男女共同参画社会の形成につきましては、県内の男女が自ら企画・運営し、男女平等意識の定着を図るイベントを開催するほか、市町村、企業、団体等のトップを対象に「男女共同参画トップセミナー」を開催することといたしております。
交通安全対策につきましては、依然として厳しい情勢にある交通事故を抑止するため、県内各地を巡回指導する「交通安全教育車」を導入するほか、21世紀の交通情勢を見据えた高度交通管制システムの整備を推進することといたしております。
次に、県土の保全につきましては、安全でうるおいのある県土の形成と緑豊かな生活環境を保全するため、山地災害の復旧・予防等を行う治山事業、地すべり防止事業、保安林整備事業等を引き続き計画的に実施することといたしております。
また、公益的機能を有する佐賀平野の幹線的なクリークについて、洪水調整機能の強化・保全を図るため、護岸整備等を内容とする「クリーク防災機能保全対策事業」を新たに実施することといたしております。
第二は、『多彩な文化を創る佐賀をめざして』についてであります。
県民が、ゆとりやうるおい、さらには身近に文化を志向する傾向を強めているなかで、県民一人ひとりが文化に親しみながら充実した時間を過ごすことができるような「多彩な文化を創る佐賀」をめざしてまいります。
まず、本県の幕末から近代にかけての歴史・文化をテーマとした「県立歴史資料館(仮称)」につきましては、今回、建物復元のための基本設計を行うことといたしております。
また、吉野ヶ里歴史公園は、平成13年春の第1期開園をめざして整備を進めておりますが、本年秋には、国、県、地元自治体等が一体となって、開園プレイベントを開催し、開園に向けたムードづくりや情報提供を図ることといたしております。
また、「吉野ヶ里遺跡」と福岡県の「平塚川添遺跡」、長崎県の「原の辻遺跡」との情報交換や子供たちの相互交流等を通して、新しい地域連携の促進を図るため、「九州北部3県姉妹遺跡交流促進事業」を実施することといたしております。
次に、本県の情報発信、イメージアップにつきましては、本県にゆかりのある3人の作家に依頼して作成した、続小説「佐賀3部作」をもとに、各種広報活動を展開することといたしました。
第三は、『きらめく人を育む佐賀をめざして』についてであります。
21世紀を担う、たくましさと思いやりを持った心豊かな人づくりと、社会の変化にも的確に対応し得る、意欲的な人材を育成する、「きらめく人を育む佐賀」をめざしてまいります。
まず、教育内容の充実につきましては、来るべき21世紀に向け、たくましく健やかな子供達を育成するため、学校家庭地域社会がそれぞれ相互に連携をとって、「教育ルネサンス21さがっ子アクションプラン」に取り組むこととし、「教育県佐賀の再生」をめざしていくことといたしております。
具体的には、幼児期に身につけるべき社会性や協調性など、社会生活を送るうえでの基本的な生活態度を養成するため「すこやかさがっ子育成推進事業」を展開するなど、幼児期からの教育の充実を図っていくことといたしております。
また、学校教育においては、増加の傾向にある不登校や問題行動に対応するため、スクールカウンセラーを県下の中学校区全てに配置するとともに、特に、問題行動の多い中学校に対しては、生徒指導をより徹底出来るよう非常勤講師を配置することといたしました。
さらに、こうした不登校や問題行動の一因ともなっている学力不足に対応し、基礎学力の定着を図るため、全ての小中学校でティームティーチングを実施するなど、きめ細かな施策展開を図ることといたしております。
次に、教育環境の整備につきましては、嬉野商業高校を平成12年度から総合学科へ改編し、教育内容・教育方法の新たな展開を図るため、施設の改修を行うことといたしております。
また、養護学校の規模の適正化と遠距離通学に伴う児童生徒並びに保護者の負担軽減を図るため、唐津市に養護学校を新設することといたしておりますが、本年度から建築工事に着手することとし、その所要額を計上いたしております。
このほか、本県の伝統的産業であり文化である「やきもの」を学校給食に取り入れて、魅力ある学校給食を実現するため、新たにやきもの食器を導入する市町村に対して、その軽費の一部を助成することといたしております。
また、漕艇競技の競技力の向上並びにその普及振興を図るため、唐津市が建設を計画しているボートハウス(仮称)に対して、建設費の一部を助成することといたしております。
次に、私立学校の振興につきましては、私立幼稚園における教育費の保護者負担を軽減し、少子化に対応した子育て支援を図るため、2人以上の子供が同時に在園している世帯に対して、幼稚園がその保育料を減免する場合に助成することといたしました。
