介護労働者は、人間の尊厳にかかわる崇高な仕事をしているにも関わらず、低賃金、長時間重労働など、その厳しい労働環境から離職率も高く、待遇改善が待ったなしの課題となっている。早朝勤務、深夜勤務も多い重労働の上、人手不足で疲れても休暇も取りにくい。こうした厳しい現実に直面して、このままでは生活できない、将来に希望が持てないと、耐え切れず退職していくケースが多発している。
今後、団塊世代の高齢化などにより、少なくとも今後10年間で、40万人から60万人もの介護職員の確保が必要とされているが、介護に携わる人たちがいなくなれば介護保険制度も立ち行かなくなり、まさに介護保険制度の根幹を揺るがす問題である。
介護に携わる人たちが誇りと自信を持って仕事をできるよう、また安心して暮らせるよう、政府においては、下記の点について特段の取り組みを行い、労働条件や福利厚生の向上に全力を挙げられるよう強く要望する。
記
1.全労働者の平均を大きく下回っている給与水準の実態を職種や勤務形態ごとに把握し、低賃金の原因とその是正策を早急に検討すること。その上で、それぞれの介護事業者がキャリアと能力に見合った適切な給与体系が構築できるよう介護報酬の在り方を見直し、次期介護報酬改定で適切に措置すること。
2.昨年8月に示された福祉人材確保指針について、福祉・介護サービスを担う人材確保のため、労働環境の整備やキャリアアップの仕組みの構築など早急な取り組みを進め、福祉・介護現場における指針の実現を図ること。
3.小規模事業所などにおける職場定着のための取組み支援や労働時間短縮 のための事務負担軽減策、さらには、事業所の労働条件等労働環境に関す る情報開示など介護労働者の待遇改善のための総合的な取り組みを進める こと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成20年 3月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 河 野 洋 平 様
参議院議長 江 田 五 月 様
内閣総理大臣 福 田 康 夫 様
厚生労働大臣 舛 添 要 一 様
以上、意見書案を提出する。
平成20年3月21日
提出者 全 議 員
佐賀県議会議長 石 丸 博 様
|