「米価の暴落を防いで再生産できる米価を」「百万ヘクタールを超える減反を何とかしてほしい」というのが、稲作農民のもっとも切実な願いです。また、食の安全に対する信頼が大きく揺らいでいるなかで、「安全・安心、信頼できる国内産の農産物を」というのが多数の国民の声です。ところが、農水省が打ち出した「コメ政策大綱」は、米の生産と流通をいっそう市場原理に委ね、国の責任を放棄し、国民の主食である米への大企業の参入・支配をさらに強めるものです。この米政策が実施されるなら、国民の主食であり、日本農業の大黒柱である米の生産と国民への安定供給が危ぶまれる事態になることを強く危惧するものです。
国は「需要に応じた、売れる米を作っていない」「減反は農家自身のためという認識がない」など、今の米政策の破綻は、生産者の責任であるかのように主張し、今後は生産調整と余剰米処理を農家の自己責任で行なうべきだとしています。
しかし、米価の暴落や減反拡大の要因は、政府がWTO協定を受け入れてミニマム・アクセス米を輸入し、食管制度を廃止して市場原理を導入した結果にほかならず、農家の責任ではなく政府の米政策の結果によるものです。米の自給を維持し、米の需給と価格に国が責任を持ち、農家の工夫や努力が生かせる米政策に転換することが稲作と地域農業を守る道であり、国の「コメ政策大綱」による農政の具体化は中止すべきと考えます。
よって、次の事項が実現されるよう強く要望します。
1.政府は、米の生産と国民への安定供給に責任を持つこと。
2.米政策の確立については、暴落した米価を回復させるための実行ある措
置、価格保障などを盛り込み、農家が安心して米が作れるようにすること。
3.ミニマム・アクセス米の輸入を削減・廃止すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成14年12月 日
佐 賀 県 議 会
衆 議 院 議 長 綿 貫 民 輔 様
参 議 院 議 長 倉 田 寛 之 様
内閣総理大臣 小 泉 純一郎 様
農林水産大臣 大 島 理 森 様
外 務 大 臣 川 口 順 子 様
食 糧 庁 長 官 石 原 葵 様
以上、意見書案を提出する。
平成14年12月13日
提出者 武 藤 明 美 宮 崎 泰 茂
佐賀県議会議長 宮 原 岩 政 様 |