決算特別委員長報告
委員長 篠塚周城
決算特別委員長の報告をいたします。
9月17日の本会議におきまして、本委員会に付託され、閉会中の継続審査となっておりました、乙第72号議案「平成20年度佐賀県歳入歳出決算の認定について」、乙第73号議案「平成20年度佐賀県立病院好生館事業決算の認定について」及び乙第74号議案「平成20年度佐賀県工業用水道事業決算の認定について」、以上 3件の議案について、11月4日から17日まで、現地視察を含め委員会を開催し、慎重に審議いたしましたので、その経過及び結果について報告いたします。
まず、採決の結果を申し上げます。
11月16日に全ての質疑を終了し、17日に討論に移り、まず乙第72号議案について、反対の立場から
1、「本県の厳しい財政運営に資するために、職員数・給与の削減や、県有施設の民間譲渡を行っている一方で、伊万里市第四工業用水道建設やプルサーマル導入計画関連等に対して、巨額の歳出が行われていることや、唐津総合庁舎、唐津東高校跡地が評価額の2分の1という低価格で払い下げられていることは問題である」
1、「本県は日本初のプルサーマル導入県でありながら、実効性がない原子力防災訓練を行っている。県民が反対しているプルサーマルはやめるべきである」
1、「クリーンパークさがの施設整備等に対して多額の補助をすることには慎重であるべきである」
1、「城原川の治水対策については、早急に河道掘削等の河川整備や堤防の補強等による河川の機能を生かした整備を行うべきであり、建設計画の中止、凍結を求める」
1、「現在の県職員給与の削減は、人事委員会の勧告によらないものであり、地方公務員給与決定の基本原則に反する。職員の士気低下等、広範囲な影響が予想される給与削減に反対する」
1、「指定管理者制度の運用に当たっては、営利本位ではない県内の団体を大事にしながら、県民に理解される仕組みにされたい」
との討論がありました。
次に乙第73号議案について、反対の立場から「県立病院好生館については、社会保障費減少により慢性的な医師不足がもたらされ、患者数の減少につながっている。移転に伴う地方独立行政法人化など、県民への一層の影響が懸念される」
との討論がありました。
以上討論の後、直ちに採決に移り、まず、乙第72号議案及び乙第73号議案、以上2件の議案を一括して採決の結果、賛成者多数をもって認定されました。
次に、乙第74号議案を採決の結果、全会一致をもって認定されました。
続いて、審議の過程で申し述べられました主な意見及び要望の概要を申し上げます。
まず、総務常任委員会関係の事項について申し上げます。
1、県職員や県民の意見を、県組織のあり方をはじめとした県政全般に反映されたい。
1、各種事業の実施にあたっては、今後のさらなる財政難を見通したうえで行われたい。
1、プロサッカーへの財政支援については、県財政の厳しさを踏まえて、今後十分検討されたい。
1、多額の予算が使われている電子県庁システムについては、その費用対効果を示されたい。
1、県民の利便性向上のために、電子申請だけでなく県のホームページの充実にも努められたい。
1、自主防災組織については、低迷している組織率を向上させるための取組みに努められたい。
1、災害時要援護者避難支援個人プランについては、プラン未作成の要援護者の解消に向けて市町を指導されたい。
1、県有未利用財産については、その文化財的価値にも配慮しながら、歳入確保のための有効活用や処分を行われたい。
1、協議会等については、不要なものは廃止する等、速やかな見直しを行い、その適正化に努められたい。
1、指定管理者制度を導入している県の施設については、適切な施設サービスの提供が行われているかについてのチェックを十分に行われたい。
1、県職員OBによる県の外郭団体等へのいわゆる「天下り」は改められたい。
1、行政委員の月額報酬制については、職務の実態に合うよう早急に見直されたい。
1、財政運営においては、社会資本整備と社会保障の充実とのバランスに配慮されたい。
1、県外から県内に納入された軽油に対する軽油引取税の適正な課税に努められたい。
