地球温暖化問題への意識の高まりや、原油価格の高騰などもあり、炭酸ガスを発生しないクリーンエネルギー、太陽光や風力発電への関心が一段と高まっている中、(財)新エネルギー財団(NEF)が、太陽光発電の補助金制度を今年度いっぱいで廃止する。これは、10kw未満の家庭用太陽光発電の導入申請者に補助していたもので、太陽光発電の普及を支えてきた。
太陽光発電普及率日本一を誇る佐賀県では、それに代わるものとして、新年度から独自にグリーン電力証書制度の活用を始めるが、国は、自然エネルギー普及の先進国であるドイツに倣い、発電原価保証制度、いわゆるアーヘンモデルの実施を図るべきだと考える。
一方、海底に眠るメタンハイドレートが、新しいエネルギー資源として注目されている。新潟沖をはじめ日本列島の周辺海域にはこのメタンハイドレートの存在が確認されており、メタンハイドレートを採掘するために現在研究中の二酸化炭素を海底に送る方法が実用化されれば、採掘に伴う海底の落盤防止にもなる上、二酸化炭素の大量固定化にもなる。メタンハイドレートを温暖化の影響で溶け出るままにしている現状よりも、二酸化炭素よりも温暖化係数の高いメタンガスを燃やして、後には二酸化炭素を詰め込んでいけるなら、エネルギー利用による総合的な温暖化影響をマイナスにでき、地球温暖化対策としても、極めて有効で、画期的と言える。
東シナ海での天然ガスの調査も行われており、エネルギー資源の確保に長年悩まされてきた我が国が、科学技術の進歩により、資源大国に成り代わる可能性さえある。国産エネルギーの確保が重要課題となっているわが国においては、数十兆円もの巨費を危険でコストの高い、破綻した「核燃料サイクル計画」に投じるのではなく、自然エネルギーの普及促進や、こうした様々な新資源の開発と利用にこそ国のエネルギー関連予算を投じるべきである。
国は、福島、福井、新潟の各県が拒否したプルサーマル計画を佐賀県をはじめいくつかの原発立地県で強行しようとしているが、必要性に乏しく、安全性も確保されないままで、それぞれの県民の理解が得られるわけがない。
よって、本議会は、プルサーマル計画と核燃料サイクル計画を中止することとともに、新エネルギーの開発促進とエネルギー政策の抜本的な見直しを強く要請する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成18年3月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 河 野 洋 平 様
参議院議長 扇 千 景 様
内閣総理大臣 小 泉 純一郎 様
経済産業大臣 二 階 俊 博 様
資源エネルギー庁長官 小 平 信 因 様
原子力委員会委員長 近 藤 駿 介 様
原子力安全委員会委員長 松 浦 祥次郎 様
以上、意見書案を提出する。
平成18年3月22日
提出者 牛 嶋 博 明 増 本 亨 太 田 記 代 子
佐賀県議会議長 原 口 義 己 様
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