このほか、県内高校出身者の大学進学率の上昇に対応するとともに、教育費負担の軽減を図るため、佐賀県育英資金の大学進学者貸付枠を拡大することといたしました。
さらに、本県の教育、文化、経済等の発展を図るとともに、個性豊かな人材の育成をめざすため、21世紀の新たな県づくりにふさわしい大学等高等教育機関について、導入構想を策定することといたしております。
第四は、『たくましく産業が伸びゆく佐賀をめざして』についてであります。
社会経済環境の変化に対応しながら、それぞれの産業の高度化・高付加価値化を促進し、多彩で創造的な産業が発展する、「たくましく産業が伸びゆく佐賀」をめざしてまいります。
はじめに、農林業の振興について申し上げます。
農林業を取り巻く情勢は、産地間競争の激化、農産物価格の低迷による所得低下、担い手の減少や高齢化の急速な進行、中山間地域の活力低下など、大きく変貌してきております。
これらの諸情勢に的確に対処し、本県の基礎産業である農林業の将来にわたる健全な発展を図っていくためには、消費者のニーズに適切に対応し得る生産・流通体制を確立し、競争力のある収益性の高い農林業を構築していく必要があります。
また、農業・農村の多面的機能を十分に発揮できるような魅力ある農山村づくりをめざしていくことが重要であります。
そこで、まず、米・麦・大豆など土地利用型農業の体質強化につきましては、一層の生産性向上と高品質化を図るため、農協等が行う高性能な営農用機械の導入や共同乾燥施設の整備に対して助成することといたしております。
園芸の振興につきましては、地域の特性を生かした多彩な園芸産地を拡大し、収益性の高い、経営を展開する園芸農家の育成を図るため、ハウス施設や省力機械の整備に加え、新技術導入等を総合的に推進する「21世紀さが園芸農業確立対策事業」を新たに実施することといたしております。
畜産の振興につきましては、経営の体質強化を図るため、高品質な銘柄「佐賀牛」の生産拡大や乳牛の改良を推進するとともに、畜産環境の保全を図るため、新たに「佐賀畜産環境クリーンアップ緊急対策事業」を実施し、畜産農家が行うふん尿処理施設等の整備に対して助成することといたしました。
また、「と畜場法施行規則の一部改正」に伴う新たな衛生管理基準に対応するため、佐賀県畜産公社が行う施設整備に対して助成することといたしております。
さらに、環境等に配慮した持続的農業の推進につきましては、減農薬栽培の産品等について、新たに本県独自の「特別栽培農産物認証制度」の整備に取り組むなど、より安全・安心な農産物の生産と有利販売を進めることといたしております。
中山間地域農業・農村の振興につきましては、豊かな農産物や自然・文化など、地域資源を総合的に活用した拠点的施設のあり方について調査を行うほか、高齢者の日常生活を支援するボランティア組織の育成や高齢者の地域社会活動への参加を促進する事業に対して助成することといたしております。
林業の振興につきましては、森林の公益的機能の維持増進に資するため、森林の保育・間伐事業などの造林事業や林道整備事業等を促進することといたしております。
また、木材の利活用を促進するとともに、林業活動や木材産業活性化等を図るため、大型の公共建築物等の木造化に対し助成することといたしております。
次に、水産業の振興について申し上げます。
本県の水産業を取り巻く環境は、水産資源の減少、魚価の低迷、漁業就業者の減少と高齢化の進行など、極めて厳しい状況にあり、加えて「国連海洋法条約」に伴う排他的経済水域の設定や漁獲可能量制度による資源管理の実施、漁場の環境保全など、多くの課題をかかえているところであります。
このため、玄海地域及び有明海地域の水産業の振興を図ることとし、各種施策に積極的に取り組み、海域の特性を生かした「つくり育て、管理する漁業」の推進に努めてまいります。
まず、養殖業の振興につきましては、大型珪藻の異常発生等により生産低下をきたしているクルマエビ養殖について、緊急対策として、原因究明及び防除技術等に関する調査検討を実施することといたしております。
漁港の整備につきましては、漁業と海洋性レクリェーションとの調和ある発展、共生が図られるよう、仮屋漁港において、プレジャーボート等を係留する簡易な施設等の整備を行うことといたしました。
このほか、海や漁業に関心を持つ高等学校の生徒を対象として、漁業体験・実習を行い、漁業への理解と関心を高めて漁業後継者の確保に努めることといたしております。
次に、商工業の振興について申し上げます。
景気の低迷状態が長引くなか、県内中小企業は、引き続き厳しい経営環境にあり、また、雇用情勢も極めて懸念すべき状況にあるため、金融・雇用の両面から機動的に対応することが重要であると考えております。