1、公安委員会が運転免許の取消等の処分の前に行う意見の聴取や聴聞については、公安委員が直接行うような制度となるよう努められたい。
1、防犯ボランティア団体が効果的な活動を行えるよう、犯罪情勢等の情報提供を迅速的確に行われたい。
との意見などが出されました。
次に、文教厚生常任委員会関係の事項について申し上げます。
1、公益法人制度改革による新制度への移行については、各団体の設立時の原点に立ち返り、県が組織的協議をもって対応を行われたい。また、指定管理者制度については、営利本位の 民間事業者に委託する場合は、歯止めとなる基準を設けるなど、全庁的に再検討されたい。
1、男女共同参画社会の実現については、審議会への女性委員の登用や、男性の家事参画など、社会のあらゆる分野で進めていくよう取り組まれたい。
1、保育サービスの充実については、保育の質の向上を図るため、保育士の研修に対して支援を行うとともに、保育所への看護師の配置 促進について国に働きかけられたい。
1、太陽光発電の普及については、今後も国の補助制度や長期買取制度の情報を、県民や事業者に対して分かりやすく提供されたい。
1、クリーンパークさがについては、地域振興策の誠意ある実行に努めるとともに、低迷している受入廃棄物量を確保するために、産業界等に支援や協力の要請を行い、公共関与型廃棄物処理施設としての役割を果たすよう、経営の安定化に取り組まれたい。
1、クリーンパークさがについては、公共関与型廃棄物処理施設を作るに至った経緯を原点に立ち返って把握するとともに、産業廃棄物が激減していることから暫定的に受け入れている 一般廃棄物の処理責任は、市町にあることを忘れることなく、県の補助が少なく済むように 運営の立て直しを図られたい。
1、佐賀県社会福祉協議会については、日常生活自立支援事業及び生活福祉資金貸付事業において、市町社会福祉協議会との役割分担や責任の所在が不明確であるなどの問題点があり、改善するよう、指導監督を行われたい。
1、高齢者福祉については、入所待機者の現状を踏まえた介護保険施設等の整備や、福祉有償運送の充実と利用促進に努めるとともに、介護サービス事業者に対して、不祥事防止のための指導を行われたい。
1、障害者の地域生活への移行に当たっては、グループホームの整備支援や運営指導を行うとともに、本人や家族の意向を十分尊重して進められたい。
1、後期高齢者医療制度については、被保険者の負担がこれ以上重くならないよう、制度廃止を国に働きかけられたい。
1、教育委員会における指定管理者制度については、再委託を受けた民間企業が県の施設で収益をあげるなどの問題を抱えており、その制度そのものについて見直されたい。
1、向学心のある学生が経済的理由により勉学を断念することがないよう、育英資金貸付制度等により、県立高校への就学支援対策に取り組まれたい。
1、県立高校の運営に当たっては、勉学に意欲のある学生が経済的事情等により修学を断念しないよう、公費負担を厚くし、保護者の負担軽減に努められたい。
1、子どもたちの健やかな成長を目指し、教育振興・学校支援推進事業やスクールカウンセラーの配置等により、子どもの立場に立って、不登校問題等の解消に取り組まれたい。
1、県立病院好生館の独立行政法人への移行については、整備済みの医療機器は経済性を考慮し新病院へ円滑に移設するとともに、今後も救急医療体制などの充実を図り、高度医療の提供に努められたい。
1、県立病院好生館については、医師や看護師など必要なスタッフの確保に努め、県民に良質で安心できる医療を提供できるよう経営改善に取り組まれたい。
との意見などが出されました。
次に、産業常任委員会関係の事項について申し上げます。
1、県が出資している法人については、再就職した元県職員の報酬を見直し、いわゆる「天下り」を規制するよう努められたい。また、指定管理者については、利用料金収入の余剰金が利用者や県に還元されるよう改善に努められたい。
1、建設業者に対しては、県土づくり本部や業界団体などの協力を得ながら、経営改善への支援や、離職者の就労支援に努められたい。
