平成13年12月に農林水産省有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会(第三者委員会)は「諫早湾干拓地排水門の開門調査に関する見解」をまとめている。
見解は、「諫早湾干拓事業は重要な環境要因である流動及び負荷を変化させ、諫早湾のみならず有明海全体の環境に影響を与えていると想定され、また、開門調査はその影響の検証に役立つと考えられる。現実的な第一段階として2ヶ月程度、次の段階として半年程度、さらにそれらの結果の検討をふまえて数年の開門調査が望まれる。調査に当たって、開門はできるだけ長く、大きいことが望ましい。」と提言している。
しかしながら、農林水産省は水位変動幅をわずか20cmにとどめた、1ヶ月足らずの短期開門調査しか実施することなく、去る5月11日亀井農林水産大臣は、短期開門調査等の結果をもとに、コンピュター再現を含めた検討の結果、「有明海のノリ漁業を含めた漁業環境に影響を及ぼす可能性がある」として、排水門の中・長期開門調査実施の見送りを公式に表明した。
この事は、委員会提言の趣旨が十分生かされておらず、「有明海の再生・復活には、諫早湾干拓地排水門の中・長期開門調査実施が不可欠」と、国及び農水省へ訴え続けてきた、漁業者、沿岸住民等の気持ちを踏みにじる行為といわざるを得ない。
佐賀、福岡、熊本3県の漁業関係者をはじめ、佐賀県知事、県議会、県内沿岸市町議会等、有明海の再生、復活を願う多くの人々は、原因究明につながる本格的な開門調査の早期実施を望んでいる。
よって、国におかれては、有明海を再生するためには、早期に徹底した原因究明がなされることが肝要であり、そのためには諫早湾沿岸地域の防災対策に配慮しながら中・長期の開門調査を早期に実現されるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年6月 日
佐 賀 県 議 会
衆 議 院 議 長 河 野 洋 平 様
参 議 院 議 長 倉 田 寛 之 様
内 閣 総 理 大 臣 小 泉 純一郎 様
農 林 水 産 大 臣 亀 井 善 之 様
環 境 大 臣 小 池 百合子 様
水 産 庁 長 官 田 原 文 夫 様
農林水産省九州農政局長 伊 丹 光 則 様
以上、意見書案を提出する。
平成16年6月25日
提出者 末 安 善 徳 太田 記代子 指 山 清 範 石 丸 元 章
峰 達 郎 松 尾 真 介 土 井 敏 行 桃 崎 峰 人
石 倉 秀 郷 増 本 亨 瀬 戸 久 司 楢 崎 近
岩 田 和 親 藤木 卓一郎 佐 野 辰 夫 福 島 光 洋
中 倉 政 義 竹 内 和 教 稲 富 正 敏 伊 藤 豊
木 下 治 紀 稲 富 康 平 緒 方 勝 一 山 口 隆 敏
伊 東 猛 彦 木 原 奉 文 岸 本 英 雄 富 崎 三 郎
石 井 秀 夫 石 丸 博 宮 崎 泰 茂 牛 嶋 博 明
留 守 茂 幸 篠 塚 周 城 吉 田 欣 也 本 山 光 二
原 口 義 己 池 田 義 正 宮 崎 繁 則
佐賀県議会議長 篠 塚 周 城 様
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