そこで、まず、金融対策につきましては、県内中小企業者の経営の安定と倒産防止を図るため、既存の制度金融に加え、既往借入金の返済資金の確保が困難な中小企業者に対し、その返済金等の一部を融資する「返済資金緊急特別貸付制度」を新たに創設することとし、40億円の融資枠を確保することといたしております。
また、雇用対策につきましては、中高年齢離職者の早期再就職を促進するために、「中高年齢者特別雇用奨励金制度」を創設するとともに、賃金未払いや解雇問題等の広範な労働問題に緊急に対処するため、巡回による労働相談窓口及び労働相談専用電話を設置することといたしております。
さらに、技能後継者育成や技能の振興を図るため、県内における高度熟練技能の活用を促進する「佐賀マイスター制度」を創設するとともに、熟練技能を有する高齢者の就業や社会参加の拡大を支援することといたしております。
次に、厳しい状況にある商店街の活性化につきましては、県、市町村、関係団体が一体となって引き続き商店街活性化緊急対策に取り組むことといたしております。
まず、魅力ある商業環境を創出するため、地域が取り組む憩いの広場の設置や商店街の外観統一などの事業に対し、引き続き助成することといたしております。
また、駐車対策としての無料買い物バスの運行や空き店舗の活用による商店街の賑わい創出等についても支援することといたしております。
流通機能の強化につきましては、鳥栖流通業務団地について、今年度から基本設計や土質調査、関係機関との協議、調整など、具体的な事業に取り組んでいくこととしております。
次に、地域産業の振興及び新産業の創出につきましては、産業構造の変化や国際化、高度情報化等、企業活動を取り巻く社会・経済環境の急激な変化の中で、技術力の向上や新分野・新事業への進出の促進などに向けた取組みを一層強化することが重要と考えております。
このため、中小企業等が行う新製品・新技術の研究開発に対して、引き続き助成することといたしております。
また、急速に進展する情報通信技術を活かして企業活動等の活性化を図るため、ケーブルテレビを高度情報通信網として活用する基盤整備に対して助成することといたしております。
さらに、産学官が連携し、本県産業技術の高度化等を促進するため、財団法人佐賀県地域産業支援センターにおける科学技術推進機能の整備を支援することといたしました。
また、次世代における産業技術の創出を図るため、小型シンクロトロン光応用研究施設の基本設計に着手することといたしております。
次に、観光の振興につきましては、本年10月に福岡市において開催される「アジア・太平洋旅行博'99」に出展するとともに、コンペンションツアーを実施し、来場者や旅行関係者に対して、本県の観光の魅力を広く紹介することといたしております。
このほか、88万県民の一人ひとりが、新世紀に向けて夢と希望を持ち、さらに元気を高めること等を目的として、農林業、商工業、水産業等の各産業団体や市町村等と一体となって、21世紀記念イベント「元気祭り・佐賀21(仮称)」を開催することといたしております。
第五は、『いきいきと交流する佐賀をめざして』についてであります。
地域の活性化を図るため、様々な分野における交流を促進するとともに、それらの基盤となる交通、情報通信ネットワーク等の整備を推進し、「いきいきと交流する佐賀」をめざしてまいります。
まず、昨年7月に開港いたしました有明佐賀空港につきましては、この5月末までに、国内定期便の搭乗客数が33万人を超えたほか、国際チャーター便も58便が就航しており、今後とも引き続き、空港の利活用の推進に取り組んでまいる考えであります。
また、「利用しやすい便利な空港」にするため、東京路線の増便や運用時間の延長等について、運輸省や航空会社へ働きかけを行うとともに、大型ジェット機が就航可能な滑走路2,500メートル化に向けた基礎調査に取り組むことといたしております。
さらに、空港の立地を生かした海上アクセスの可能性及び救難用ホバークラフトが安全でより迅速に出動できるための施設の設置可能性について調査することといたしております。
道路の整備につきましては、長崎県・佐賀県をまたぐ広域観光ルートとしても重要な路線である県道佐世保嬉野線において、幅員が狭く交通の難所となっている現在のトンネルに代わる「嬉野トンネル(仮称)」の建設工事に着手することとし、このための債務負担行為を設定することといたしました。
港湾の整備につきましては、伊万里港のコンテナ貨物の増加に対応するため、コンテナヤードの2期整備を行うことといたしております。
また、本県における建築・デザインを中心とした学術の振興、人材の育成、さらには、佐賀からの情報発信など、地域の活性化に資するため「早稲田バウハウス・スクール・イン佐賀」の開催経費に助成することといたしております。
