平成29年6月定例会 意見書案と採決状況
意第6号
否決
組織犯罪処罰法(「共謀罪」法)の廃止を求める意見書(案)
安倍政権は、5月19日、衆議院法務委員会で組織犯罪処罰法改正案(以下「共謀罪法」という。)を強行採決し、衆議院を通過させ、参議院においては法務委員会での審議を打ち切り、参院本会議で、「中間報告」という究極の強行採決で6月15日午前8時前、自民、公明、維新などの賛成多数で成立させた。
こうした安倍政権の「数の力」による国会運営に対し、世論調査を実施した新聞、テレビ7社すべてで内閣支持率が急落し、「毎日」や「朝日」、日本テレビやテレビ朝日では、支持と不支持が逆転した。「共謀罪法」について、NNN調査では、「反対」39.5%で、「賛成」31.8%を上回った。参院での「中間報告」という形での強行採決については、「よかったと思う」は16.6%で、「思わない」が65.1%と大きく上回っている。「読売」の調査でも、政府・与党が「共謀罪法」の内容について「国民に十分に説明したと思う」は12%で、「思わない」が80%と圧倒的多数になっている。加計学園問題と合わせて、安倍政権に対する国民の信頼は大きく揺らぎ、怒りと不安が広がっている。
今回成立した「共謀罪法」は、「テロ等準備罪」と称して、過去3回の「共謀罪法」案とは違うとしているが、これまでの国会の審議の中で、政府の説明はごまかしであることが明らかになり、肝心の「組織的犯罪集団」の説明が二転三転し、明らかにされなかった。
「共謀罪法」は、国連の国際的犯罪防止条約(TOC条約)締結のために必要と説明されてきたが、国連の人権に携る担当者は、「共謀罪法」案は「プライバシーに関する権利と表現の自由への過度の制限につながる可能性がある」と警告。法案を成立させることは正当化できないとし、説明や回答を求める書簡を安倍首相に提出した。しかし、菅官房長官は「不適切なもの」と反発するだけで、真摯に受け止めようとはしなかった。
「共謀罪法」は、かつての治安維持法の現代版であり、現行憲法を踏みにじる悪法である。政府及び国会は直ちに「共謀罪法」を廃止し、立憲主義に立ちもどるべきである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成29年 月 日
佐 賀 県 議 会
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
衆議院議長 大島 理森 様
参議院議長 伊達 忠一 様
法務大臣 金田 勝年 様
以上、意見書案を提出する。
平成29年7月3日
提出者 武藤 明美 徳光 清孝 藤崎 輝樹 江口 善紀
野田 勝人 井上 祐輔
佐賀県議会議長 石倉 秀郷 様