 約 3億 5,900万円
県 債 6億 7,700万円
そ の 他 約 6,100万円
計 約 14億 100万円
となっております。
次に、予算外議案といたしましては、条例案として、「佐賀県療育支援センター設置条例(案)」など10件、条例外議案として、「県事業に対する市町の負担について」など32件、あわせて42件となっております。
これらの議案につきましては、それぞれ提案理由を記載しておりますので、説明を省略させていただきます。
以上、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げましたが、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。 |