我が国における自殺の死亡者数が、8年連続で「3万人」を超えるという異常事態が続くなか、佐賀県においても平成11年度より自殺者数が200名を突破、平成16年度には過去最悪の280名が自殺により命を落としている。(平成17年度は249名)
世界保健機関(WHO)は「自殺は、その多くが防ぐことのできる社会的な問題」としており、政府においても自殺を社会問題と認識、自殺対策を喫緊の課題と位置づけ、平成17年12月には「自殺予防に向けての政府の総合的な対策について」をとりまとめ、各関係省庁が一体となって自殺問題に取り組む姿勢を示した。
こうした中、第164回通常国会で「自殺対策基本法案」が全会一致で可決・成立したことは、国を挙げて自殺対策を推進していく必要があることを示した画期的な出来事と言える。
佐賀県においては、平成14年度より「佐賀県自殺対策協議会」を、さらに平成17年度より「うつ予防ネットワーク会議」を設置し、全国でも先駆けて取り組みを進めているが、それに反し自殺者は増加傾向にある。
この問題は極めて緊急を要する課題であることから、県として、職域、学校、地域などにおける自殺予防を目的としたセーフティーネットを構築し、自殺対策関係者の連携強化を図りながら、うつ病などの精神疾患に対する予防・治療のみならず、自殺につながる原因や背景の多様性・複合性を踏まえた、総合的な自殺対策を早急に進めなければならない。
ついては、佐賀県としても自殺対策基本法案が整備されたことを受け、県独自の自殺総合対策の推進を下記に基づき早急に講じること。
記
1.既存の社会資源(組織)を利用し、自殺予防、危機介入、アフターケア などの実務を目的とした、有効に機能する自殺対策支援ネットワークを構 築すること。
さらに、自殺対策の検討の場となる自殺対策連絡協議会(現在の「うつ予防ネットワーク会議」)と連携した組織とすること。
2.適切な自殺予防対策を実施するための、実態調査・研究を行なうこと。
3.自殺予防に関する医療機関及び保健機関の連携体制を整備すること。
4.自殺予防に関する知識の普及、啓発及びメンタルへルスの保持を行うこと。
5.自殺未遂者への適切なケア・社会復帰支援及び自死遺族への心のケアを行うこと。
6.自殺の防止等に関する人材の確保、養成及び資質の向上を図ること。
7.上記項目を推進するための自殺対策関連予算を計上すること。
8.これらの項目を効果的に継続できる体制を構築すること。
以上、決議する。
平成18年7月 日
佐 賀 県 議 会
以上、決議案を提出する。
平成18年7月6日