我が国はエネルギー資源に乏しく、エネルギー自給率は主要先進国の中で最も低くなっている。また、中国、インド等発展途上国の経済成長等に伴い、今後、世界的にエネルギー需給が厳しくなることが予想され、我が国においては、エネルギーの安定的な供給の確保が極めて重要な課題となっている。
原子力発電については、ウラン資源が石油に見られるような地域的な偏在が少ないなど安定供給面等で優れた特性を有するとともに、21世紀における地球的テーマである地球温暖化対策にも貢献するものである。
このような中、九州電力株式会社が玄海原子力発電所3号機で計画しているウラン・プルトニウム混合酸化物燃料の使用は、現時点において、使用済ウラン燃料から取り出したプルトニウムを有効利用する最も確実な方法であるとして、国が推進していることは理解できるものとし、本議会としても慎重に推進すべきものと考える。
しかしながら、その実施に当たっては、言うまでもなく安全性の確保が大前提である。東京電力株式会社の点検記録等に係る不正、さらには、関西電力株式会社美浜発電所3号機事故などにより、国や電気事業者に対する県民の不信感が増大した。規制・監督の責務を有する国は強く反省し、国策であるプルサーマルの推進に当たっては、国が前面に出て全責任を負うような強い覚悟を求める。
一方、周辺住民や県民の中には、全国に先駆けてプルサーマルを実施することに未だ不安を抱く声がある。玄海原子力発電所で、万一県民の信頼を揺るがすような事態が発生した場合は、県民の安全と安心を図る立場から、本議会としては、同発電所3号機プルサーマル計画の中止も含め厳しい態度で臨まざるを得ない。
また、プルサーマル推進について住民の理解を進めるため、立地・周辺地域の声を反映させることが重要であると考える。
よって、国におかれては、次の事項が確実に実行されるよう強く要望する。
1 プルサーマルの安全性について、今後も継続して更なる普及啓発を図り周辺住民及び県民の不安解消に努めること。
2 プルサーマルを含む核燃料サイクル政策については、国が前面に出て着実な推進を図ること。特に、プルサーマルの推進に当たっては、情報公開の徹底と十分な説明責任を果たすこと。
3 電気事業者に対する規制・監督を一層強化し、玄海原子力発電所3号機プルサーマル計画の安全性の確保に万全を期すこと。
4 電源三法交付金等財源の確保を図り、立地県・町及び周辺地域の振興に配慮し、法整備に努めること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成18年3月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 河 野 洋 平 様
参議院議長 扇 千 景 様
内閣総理大臣 小 泉 純一郎 様
財務大臣 谷 垣 禎 一 様
経済産業大臣 二 階 俊 博 様
原子力委員会委員長 近 藤 駿 介 様
原子力安全委員会委員長 松 浦 祥次郎 様
以上、意見書を提出する。
平成18年3月22日
提出者 本 山 光 二 原 口 義 己 吉 田 欣 也 池 田 義 正
篠 塚 周 城 堀 田 一 治 留 守 茂 幸 宮 崎 繁 則
石 丸 博 石 井 秀 夫 山 口 隆 敏 富 崎 三 郎
岸 本 英 雄 木 原 奉 文 伊 東 猛 彦 楢 崎 近
緒 方 勝 一 稲 富 康 平 稲 富 正 敏 瀬 戸 久 司
竹 内 和 教 中 倉 政 義 福 島 光 洋 佐 野 辰 夫
藤木卓一郎 岩 田 和 親 石 倉 秀 郷 桃 崎 峰 人
土 井 敏 行 松 尾 真 介 峰 達 郎 石 丸 元 章
指 山 清 範 伊 藤 豊
佐賀県議会議長 原 口 義 己 様
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