1、佐賀県地域産業支援センターについては、中小企業経営者などの利用者に安心して利用してもらえるよう、きめ細かな対応に努められたい。
1、企業誘致については、新産業集積エリアの早期整備により、受け皿不足を解消し、雇用確保、経済活性化のために積極的に推進されたい。
1、伊万里市第四工業用水道については、給水原価が給水単価より高いことや、契約水量が見込み以下であることなどから、伊万里市財政を圧迫しないよう、コスト縮減に努められたい。
1、雇用基金事業については、厳しい雇用情勢を考慮し、今後も積極的に取組まれたい。
1、協同組合浜玉ショッピングセンターについては、不動産物件の整理や従業員に対する未払賃金など、負債の早期清算に向けた支援に努められたい。
1、緊急対策融資については、金融機関の貸し渋りに対処し、中小企業の資金繰り円滑化のために積極的に行われたい。
1、中産間地域等直接支払制度については、食料の安定供給や水資源の確保のために継続し、加えて、新品種の開発など小規模農地でも利益が出る施策の実施により、継続的な農業生産が 図られるよう努められたい。
1、イノシシの被害防止対策については、捕獲対策、電気牧柵、ワイヤーメッシュの整備を進めるなど、被害の一層の低減に努められたい。
1、畜産農家への経営指導においては、経営困窮農家に対して、制度資金の活用促進や、経営指導などにより、経営の安定・継続を図る よう努められたい。
1、肉用牛の生産振興については、佐賀牛が全国トップブランドとして定着・拡大するよう、肥育素牛の県内自給率の向上や優秀な種雄牛の作出など、試験研究の充実に努められたい。
1、玄海地区の水産業については、種苗放流における歩留まり率向上を目指した試験研究費の増額などにより、販売単価や付加価値が高くなるよう支援に努められたい。
1、玄海グリーンコースト創生事業については、魚介類の産卵場の確保や周辺海域の水質浄化のために、藻場造成の一層の推進に努められたい。
との意見などが出されました。
次に、県土整備常任委員会関係の事項について申し上げます。
1、県土づくり本部については、繰越が恒常化しないよう、各現地機関への適正な事業費配分を行うとともに、技術職員の育成・確保と適切な配置に努められたい。
1、歳出決算に係る不用額については、現地機関とより一層連携し、事業の早期執行や不用見込額の早期把握に取り組み、繰越額と不用額の縮減に努められたい。
1、建設業の健全な発展のため、建設業界の現状を考慮した入札制度の改正や弾力的運用を行うとともに、業界の要望に応じた適切な支援に取り組まれたい。
1、総合評価落札方式の導入拡大については、試行状況の更なる検証を行い、建設業界の意見を踏まえたうえで慎重に検討されたい。
1、指定管理者の審査にあたっては、施設の特色に応じた適切な審査項目、配点により公平、公正に実施されたい。
1、県営住宅の待機者を解消するため、借上制度の活用を検討するとともに、一部空家がある市町公営住宅の公募の指導・助言に努められたい。
1、小石原川ダム建設事業については、新政権の事業見直しの動向や厳しい財政状況を考慮し、慎重に対処されたい。
1、巨勢川調整池の機能発現のため、巨勢川上流の早期改修に努めるとともに、調整池の残土処分予定地だった地域との協議を実施し、振興策の推進に取り組まれたい。
1、森林環境税による森林整備の一層の促進と、担い手の育成に努められたい。
1、有明佐賀空港については、収支の改善及び増便の実現に向け、積極的な利用促進に取り組まれたい。
1、九州新幹線西九州ルートの整備については、事業優先順位を見直し、ハード事業ではなく観光などのソフト事業への取組みを充実されたい。
1、九州新幹線長崎ルートの整備については、県民の声を聞き、国の動向を注視しながら慎重に取り組まれたい。
1、唐津港の整備においては、多様性を持った特色ある港づくりを着実に推進されたい。
との意見などが出されました。
以上をもちまして、決算特別委員長の報告を終わります。
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