国際交流の推進につきましては、新世紀に向けて国境を越えた交流ネットワークをつくりあげていくために、諸外国から来日する著名人等を佐賀県へ招致するとともに、佐賀で暮らした経験のある外国人との交流を図る「佐賀国際ネットワーク推進事業」を実施することといたしました。
広域行政の推進につきましては、市町村の自主的合併を推進するため、民間団体などが行う市町村合併についての調査研究や啓発事業に対し、引き続き助成を行うほか、新たに、合併の具体的手順等について研究を行う「市町村合併推進講座」を開催し、合併推進への気運の醸成を図ることといたしております。
第六は、『美しく快適な佐賀をめざして』についてであります。
近年、ごみ処理や大気・水質の汚染など、身近な環境問題に加え、地球温暖化やダイオキシン、環境ホルモンなど、新たな環境問題への対応が重要な課題となっております。
このため、今日の環境問題に適切に対処するとともに、健全で恵み豊かな環境を将来の世代に引き継いでいくため「環境にやさしい社会づくり」をめざし、自然環境の保全や地球環境問題などに対応していくとともに「佐賀県環境影響評価条例(案)」についても審議をお願いしているところであります。
また、地域の特性を生かした快適で魅力ある都市環境や農村環境の整備を推進するとともに、美しい緑のふるさとを創っていくことをめざします。
まず、環境に優しい社会をつくっていくため、ダイオキシン調査につきましては、大気環境調査に加え、新たに土壌及び水質調査を実施するほか、環境ホルモンについて、今後の対策に役立てるため、分析機器を整備する等して、実態の把握を行っていくことといたしております。
廃棄物対策につきましては、廃棄物の適正処理を確保しつつ、減量化・リサイクルの推進を図るとともに、循環型社会システムの構築を目指すため、産業廃棄物の排出事業者を対象に適正処理や減量化等について、指導、普及啓発を図ることといたしております。
地球環境問題につきましては、県として環境保全対策に率先して取り組むため、県庁本館並びに、武雄、鳥栖、唐津の3総合庁舎に太陽光を利用した発電システムを設置することとし、今年度は、設置のための実施設計を行うことといたしております。
次に、水と緑を生かした自然のふれあい空間の形成について申し上げます。
緑豊かで潤いのある生活環境を創出し、身近な緑を確保していくため、新たに「みどりの里づくり事業」を展開し、平野部において、県民の参加も得ながら、ゆとりと安らぎが感じられる緑の空間づくりを推進していくことといたしております。
生活環境の整備につきましては、下水道整備事業において、市町村が行う事業を推進するため、引き続き所要の経費を助成し、市町村の負担軽減を図ることといたしております。
次に、その他の事項について申し上げます。
これからの新たな地方分権の時代に対応していくため、市町村合併の推進や簡素で効率的な行政運営の実現をめざして創意工夫をこらすほか、県民と県との間の情報の流れをより円滑にする「県政情報ロード整備事業」を実施し、県政に関する情報提供の充実等を図ることといたしております。
また、現在の「佐賀県新総合計画」は、平成5年12月に策定したところでありますが、21世紀を間近に控えた今日、本格的な少子・高齢社会の到来や国際化、情報化の急速な進展、新たな環境問題、右肩上がりの経済の終焉、さらには地方分権、規制緩和等の構造改革が進められるなど、計画策定時の想定を超える社会経済情勢の変化が見られるところであります。
これらの背景を踏まえ、21世紀における佐賀の姿とその実現に必要な方策等を明らかにするために、新しい総合計画の策定に着手することといたしました。
以上、補正予算案の主な内容について申し述べましたが、これらに対する一般会計の歳入財源といたしましては、
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地方交付税 |
約 201億7,700万円 |
国庫支出金 |
約 185億1,200万円 |
諸 収 入 |
約 88億4,800万円 |
県 債 |
226億700万円 |
そ の 他 |
約 95億8,400万円 |
計 |
約 797億2,800万円 |
となっております。
次に、予算外議案といたしましては、条例案として、「佐賀県部設置条例の一部を改正する条例(案)」など8件、条例外議案として「請負契約の変更について」1件、あわせて9件となっております。
これらの議案につきましては、それぞれ提案理由を掲載しておりますので、説明を省略させていただきます。
以上をもちまして、今回提案いたしました議案の説明を終わる次第でありますが、なにとぞ、よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。