中央教育審議会は、2003年3月20日、「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」の答申を行った。答申は、「21世紀を切り拓く心豊かでたくましい日本人の育成を目指す観点から、重要な教育の理念や原則を明確にする」ため、新たに規定する理念に「公共の精神、道徳心、自律心の涵養」「郷土や国を愛する心」などを挙げ、教育基本法を改定すべきであるとしている。
しかし、教育基本法はその制定経緯、前文と基本理念の普遍的内容などから準憲法的な性格を持つ法律であり、これまでの中教審の審議過程では、教育基本法の改定によって教育の課題が解決できるのか、といった重要な問題をめぐって論議が尽くされたとは考えられず、その改定は憲法と同じく時間をかけ国民的議論を経て慎重に結論を出すべきである。
また、「郷土や国を愛する心」を持つことの重要性は理解するが、この心を法律ですべての人に強いることは憲法で保障された思想及び良心の自由に抵触するおそれがあり、より一層慎重な論議が必要である。
今求められているのは、子供たち一人一人の可能性が豊に開く教育、平和と民主主義の担い手が育つ教育など、平和で民主的な日本をつくることを定めた憲法とその理想を実現するために教育の目的や方針を定めた教育基本法の精神を、学校や社会にしっかり生かす具体的な政策であり、そのためには憲法・教育基本法の理念や子供の権利条約の精神に沿った教育が求められていると考える。
よって、国におかれては、現行教育基本法を改定することがないよう強く要請する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年3月 日
佐 賀 県 議 会
衆 議 院 議 長 河 野 洋 平 様
参 議 院 議 長 倉 田 寛 之 様
内閣総理大臣 小泉 純一郎 様
文部科学大臣 河 村 建 夫 様
以上、意見書案を提出する。
平成16年3月23日
提出者 牛 嶋 博 明 木 下 治 紀 増 本 亨 太 田 記代子
末 安 善 徳 伊 藤 豊 宮 崎 泰 茂
佐賀県議会議長 篠 塚 周 城 様
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