現在、政府は平成12年に定めた「食料・農業・農村基本計画」の見直しを検討している。来年3月に見直しされる新たな基本計画は今後の日本の食料・農業政策を大きく左右するものである。
先に出された「中間論点整理」(中間まとめ)では、(1)担い手政策のあり方、(2)品目横断的政策等の経営安定対策の確立、(3)農地制度のあり方、(4)農業資源・環境保全対策の確立が出されたが、最大の課題である食料自給率の向上に向けての施策については先送りされた。
また、出されている課題が食料自給率の向上にどのように結びつくのか明確に示されていない。
基本計画の見直しに当たっては、「食料・農業・農村基本法」に基づき、食料自給率の引き上げ、食の安全・安定に結びつく施策を展開することが、日本農業の再生・発展につながると考える。
よって、下記の事項の実現に向けて、積極的に取り組まれるよう要望する。
記
1.担い手のあり方については、政策対象者たる担い手は、「プロ農家」に限定せ
ず,意欲を持つ農業者及び地域で「育成すべき担い手」として推薦される者等を
対象とすること。
また、「法人化前の集落営農」や「受託組織」へ「参画」する者など「多様かつ
幅広い担い手」を位置づけ地域の実態に即した担い手を対象要件にすること。
2.新たな経営安定対策は、農産物価格の構造的な低落をカバーし、耕作意欲を
もてるよう本格的な所得補填策とすること。
3.農地制度のあり方については、
(1) 土地・農地等土地利用規制の体系を整備し、農地を農地として利活用できる
法・制度を早急に確立すること。
(2) 構造改革特区でのリース方式による株式会社の農地取得・農地参入につい
て、拙速な全国展開を行わないこと。
4.農業環境・資源保全政策の確立については、
(1) 担い手以外の農家、非農家、地域住民などを含めた農業資源保全の「共同」
の取り組みに対する支援政策を、経営所得安定対策とセットで導入すること。
(2) 環境直接支払い制度を創設し、有機農業など環境保全型農業の推進を支援
すること。
(3) 現行の中山間地域等直接支払制度は、拡大・充実して継続実施すること。
5.平成22年度目標に対する検証の実施や、引き続き当該年度を目標として掲
げ、生産者と消費者の理解と協力のもと自給率引き上げ政策を推進すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年12月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 河 野 洋 平 様
参議院議長 扇 千 景 様
内閣総理大臣 小 泉 純一郎 様
農林水産大臣 島 村 宜 伸 様
以上、意見書案を提出する。
平成16年12月16日
提出者 全 議 員
佐賀県議会議長 篠 塚 周 城 様
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