3月20日に始まった米英軍によるイラク攻撃によって、イラクのフセイン政権は崩壊に追い込まれたが、7200人を超す罪のない市民も殺された。5月1日にブッシュ米国大統領が戦闘終結宣言をしたが、今もなお、米英軍やその関係者に対するテロ行為が頻発しており、市民も兵士も犠牲になる事件が後を絶たず、兵士の死者は戦闘終結前を大きく超えるに至っている。
ついに、イラクのティクリートにおいて日本の外交官を標的にしたテロにより、2名の日本人外交官と現地職員1名を含む3名の外務省職員が犠牲となった。イラクの戦後復興に向け、日夜、御尽力されていたお二人には非常に無念のことと心中察して余りあるものがあり、ご家族、関係者の方々に対し、心からお二人のご冥福をお祈り申し上げる。
大義を欠き、国際法を無視し、さらに国連決議を経ないままの米英両軍によるイラク戦争とその後の占領統治は、テロを根絶するどころか報復を増幅しており、米英政府を無条件に支持する日本が標的にされた可能性は極めて高い。
このような中、小泉内閣は、国会で一度はイラクヘの自衛隊派兵を見送る決定をしたにもかかわらず、米国側からの強い要請により決定を翻して、
12月9日にイラクヘ自衛隊派兵を閣議決定したことは、余りにも人命軽視と言わざるを得ないし、自衛隊が派遣されれば、派遣された地域が戦闘地域化する危険性が高く「戦闘地域と非戦闘地域の区別は可能」としてきた政府の説明は、もはや崩壊したと言わざるを得ない。
政府は、米英軍による占領統治から国連主導の復興支援への転換を進め、国連中心の非軍事・人道的支援への協力に徹するよう方針を改めるべきである。
イラク復興に当たっては、一日も早いイラク国民の主権回復を急ぎ、日本の果たす役割を医療や食糧支援、生活インフラの再建等に限るべきである。したがって、いかなる名目であれイラクへの自衛隊の派兵に対し反対を表明するものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成15年12月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 河 野 洋 平 様
参議院議長 倉 田 寛 之 様
内閣総理大臣 小 泉 純一郎 様
外務大臣 川 口 順 子 様
防衛庁長官 石 破 茂 様
内閣官房長官 福 田 康 夫 様
以上、意見書案を提出する。
平成15年12月12日
提出者 牛 嶋 博 明 木 下 治 紀 増 本 亨 太 田 記代子
末 安 善 徳 宮 崎 泰 茂
佐賀県議会議長 篠 塚 周 城 様
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