去る6月27日、佐賀地方裁判所は、有明海沿岸4県の漁業者らが求めていた国営諫早湾干拓事業潮受け堤防の撤去・排水門の常時開放を求める訴訟において、原告の主張を受け入れ、判決の確定の日から3年以内に潮受け堤防の排水門を開放し、以後5年間にわたって開放を継続することを命じる画期的な判決を言い渡した。
判決では、潮受け堤防の締め切りと湾内及び湾内周辺の環境悪化には相当の因果関係があることを推認し、中・長期開門調査を除いて潮受け堤防による影響の科学的知見を得る手段は見いだしがたいにもかかわらず、漁民らにこれ以上の立証を求めることはもはや不可能を強いるものであり、中・長期開門調査の実施を拒んで因果関係の立証に協力しようとしない国の姿勢を、「立証妨害」と同視できるものであり、訴訟上の信義則にも反するものである旨糾弾している。
有明海の再生については、「有明海八代海再生特別措置法」が制定され、これまで種々の施策が講じられてきたが、今も有明海異変は続き、貝類資源をはじめ漁獲量は回復していない。漁業被害などの有明海異変と諫早湾干拓事業との因果関係を明らかにするには、潮受け堤防排水門の中・長期開門調査が不可欠であることは明らかである。
農林水産省は、今回の判決を重く受け止め、控訴を断念し、速やかに開門して中・長期開門調査を実施し、有明海・諫早湾の環境改善と水産業振興に向けて、政策を転換するべきである。
「豊饒の海、宝の海」有明海を蘇らせるため、常時開門することが沿岸漁業者の願いであり、漁業者とともに有明海再生を願う本議会も、ここに、中・長期の開門調査の早期実施を強く要請するものである。
以上、決議する。
平成20年 7月 日
佐 賀 県 議 会
以上、決議案を提出する。
平成20年 7月 3日
提出者 全 議 員
佐賀県議会議長 石 丸 博 様