「聖域なき構造改革」 の名によって、 国民の暮らしや地方自治体の財政基盤が圧迫されることが懸念される。 地方財政の現状は、 景気の低迷に伴う税収の落ち込み、 国の経済対策に伴う公債費負担の増加など、 非常に厳しい状況にある。 こうした状況の中で、 地方交付税総額の削減ありきの対応がとられるならば、 公共サービスの維持に著しい困難が持ち込まれかねない。
そもそも地方交付税は、 地方公共団体の税源の不均衡を調整し、 どの地域においても一定のサービスを提供できるよう財源を保障するための、 地方共有の固有財源であり、 地方自治の本旨の実現に資するとともに、 地方公共団体の独立性を強化するものである。 現にその多くは国の法及び制度による義務的な歳出に要する財源の保障に充てられている。
地方交付税の削減や、 段階補正の縮小などの一方的な財政措置によって、 市町村合併へと誘導しようとすることは、 本末転倒であり、 地方自治の本旨を損なうものである。
よって、 政府に対し、 次の事項を強く要請する。
1. 地方交付税総額の削減ありきの予算編成は行わないこと。
2. 政府の経済対策の多くを地方単独の公共事業に求め、 その財源を地方債の発行と償還のための地方交付税措置に担わせる従来の方法を改め、 公共サービス充実のための十分な基準財政需要額の算定を行うように見直すこと。
3. 「段階補正の縮小」 など小規模な市町村に不利になるような一方的な財政措置や交付税算定は行わないこと。
4. 地方交付税制度のあり方の検討に当たっては、 国から地方への税源移譲と対で論議すること。 その際、 地方税の充実は 「消費税増税」 等での新たな住民負担は避けること。
以上、 地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成13年10月 日
佐 賀 県 議 会
衆 議 院 議 長 綿 貫 民 輔 様
参 議 院 議 長 井 上 裕 様
内閣総理大臣 小 泉 純 一 郎 様
総 務 大 臣 片 山 虎 之 助 様
財 務 大 臣 塩 川 正 十 郎 様
経済財政政策担当大臣 竹 中 平 蔵 様
以上、 意見書案を提出する。
平成13年10月5日
提出者 武 藤 明 美 宮 崎 泰 茂
佐賀県議会議長 宮 原 岩 政 様
|