農林水産省九州農政局は6月22日、国営諫早湾干拓事業に関する再評価第三者委員会の会合を熊本市で開き、「事業の見直しは必要ない」とする再評価案を諮問した。第三者委員会は7月中に再評価案を答申、農水省はそれを受けて8月末までに来年度の実施方針を決定するとされている。
諫早湾干拓事業は、農地造成や災害対策を目的に1986年に着工されたが、当時すでに費用対効果は1.03で、1999年の変更計画で1.01へと低下した。さらに、2001年に実施された一回目の再評価では、第三者委員会が「環境への真摯かつ一層の配慮を条件に事業を見直されたい」とし、諫早湾干拓による有明海異変への悪影響に配慮するよう、干拓地は半分に縮小された。
その後、「有明海八代海再生特別措置法」が成立し、種々の施策が進められているが、今も有明海異変は続き、貝類資源をはじめ漁獲は回復していない。漁業被害などの有明海異変と諫早湾干拓との因果関係を明らかにするには、「有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会」が提言した、潮受け堤防排水門の中・長期開門調査が不可欠である。また、諫早干潟を再生し、豊饒の海、有明海を蘇らせるために、常時開門することが有明海漁民の共通の願いである。
着工から20年を迎えた国営諫早湾干拓事業。今回の二回目の再評価にあたり、農林水産省が、有明海全体の環境問題と漁業被害に視点を置いて、中・長期開門調査実施の方向性を明確に打ち出されるよう、強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成18年7月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 河 野 洋 平 様
参議院議長 扇 千 景 様
内閣総理大臣 小 泉 純一郎 様
農林水産大臣 中 川 昭 一 様
環境大臣 小 池 百合子 様
水産庁長官 小 林 芳 雄 様
農林水産省九州農政局長 南 部 明 弘 様
以上、意見書案を提出する。
平成18年7月6日
提出者 全議員
佐賀県議会議長 原 口 義 己 様
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