現在、個人情報保護に関する法整備の進展とともに、行政機関等においても、より適切な個人情報の保護を図ることが喫緊の課題となっている。特に、2005年4月から個人情報の保護に関する法律が全面施行された中にあって、戸籍の公開制度を悪用して、他人の戸籍謄抄本を不正取得、不正利用する事件が相次いでおり、戸籍法に対する国民の不満や不安が高まっている。
そうした現状を背景に、戸籍法の見直しを検討してきた法制審議会は、今年2月、戸籍法の見直しに関する要綱をまとめ、法務大臣へ答申を行った。要綱では、交付請求者の本人確認や、第三者による戸籍謄抄本の交付請求の場合には、具体的な請求事由の明示を義務づけ、さらに弁護士などの資格者による請求の場合においても、依頼者名と具体的請求理由の明示など条件を付与するなど、これまでの原則公開の考え方から、交付請求にあたって一定の制限を加える内容となっている。
戸籍は個人の身分事項、家族関係などの情報が満載されているにもかかわらず、公証のために原則公開とされてきた。しかし不正請求・不正利用を防止し、個人情報を保護する観点から、早急に戸籍の公開制度を見直すとともに、不正請求・不正利用に対する罰則を強化すべきである。国会及び政府に対し、戸籍法改正の早期実現を強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成19年3月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 河 野 洋 平 様
参議院議長 扇 千 景 様
内閣総理大臣 安 倍 晋 三 様
法務大臣 長 勢 甚 遠 様
以上、意見書案を提出する。
平成19年3月6日
提出者 全議員
佐賀県議会議長 原 口 義 己 様 |