まもなく、21世紀を迎えようとしています。二つの大戦をはじめ、戦争が人類に史上かつてない災禍をもたらした20世紀が、総括できないものをかかえて終わろうとしています。
戦後53年が経過し、日本国内では戦争を知らない世代が多数を占めるようになりました。しかし、「満洲事変」に始まり、「太平洋戦争」の敗戦で終わった「15年戦争」について、アジア諸国の人々が被った被害の実態やそうした被害を発生せしめた原因、経過、仕組みなどが詳しくわかっておりません。
日本がアジア諸国に残した多くの傷あとは、半世紀を経たいまもまだ癒されることなく、日本政府からの正式謝罪と個人補償を求めた被害者の訴えが続いています。
1997年から、中学校の歴史教科書のすべてに「強制連行」や「従軍慰安婦」が記述されるようになりましたが、過去に対する否定的な論争が地方議会など至るところで起こっており、このような日本国内の状況ま国際的にも日本に対する不信感、マイナスイメージを強めています。
私たちは、アジアをはじめ、諸外国と、信頼・友好・平和の関係を築いてゆくことを心から願っています。過去の歴史についての認識をアジア諸国の人々と共有し、国際的にも認められる立場に立つためには、日本による植民地支配とアジア太平洋戦争における日本が与えた内外の被害の実態について、真相を国の責任で調査し、その調査結果を公表して後世に伝えて行くことが必要かつ重要だと考えます。
現在、「恒久平和のための真相究明法の成立を目指す議員連盟」が「国立国会図書館法の一部を改正する法律案」を提出し、戦争被害の実態調査にあたる調査局の設置を求め、先の通常国会で継続審議となっております。私たちもこの経過を踏まえて、再び戦争による惨禍をくりかえさない決意のもとに、貴議会として、禍根を21世紀へ持ち越さず、戦争被害の真相究明調査のための立法を早急に制定するよう、政府に意見書を送ることを求め請願いたします。
平成11年9月21日 |