高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故、東海村JCO核関連施設での臨界事故、あるいは中部電力浜岡原発での配管水素爆発事故など、本来起こってはならない「核の事故」が私たちの国、日本でも頻発している。
「核の事故」の恐ろしさは、いみじくもチェルノブイリ原子力発電所の事故で証明されたが、プルトニウム混合燃料(MOX燃料)を燃料とするプルサーマルでは、チェルノブイリをはるかに凌ぐほどの被害が予想される。
ウラン燃料を使うよう設計された原子炉で、使用済み核燃料を再処理したプルトニウムをウランに混ぜて使用すると、核分裂の反応が違い、運転の仕方も違ってくる。また被曝管理や原子炉構造も違い、さらに燃料の管理方法も異ってくる。
国は、高速増殖炉「もんじゅ」により、エネルギー問題を解決し、プルトニウムを「純国産エネルギー」とする計画を打ち出していたが、「もんじゅ」の事故により、この計画は暗礁に乗り上げた。こうした状況の中で改めて浮上してきたのが、軽水炉でMOX燃料を燃やすプルサーマル計画である。
九州電力は4月28日、プルサーマル計画を2010年度までに玄海原発3号機で実施することを表明した。
しかし、プルサーマル計画は、運転中の安全性を低下させ、事故が起きた場合に被害の広域化と甚大さを招くという致命的な欠陥をはらんでいる上、核燃料サイクルにかかる約19兆円もの巨額の費用負担の問題、また、新たに生まれる使用済みMOX燃料の処理方法など、重大かつ困難な課題を抱え、解決の目途さえ立っていないのが現実である。
よって、本議会は、核燃料サイクルとプルサーマル計画に強く反対することを表明する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年6月 日
佐 賀 県 議 会
衆 議 院 議 長 河 野 洋 平 様
参 議 院 議 長 倉 田 寛 之 様
内 閣 総 理 大 臣 小 泉 純一郎 様
資源エネルギー庁長官 日 下 一 正 様
原子力安全・保安院 佐々木 宜 彦 様
原子力安全委員会委員長 近 藤 駿 介 様
以上、意見書案を提出する。
平成16年6月25日
提出者 牛 嶋 博 明 木 下 治 紀 増 本 亨 太 田 記代子
末 安 善 徳 宮 崎 泰 茂
佐賀県議会議長 篠 塚 周 城 様
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