地方分権の推進、地域経済・雇用創出の促進、少子・高齢化への対応、地域レベルでの環境需要の高まりのなかで、地方自治体の果たす役割は一段と高まっているが、一方で、地域間の格差、とりわけ財政力格差が解決すべき課題となっている。
しかし、政府は、地域間の経済格差を放置したまま「歳出・歳入一体改革」に基づく歳出削減により、地方財政の圧縮を進め、その結果、地方と都市など自治体間の財政格差はさらに拡大しつつある。
地方財政硬直化の要因は、景気浮揚策による公共事業の増発に対する公債費であり、国の政策に地方が協力を余儀なくされたことが主な要因であると言える。地方交付税の総額抑制などによる一方的な地方財政の圧縮は、国の財政赤字を地方、とりわけ財政力の弱い団体に負担転嫁するものであり容認できない。
今、めざすべき方向は、地方財政計画策定や交付税算定段階から地方が参画し、地方税の充実強化、地方交付税制度の財源保障機能と財源調整機能を堅持し、地方自治体の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額を確保することである。
2007年度佐賀県当初予算においては「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」を踏まえ策定されたが、県税収は三位一体改革の影響などで14.4%増と大幅に伸びたものの、法人関係税は全国レベルと比べ10%低い水準で伸び悩んでおり、6月補正予算後においても、財源不足が110億円生じて基金取り崩しで対応している。
このような状況下、住民に身近なところで政策や税金の使途決定、住民意向に沿った自治体運営ができるように、2008年度政府予算において、地方財政の充実・強化をめざし、政府に対し下記事項について強く要望する。
記
1 国:地方の税源配分5:5の実現に向けて、さらなる税源移譲と国庫補助負担金の改革を進め、地方自治の確立と分権改革の基盤整備につながる税財政制度の改革を進めること。その際、税源移譲と税源の偏在是正を不可分とし、地域間の偏在性が少ない地方税体系の構築を図ること。
2 国が法令に基づく事業実施を自治体に義務づけ、自治体間の財政力格差が大きい現状においては、地方交付税制度の財源保障と財源調整の機能を堅持し、自治体間の安定的な財政運営に必要な一般財源総額を確保すること。
また、地方交付税を国の一般会計を通すことなく、特別会計へ直入することなどにより、「地方共有税」へ改め、名実ともに地方の固有財源とすること。
3 地方分権改革・地方財政の充実強化にあたっては、地方の参画が何より重要であることから、政府と地方六団体が協議を行う「地方行財政会議」を法律により設置することとし、その設置までは、「国と地方の協議の場」を開催し、政府と地方が十分協議を行いながら進めること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成19年 月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 河 野 洋 平 様
参議院議長 江 田 五 月 様
内閣総理大臣 福 田 康 夫 様
内閣官房長官 町 村 信 孝 様
総務大臣 増 田 寛 也 様
財務大臣 額 賀 福志郎 様
経済財政政策担当大臣 大 田 弘 子 様
以上、意見書案を提出する。
平成19年10月4日
提出者 全 議 員
佐賀県議会議長 石 丸 博 様
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