8月9日、関西電力美浜原子力発電所3号機で発生した2次系配管破断事故は、これまでの原子力発電所に関わる事故の中で最大の犠牲者を出したものであり、原子力発電所の安全性の根幹に関わる重大事故である。犠牲になられた5名の方のご冥福と、負傷された6名の方のご回復を心からお祈りするとともに、今回の事故を重大な警鐘ととらえ、徹底的な事故原因の究明と、再発防止を求めるものである。
今回の事故は、運転開始以来28年間、一度も点検されなかった箇所で発生した。また、1986年アメリカ・サリー原発で同様の事故が発生しており、さらに数年前から検査会社が未点検箇所であることを通知していたにもかかわらず、関西電力は適切な措置をとってこなかった。加えて、関西電力は安全性を後回しにし、効率優先でコストダウンを図ろうと定期検査の短縮を図り、かつては3ヶ月かけていた検査をわずか1ヶ月で完了するようなことが常態化していたという背景もある。
これらの問題は、もはや関西電力という私企業の管理体制のずさんさにとどまることなく、今日の原子力行政のあり方を問い直さなければならないことを示している。
よって、佐賀県議会は、政府に対し以下の対策を求める。
1.すべての原子力発電所について
(1)配管の減肉状況を調査し、結果と対応策を明らかにすること。
(2)検査会社から指摘された報告を全て公開すること。
(3)未点検箇所の有無を直ちに確認し、迅速な対応をとること。
2.安全体制について
(1)「維持基準」制度を撤回し、定期検査のあり方を根本的に改めること。
(2)検査会社の検査結果については国への報告を義務づけるよう法整備すること。
(3)第3者機関による公正で厳正な安全性のチェック機能を果たすシステムを作ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年10月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 河 野 洋 平 様
参議院議長 扇 千 景 様
内閣総理大臣 小 泉 純一郎 様
経済産業大臣 中 川 昭 一 様
以上、意見書案を提出する。
平成16年10月1日
提出者 全 議 員
佐賀県議会議長 篠 塚 周 城 様
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