我が国の犯罪情勢は、7年連続で刑法犯認知件数が戦後最多を更新する一方、刑法犯検挙率は約2割と過去最低の水準に落ち込んでいる。
犯罪の内容は、殺人、放火等の重要凶悪犯罪、路上強盗、ひったくり等の街頭犯罪、侵入窃盗、侵入強盗等の侵入犯罪が急激に増加している。その検挙人員のうち約4割が少年であり、中でも国民の身近で発生する街頭犯罪は検挙人員の約7割を少年が占めるなど、少年による犯罪は極めて憂慮すべき状況が続いている。
また、薬物情勢については、依然として覚せい剤の大量押収事案がみられ、大麻樹脂及び錠剤型麻薬の押収量が過去最高となるなど、一層深刻の度を増している。
さらには、米国における同時多発テロ、イラク戦争、朝鮮半島情勢等最近における緊迫する国際情勢のもとで、重大テロ事件の発生も懸念される中、来日外国人による犯罪が、20年前と比較して、検挙件数で約10倍、検挙人員で約5倍となっている。
このような中で、治安の維持は国民にとって最大の社会福祉である。もはや、犯罪が凶悪化、多様化、国際化する今日の危機的状況を放置することはできない。
したがって、国におかれては、治安の回復を目指し、内閣が一体となって下記の諸対策を速やかに実施するよう強く要望する。
記
1 来日外国人及び暴力団等による組織犯罪対策への取り組みをさらに強化する
とともに、銃器を使用した凶悪犯罪や薬物組織犯罪への対策も強化す ること。
2 警察官を増員するとともに、警察官OB等の活用により交番・駐在所の機能強
化を期すこと。
3 警察の交通取り締り業務の一部などを民間委託し、警察機能の強化を図るこ
と。
4 地域による自主的な防犯活動が大きく推進されるような地域コミュニケーション
形成についての国民の意識啓発を進めること。
5 留置場、拘置所・刑務所など治安関係施設の整備拡充を図ること。
6 犯罪防止の立場から毅然たる入国管理体制を確立すること。
7 青少年の健全育成のための推進とあわせ、軽微な少年犯罪の放置が犯罪の
増発・凶悪化に発展する傾向性を重視し、少年非行防止対策、薬物乱用 防止
対策、暴走族対策等を強化すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成15年10月 日
佐 賀 県 議 会
衆 議 院 議 長 綿 貫 民 輔 様
参 議 院 議 長 倉 田 寛 之 様
内閣総理大臣 小 泉 純一郎 様
国家公安委員会委員長 小 野 清 子 様
以上、意見書案を提出する。
平成15年10月3日
提出者 全議員
佐賀県議会議長 篠 塚 周 城 様
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