米国が昨年制定した「米印原子力協力法」は、核不拡散条約禁止条約(NPT)に加盟せず、核実験を行ない核兵器計画を進めているインドに対し、米国が原子力関連輸出を行なうことを認めるものである。この協力の実施によって、印パの核軍拡競争に拍車がかかる可能性が懸念されている。米印の協力が実施されるには、日本も加盟している原子力供給国グループ(NSG、加盟国45ヶ国)による規則の変更が必要となる。
国連安全保障理事会は、1998年に印パ両国が核実験を行なった際、決議を全会一致で採択し、インド及びパキスタンに対し、「ただちにその核兵器開発計画を中止」し「核兵器用の核分裂性物質のすべての生産を中止する」ことを求めた。決議はまた、「すべての国に対し、インド及びパキスタンの核兵器計画に何らかの形で資する可能性のある設備、物質及び関連技術の輸出を防止するよう奨励」している。
日本はこれまで核被爆国として核兵器の不拡散と廃絶を率先して求めてきた。NSGにおいても、その設立の主旨、1998年の国連安全保障理事会の決議などを踏まえ、慎重な議論を主導することが日本の国際的な使命といえる。
よって、核廃絶をこれ以上困難なものにしないためにも、南アジアの核軍拡競争を防ぐべく、日本政府の対応を求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成19年3月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 河 野 洋 平 様
参議院議長 扇 千 景 様
内閣総理大臣 安 倍 晋 三 様
外務大臣 麻 生 太 郎 様
以上、意見書案を提出する。
平成19年3月6日
提出者 全議員
佐賀県議会議長 原 口 義 己 様 |