日本の国土の7割を占める森林は、国土の保全、良質な水の確保、地球温暖化の防止や自然とのふれあいの場の提供など、国民生活に欠くことのできない多面的機能を有し、その評価額は70兆円ともいわれており、この機能は山村地域の人々の林業活動に支えられ維持・発揮されてきたところである。
ところが、我が国の林業は、木材価格の低迷などにより採算性が悪化するなど、極めて厳しい環境にある。このため、森林所有者の林業への意欲や関心が低下し管理不十分な森林が増加し、さらに、山村地域においては、人口の流出と高齢化が進むなど、国民のニーズに応えた森林管理を図っていくことが一層困難になっている。
佐賀県内においても、森林資源は成熟しているもののスギ・ヒノキを伐採・出荷しても、ほとんど所得にならないばかりか、マイナスになる事態も見られ、このようなことから間伐などの育林作業の意欲は、益々減退している。
一方、本年3月には新たな「地球温暖化対策推進大綱」が策定され、二酸化炭素の吸収量である3.9%を確保するためには、より一層の森林整備が不可欠であるとされている。
このような状況の中、環境の世紀といわれる21世紀を見据えた時、地球温暖化防止など森林の有する多面的な機能が充分に発揮され、地球環境を守り、国民の生活環境を守る森林の健全な整備を進めるためには、林業の振興対策に加え、国民全体で支える観点からの総合的かつ計画的な森林・林業対策の推進が必要である。
よって国においては、今こそ、森林を国民共通の公共財、環境財と明確に位置づけながら、21世紀にふさわしい林政の推進に向け、次のことを早急に実現するよう強く要望する。
1 「森林・林業基本計画」に即し、望ましい森林を達成するための新たな 森林整 備の推進と、それを支える林業労働力の確保対策の充実強化を図る こと。
2 森林資源の循環利用を促進し、地域での着実な森林整備を推進するため間伐 材を含む木材の利用促進対策の充実強化を図ること。
また、木材の輸入については秩序あるものとすること。
3 林業を支える山村地域の振興を図るため定住基盤や林業生産基盤の整備対 策の充実強化を図ること。
4 「地球温暖化対策推進大綱」の実行確保のため、森林・林業政策を地球温暖化 防止対策として重点分野に位置づけ予算の確立を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成14年7月 日
佐 賀 県 議 会
衆 議 院 議 長 綿 貫 民 輔 様
参 議 院 議 長 倉 田 寛 之 様
内閣総理大臣 小 泉 純 一 郎 様
総 務 大 臣 片 山 虎 之 助 様
財 務 大 臣 塩 川 正 十 郎 様
農林水産大臣 武 部 勤 様
林野庁長官 加 藤 鐡 夫 様
以上、意見書案を提出する。
平成14年7月4日
提出者 全議員
佐賀県議会議長 宮 原 岩 政 様 |