議案等の審議結果
意見書案と採決状況
意第20号
可決
森林・林業・木材産業施策の推進に関する意見書(案)
森林は、国土保全、水源涵養、環境保全、地球温暖化防止など、国民生活にとってかけがえのない重要な役割を果たしている。特に、近年、地球温暖化が深刻な環境問題となる中で、二酸化炭素を吸収・固定する森林・木材に対し大きな関心と期待が寄せられている。
しかし、森林・林業・木材関連産業の現状は、長期にわたる木材価格や国産材利用の低迷の影響により、経営基盤が依然として脆弱であり、森林・林業の担い手である山村は、引き続き危機的な状況を脱していない。
こうした中、本年3月「山村振興法」が改正され、「地域の特性を生かした産業の育成による就業機会の創出」や「定住の促進」等が新たに基本理念に盛り込まれた。
この新たな基本理念を踏まえ、山村地域の再生、地域経済の活性化を図るためには、森林・林業・木材産業施策の推進は急務であり、立地条件に対応した森林整備、間伐材等の利活用、適切な治山対策、鳥獣害対策の実施等が重要となっている。
また、近年多発している集中豪雨や台風に伴い発生が危惧される大規模な山地災害に備えるための災害に強い森林づくりを進めることが急務となっている。
よって、国会及び政府は、今後の森林・林業・木材産業施策の推進に当たっては、特に下記の施策を実現されるよう強く要請する。
記
1 現行「森林・林業基本計画」に基づく施策の着実な推進と、平成28年度を始期とする「森林・林業基本計画」に、主伐・再造林の推進をはじめとする資源の循環利用に向けた具体的政策を反映させる等、地域林業における課題解消に向けた新たな政策の確立を図るとともに、川上から川下までの総合的な取り組みである森林整備加速化・林業再生交付金の拡充と恒久化を実現すること。
2 「森林・林業基本計画」の着実な推進及び地球温暖化防止森林吸収源対策に係る平成28年度予算の確保を図ること。
また、地球温暖化対策に必要不可欠な森林吸収源対策の推進を図るため、「地球温暖化対策のための税」の使途に森林吸収源対策を追加する等、森林整備推進等のための安定財源の確保を図ること。
3 「木材自給率50%以上」の達成に向け、地域材を利用した公共建築物の木造化、新たな木材利用の創出及び木質バイオマス等の利用促進を図るとともに、地域材及び認証材の計画的供給・販売体制の確立を図ること。
4 地域振興・山村振興に向けて、地方創生施策と連動した森林等の保全の推進並びに山村における産業基盤及び生活環境の整備の促進を図るとともに、地域資源を活用した林業・木材関連産業の振興による地域林業の確立、定住促進に向けた地域の林業事業体における受注機会の増大、所得の向上に向けた支援、雇用の拡大・改善を行う企業に対する支援等、必要な方策を講じること。
また、国の事業の発注に当たっては、事業体の育成・確保の見地に立った都道府県を基本単位とした入札参加資格、植栽から下刈りまで一括した複数年契約の導入など、山村地域の振興、林業における地元雇用の安定的な確保が図られる入札制度に見直すこと。
5 条件不利地域など適正な整備が進まない森林については、水源林造成事業等による公的森林整備の拡充を図ること。
6 造林木保護のための野生鳥獣害対策の強化を図ること。
7 地域の安全・安心の確保のため、台風や集中豪雨による山地災害からの早急な復旧を図るとともに、治山対策の推進を通じた災害に強い森づくりや、治山・林道施設の長寿命化による「緑の国土強靱化」の推進を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成27年12月 日
佐 賀 県 議 会
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
衆議院議長 大島 理森 様
参議院議長 山崎 正昭 様
財務大臣 麻生 太郎 様
総務大臣 高市 早苗 様
農林水産大臣 森山 裕 様
経済産業大臣 林 幹雄 様
国土交通大臣 石井 啓一 様
環境大臣 丸川 珠代 様
以上、意見書案を提出する。
平成27年12月18日
提出者 全議員
佐賀県議会議長 中倉 政義 様