政府は、第162回通常国会において、所得税及び住民税の定率減税の縮小・廃止を衆議院では可決した。
現在のわが国経済情勢は景気回復の基調にあると言われているが、その回復度合いは、産業間、地域間において大きな格差があるのが実態である。
また、医療費自己負担割合の引き上げや、税制における諸控除の縮小・廃止により、家計負担は年々増大している。
定率減税が縮小・廃止になれば、所得税、住民税の納税者は皆増税となる。特に、今払っている税金に対する増税額の割合が一番多くなるのは、子育て中の世帯や働き盛りの中堅層である。これらの層を中心に更なる負担増を強いることにより、消費が減退し、景気を腰折れさせる恐れもある。
国民や企業の間には、定率減税の廃止に疑問や不安が広がっており、各報道機関が1月に実施した世論調査では、定率減税の縮小・廃止に対する否定的な意見が軒並み過半数に達している。また、複数の民間研究機関が、経済に与える悪影響から、現在は定率減税の縮小・廃止を行うべきではないと警鐘を鳴らしている。
また、政府において税制と社会保障の一体的な改革に向けた議論が行われている最中であり、深刻な財政構造の改善、国と地方の税財源配分の見直しは喫緊の課題であるが、現段階で税制のみを一方的に改定することによって、将来に齟齬をきたしかねないことにも十分留意すべきである。
このまま、定率減税の廃止が行われれば、消費の冷え込みを招来し、景気回復にも支障を来すことも想定される。
よって、定率減税廃止については、今後とも景気の動向等を見極めながら慎重な対応を求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成17年3月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 河 野 洋 平 様
参議院議長 扇 千 景 様
内閣総理大臣 小 泉 純一郎 様
総務大臣 麻 生 太 郎 様
財務大臣 谷 垣 禎 一 様
以上、意見書案を提出する。
平成17年3月23日
提出者 全議員
佐賀県議会議長 篠 塚 周 城 様
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