政府は、本年2月に障害者自立支援法案を国会に提出し審議していたが、国会解散のため、現在開会中の特別国会に再度提出をした。
この法案は、障害者の地域生活と就労を進め、自立を支援する観点から、これまで障害種別ごとに異なる法律に基づいて自立支援の観点から提供されてきた福祉サービス、公費負担医療等について、共通の制度の下で一元的に提供する仕組みを創設しようとするものである。
法案においては、増大する福祉サービス等の費用を負担する仕組みとして、国と都道府県に対し費用負担を義務化し、財政責任を明確化する一方、障害者が福祉サービス等を利用した場合に原則1割を負担する「定率負担」を新たに導入することとしている。
しかし、このことは、障害者とその家族の厳しい生活を勘案すると、とりわけ低所得者層にとっては、大きな経済的負担を強いるものであり、福祉サービス等の利用の抑制につながるのではないかとの懸念が広がっている。
また、現行の障害者福祉施策を再編して、新たに「就労支援」を重点とした事業体系を創設し、とくに都道府県・市町村等が独自に支援してきた小規模作業所は、NPO法人の取得によって「事業参入できる」方向を提案している。しかし、事業参入が想定される「地域活動支援センター」(新規創設)は、市町村の事業として位置付けられているが、裁量的経費とされているため、国の財政責任が不明確で、市町村の財政負担について十分な説明がなされていない。
さらに、前回の法案審議は、福祉サービスの実施機関である市町村の声を十分反映させる時間的保障がないままに進めたとの指摘が、各自治体からなされた。
よって、本議会は国会及び政府に対し、下記の事項を求める。
記
1 法案の審議にあたっては、とくに障害のある人や関係者、市町村の意見 を聞き十分反映されるよう時間をかけて検討すること。
2 「応益負担(定率負担)」の検討にあたっては、障害のある人の自立を 支援する観点から、生計の同一性を見直し所得保障の充実を図ること。
3 施策体系の再編ならびに小規模作業所の事業参入にあたっては、障害者 雇用制度を抜本的に拡充するとともに、地方負担に対する十分な財政措置 を構ずること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成17年10月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 河 野 洋 平 様
参議院議長 扇 千 景 様
内閣総理大臣 小 泉 純一郎 様
厚生労働大臣 尾 辻 秀 久 様
以上、意見書案を提出する。
平成17年10月5日
提出者 全議員
佐賀県議会議長 原 口 義 己 様
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