政府の総合規制改革会議は、平成15年2月17日「規制改革推進のためのアクションプラン」を公表し、その重点検討事項の一つに「医薬品の一般小売店における販売」を取り上げている。
同会議は、医薬品が効能効果とともに副作用被害の危険性をあわせ持っているにもかかわらず、医学・薬学の専門家のいない委員構成の中で、利便性のみの観点から一般小売店における販売を求めている。
医薬品のうち作用が比較的緩和なものについては、一般小売店で販売のできる医薬部外品とするなど適切な見直しを図ることは理解できるが、薬事法に基づく医薬品製造・販売等に係る諸規制は、過去の副作用被害事例等の反省の上に立って築き上げられたものであり、医薬品の品質、有効性及び安全性を確保し人の生命・健康を守るために不可欠な社会的規制である。
ところで、当県には、江戸時代より三百有余年の歴史を有する伝統的地場産業である医薬品配置販売業があり、当県基幹産業の一つである製薬産業へ発展するとともに、長年にわたり地域社会に密着し県民の保健衛生の向上に寄与している。また、県内の医薬品販売業者は、需要の多い医薬品ばかりでなく、希少な医薬品も、県民が適切に入手できるようその責任を果たしている。
超高齢社会を迎える我が国において、医薬品提供体制は国民の健康や安全をどのようなシステムで支えるかという視点で考えるべき問題であり、経済ベースのみで議論されるべきものではない。
よって、国におかれては、国民の健康で安全な生活を守るために、利便性のみの観点から「医薬品の一般小売店における販売」という安易な規制緩和が行われないよう強く要請する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成15年7月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 綿 貫 民 輔 様
参議院議長 倉 田 寛 之 様
内閣総理大臣 小 泉 純一郎 様
厚生労働大臣 坂 口 力 様
行政改革担当大臣 石 原 伸 晃 様
以上、意見書案を提出する。
平成15年7月4日
提出者 全議員
佐賀県議会議長 篠 塚 周 城 様
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