昭和60年度国家予算編成期より、毎年、見直し・削減の俎上に登ってきた「義務教育費国庫負担制度」について、国は「見直し」の第一歩として、平成15年度に共済長期給付と公務災害基金の約2,200億円、そして、平成16年度には退職手当と児童手当の約2,300億円を削減し、所得譲与税、特例交付金と交付税により地方に移譲することとした。
さらに、平成17年度秋、中央教育審議会の結論がでるまでの平成17年度予算については、暫定措置として中学校教職員給与費の半額に相当する4,250億円を減額し、税源移譲予定特例交付金としている。
周知のとおり、義務教育費国庫負担制度は、憲法・教育基本法で保障する「義務教育費無償の原則」や「教育の機会均等・水準の維持向上」を具体化する現行教育制度の重要な根幹をなす制度として法律により担保されており、また、人材育成のための未来への先行投資として必要不可欠のものとして維持されてきた。
義務教育費国庫負担制度を地方へ十分財源保障することなく見直すことは、地方財政が厳しさを増す中にあって教育の質的向上が望まれる今日、財政状況の差を教育に影響させ、保護者・地域住民の望みに逆行するなど、憲法・教育基本法が保障する義務教育制度を踏みにじるものといわざるを得ない。
よって、国におかれては、「義務教育費」については、憲法に規定された責務をどのように果たしていくのか、という視点で、地方とともに、十分な議論を行う必要がある。その費用負担については、義務教育費の地域間格差をまねかないよう、国・地方いずれに対しても、憲法・教育基本法が保障する「教育の機会均等・水準の維持向上」を担保するために、国の責任を引き続き堅持するとともに、国民の合意を得ながら財源確保のための新たな仕組みを構築するよう強く要請する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成17年7月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 河 野 洋 平 様
参議院議長 扇 千 景 様
内閣総理大臣 小 泉 純一郎 様
総務大臣 麻 生 太 郎 様
財務大臣 谷 垣 禎 一 様
文部科学大臣 中 山 成 彬 様
以上、意見書案を提出する。
平成17年7月1日
提出者 全議員
佐賀県議会議長 原 口 義 己 様
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