東京電力㈱の福島第一、 同福島第二、 同柏崎刈羽の各原子力発電所において、 80年代後半から90年代にかけ10年以上にわたり自主点検作業記録等の記載に不正があったことが明らかになったが、 当県にも九州電力㈱玄海原子力発電所が立地しており、 県民すべてが原子力発電所の安全性、 信頼性について重大な関心を寄せているところである。
その後、 東北電力㈱女川原子力発電所、 中部電力㈱浜岡原子力発電所でも同様のトラブル隠しが相次いで発覚しており、 原子炉内部の安全上極めて重大な機器の亀裂や損傷等を隠したままの運転や、 自主点検作業記録等の不正記載や改竄などのトラブル隠しについて、 電力会社はその事実を厳しく反省するとともに、 極めて重い社会的責任を負わなければならない。
また、 国においては自主点検作業記録等の不正について情報提供がありながら、 その状況を今日まで明らかにしてこなかったことは、 原子力発電所等の立地地域の住民の気持ちを踏みにじるものであり、 原子力行政に対する国民の不信感を増大させるものと言わざるを得ない。
このため、 国においてはこのような深刻な状況を認識のうえ、 原子力の安全性に対する国民の信頼を早急に回復するため、 すべての事実関係を明らかにし、 原子力行政における指導監督責任を明確にし、 責任ある対応をするよう強く求めるとともに、 次の事項について万全の措置を講じられるよう強く要望する。
1. 電力会社の自主点検記録等の不正記載について、 厳正かつ徹底的な調査を行い関係原子力発電所の安全性を確認すること。 また、 再発防止対策に万全を期し、 関係事業者の厳正な指導監督を行うこと。
2. 原子力事業者の自主点検作業に係る検査の簡略化と検査基準の緩和は行わず、 定期検査、 自主点検等の充実強化を図るとともに、 従事者の安全モラルの確保を徹底すること。
3. 今回の調査に関し、 第三者を含めた調査委員会のもとで厳正な調査、 評価を行い、 その結果を関係自治体に対し十分に説明するとともに、 情報公開の徹底を図ること。
4. 今後、 違反事実の告発等については、 告発者保護を基本に、 迅速かつ公正、 厳格に調査を実施し、 結果を速やかに公表すること。
以上、 地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成14年10月 日
佐 賀 県 議 会
衆 議 院 議 長 綿 貫 民 輔 様
参 議 院 議 長 倉 田 寛 之 様
内閣総理大臣 小 泉 純 一 郎 様
経済産業大臣 平 沼 赳 夫 様
資源エネルギー庁長官 岡 本 巖 様
原子力安全・保安院長 佐 々 木 宜 彦 様
原子力安全委員会委員長 松 浦 祥 次 郎 様
以上、 意見書案を提出する。
平成14年10月4日
提出者 全議員
佐賀県議会議長 宮 原 岩 政 様 |