古川康知事は、今定例県議会の冒頭の所信表明で「玄海3号のプルサーマル計画に事前了解したい」旨を表明した。昨年12月25日に県主催の公開討論会を実施し、その概要の説明を広報誌などを通じて県民に始めた矢先の2月7日の安全宣言といい、知事は、プルサーマル事前了解へと暴走し続けている。昨年4月までに提出された「プルサーマル計画反対」の署名は、30万5千人分に達したが、県内外からの不安の声に知事は全く耳を傾けようとしない。
県は推進の理由として、フランスなどで多くの実績があることを強調するが、4千数百体のMOX燃料使用は、50万体という使用燃料の総数から見れば、1%にも満たない。原発を運転しながらプルサーマルを導入していない国や、アメリカ、イタリア、オランダなどのように、一旦導入しながら中止している国の方が、継続している国より多いことこそ重視すべきである。また、ウランの確認埋蔵量は70年と言われているが、プルサーマルによるウランの節約は1割程度にすぎず、リサイクルと呼べる代物ではない。2001年の地球温暖化防止国際会議(COP6)では、原子力を炭酸ガス削減の手法として認めないことも確認されている。
九州電力が玄海3号で計画しているプルサーマルは、MOX燃料のプルトニウム富化度が世界でも最も高い6.1%であることや、燃焼度も最も高くなっていることなど、極めて危険な計画と言わざるを得ない。さらに、使用済MOX燃料の処理については、国の「原子力政策大綱」でも「2010年頃から検討を開始する」と書かれているだけで、玄海が使用済MOXの最終処分場になる危険性さえある。こうした多くの問題点を内包する玄海3号プルサーマルについて、国の原子力安全委員会が唯一専門的審査を行わずに審査を終了したことも、その重大さを指摘しておかなければならない。
チェルノブィリの事故から20年、私たちは過去の歴史に学ばなければならない。これまでの議論で必要性と安全性の両面から否定された玄海3号プルサーマルを実施する正当な理由はない。この計画が始まることで、国の核燃料サイクル計画全体が動き出す。国際的なプルトニウムバランスを崩すという点でも極めて重大な問題である。
次代を担う子ども達にリスクとコストの負の遺産を押し付けるプルサーマル計画に絶対反対を表明し、古川知事に対し、事前了解しないよう強く要請する。
以上、決議する。
平成18年3月 日
佐 賀 県 議 会
以上、決議案を提出する。
平成18年3月22日
提出者 牛 嶋 博 明 増 本 亨 太 田 記 代 子
佐賀県議会議長 原 口 義 己 様
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