現在、 国際的には人口の爆発的増加や食料生産の制約要因の拡大により、 中長期的に食料需給が逼迫することが予想され、 国内的には、 農業従事者の高齢化と後継者不足、 農村の過疎化が進む中、 国民が安心できる安全な食料の安定供給と食料自給率の向上、 国土・環境保全など農業のもつ多面的機能の発揮、 持続的発展が可能な農業・農村社会の構築に向けた施策の推進が求められている。
一方、 農産物貿易が拡大する中で、 ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意に見られるように、 世界的な貿易ルールが国内の農業・農政の展開を規定し、 ひいては地域のありようにも影響を及ぼすものとなっている。
よって、 国会及び政府におかれては、 本年11月開催予定の、 WTO閣僚会議など、 今後のWTO農業交渉において、 各国における 「多様な農業の共存」 を基本とした我が国提案を踏まえ、 毅然たる態度で交渉に臨まれるよう下記の事項について、 強く要望する。
1. 国土・自然環境の保全など、 農業のもつ多面的機能を重視した貿易ルールの確立を図ること。
2. 地球規模での食料の需給逼迫に対応するため、 食料自給率を向上させ、 国内生産を基本とする食料安全保障システムの確立を図ること。
3. 各国の生産・消費の実情等を踏まえ、 国内支持水準については、 各国の農政改革の進捗状況に合わせた現実的なものとするとともに、 品目ごとに適切な関税水準やアクセス数量の設定を行うこと。
4. 農産物の特性に十分配慮し、 輸入急増等の事態に機動的、 効果的に発動できるようなセーフガードを創設するとともに、 特別セーフガードについては維持すること。
5. 食料の安全性を確保するため、 遺伝子組み換え食品を含む厳格な安全基準の策定と透明な表示ルールの確立を図ること。
以上、 地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成13年10月 日
佐 賀 県 議 会
衆 議 院 議 長 綿 貫 民 輔 様
参 議 院 議 長 井 上 裕 様
内閣総理大臣 小 泉 純 一 郎 様
農林水産大臣 武 部 勤 様
外 務 大 臣 田 中 眞 紀 子 様
経済産業大臣 平 沼 赳 夫 様
以上、 意見書案を提出する。
平成13年10月5日
提出者 全議員
佐賀県議会議長 宮 原 岩 政 様
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