平成9年4月、潮受け堤防工事によって諫早湾約3,500ヘクタールの海が締め切られてから10年が経った。
この10年、私たちは、多くのことを経験し、学んだ。潮受け堤防を締め切って、淡水化した調整池の汚水を外海に排水し続けることで、有明海全体に深刻な異変が生じ、平成12年度のノリの不作、そしてタイラギをはじめとする二枚貝の漁獲量の激減は今も続いている。
この間、本議会は、平成13年2月、「有明海の再生及び漁業不振対策を求める意見書」をはじめとし、宝の海=有明海の再生を強く願う立場から、7件の意見書をすべて全会一致で採択し、関係機関へ要請してきた。農水省有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会(いわゆる第三者委員会)が打ち出した、短期・中期・長期開門調査の実施に期待を寄せ、また、佐賀地裁が出した諫早湾干拓事業差し止めの仮処分決定を高く評価もした。しかし、農水省算定で費用対効果0.81と評価された同事業の工事は継続される一方で、中・長期の開門調査実施の目途は立っていない。
いまや国営諫早湾干拓事業は99%が完成し、来春にも営農が開始されると発表されている。しかし、私たちには、有明海を蘇らせる責務がある。潮受け堤防を開門し、失われた干潟を再生しなければならない。諫早湾締め切りから10年を迎えた今あらためて、有明漁民をはじめとする、すべての佐賀県民とともに、中・長期開門調査等、徹底した原因究明調査の実施と有明海再生を目指して、あらゆる努力を傾注し続けることをここに誓い、決議する。
平成19年7月 日
佐 賀 県 議 会
以上、決議案を提出する。
平成19年7月5日
提出者 全議員
佐賀県議会議長 石 丸 博 様