日頃から、食糧・農業・農村問題に深い御理解と御支援をいただいていることに対し、心から敬意とお礼を申し上げる。
さて、世界の貿易ルールを決めるWTO(世界貿易機関)交渉は、2005年1月の交渉妥結に向け交渉が進められており、本年9月にはメキシコにおいて閣僚会議が開かれようとしている。
特に農業分野の交渉において、アメリカや農産物輸出国は急速な自由化を求め、大幅な関税率の引き下げや国内助成政策の削減を要求するとともに、さらには、林産物、水産物についても関税率の一律削減や撤廃などを求めている。
こうした要求の通りとなるならば、農林水産物は全面自由化同然となり、日本の農林水産業は壊滅的な打撃をこうむることが懸念される。
日本は食糧・木材・水産物の輸入大国であり、この間、WTO体制下で一段と自給率は低下してきた。先のBSEの発生に見られるように、全面的に輸入に頼ることは、食に対する不安をますます高めることになる。
食と環境が世界的な課題になるなかで、環境や資源の保全に果たす農林水産業の役割は大きく、持続可能な農林水産業が求められている。
しかし、農林水産物の全面自由化は、途上国も含めた各国の農林水産業の自立や、今後の世界人口の増加による食糧問題の解決をさらに困難にするものである。
ついては、国におかれては、農林水産業のもつ多面的機能の発揮と食料の安全保障、各国の自給率向上が図られる貿易ルールの確立をめざしてWTO交渉に臨むよう強く要請する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成15年7月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 綿 貫 民 輔 様
参議院議長 倉 田 寛 之 様
内閣総理大臣 小 泉 純一郎 様
外務大臣 川 口 順 子 様
農林水産大臣 亀 井 善 之 様
以上、意見書案を提出する。
平成15年7月4日
提出者 全議員
佐賀県議会議長 篠 塚 周 城 様
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