団塊の世代が引退時期に差し掛かる状況下、特に中小企業において、事業承継がなかなか進んでいない。
2007年版中小企業白書によると、昨年2006年の企業全体の社長交代率は3.08%と過去最低を記録した。従業員規模別では、規模が小さいほど社長交代率が低下する傾向にあり、小規模企業における事業承継の難しさを示している。
また、年間廃業者29万社(2001~2004年平均)のうち少なくとも4分の1の企業は後継者の不在が理由となっている。これに伴う雇用の喪失は毎年20~35万人とも言われ、雇用情勢に与える影響も少なくない。
こうした、中小企業の廃業や事業承継をめぐる問題は、日本経済の発展を阻害する大きな要因となっている。中小企業の雇用や高度な技術を守り、事業承継を円滑に進めていくための総合的な対策を早急に講じる必要がある。
事業承継に係る諸課題について、従来から多様な問題提起や議論が行われ、実際に様々な制度改正も行われてきたところである。しかしながら残された課題のうち、とりわけ相続税を中心とする税制の問題は、承継当事者・関係者にとって最大関心事の一つである。平成19年度の税制改正大綱においても、今後の検討課題として事業承継の円滑化を支援するための枠組みを検討する必要性が明記されたところである。
以上のことから、中小企業の事業承継円滑化のために税制改正など必要な措置を講じるよう、政府に対し強く要望する。
1 非上場株式等に係る相続税の減免措置について、抜本拡充を図ること。
2 非上場株式の相続税法上の評価制度について、事業承継円滑化の観点から見直しも含め、合理的な評価制度の構築を図ること。
3 相続税納税の円滑化を図るために、事業承継円滑化の観点から必要な措置を講じること。
4 税制面のみならず、情報面、金融面、法制面など、事業承継の円滑化を支援するための枠組みを検討し、総合的な対策を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成19年 月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 河 野 洋 平 様
参議院議長 江 田 五 月 様
内閣総理大臣 福 田 康 夫 様
財務大臣 額 賀 福志郎 様
経済産業大臣 甘 利 明 様
以上、意見書案を提出する。
平成19年10月4日
提出者 全 議 員
佐賀県議会議長 石 丸 博 様
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