労働者派遣制度の普及は、企業利益を一時的に向上させたが、他方では生活困窮者と将来不安におののくワーキングプアをふやし、賃金・労働条件の水準を全般的に低落させ、企業内における技能、技術の蓄積の衰退、消費の低迷、社会保障の支え手の崩壊につながり、展望をなくした労働者の自殺や犯罪などを引き起こしている。
現行の労働者派遣制度の抜本改正及び事業規制と労働者保護の強化は、貧困と格差の拡がりの中で待ったなしの状況となっている。
「派遣法改正案」が閣議決定され、臨時国会に上程されているが、日雇い派遣の禁止や不安定雇用の是正、低賃金の是正、登録型派遣の禁止には必ずしもつながっていない。国におかれては派遣労働を臨時的、一時的な業務に限ることとし、雇用破壊の現状を転換する法改正にむけて審議を尽くされるよう下記の点を求める。
記
1 派遣労働者の権利保護(差別禁止、均等待遇、雇用の安定、賃金保
障、福利厚生)をおこない、派遣は臨時的、一時的なものとし、直接雇
用の原則を守り常用代替と登録型派遣は禁止すること。
2 派遣元事業主の許可基準を厳格化し、貸金業との兼業は禁止するこ
と。
派遣元がその労働者の2分の1以上を特定の企業に派遣する「もっぱ
ら派遣」を禁止すること。
3 派遣先の雇用責任を強化すること。
派遣労働者が加入する組合の団体交渉に応じることや、労働保険、
社会保険料の使用者負担分についても派遣先も負担すること。
妊娠・出産・育児・介護のための保障措置は派遣元のみでなく、派遣
先も責任をおうこと。
有給休暇についても派遣元と派遣先が責任をもって取得させる措置
を講じること。
派遣先での労働災害においても、派遣元と派遣先の共同責任にする
こと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成20年12月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 河 野 洋 平 様
参議院議長 江 田 五 月 様
内閣総理大臣 麻 生 太 郎 様
厚生労働大臣 舛 添 要 一 様
以上、意見書案を提出する。
平成20年12月18日
提出者 牛嶋博明 太田記代子 末安善徳 内川修治 徳光清孝
藤崎輝樹 武藤明美 宮崎泰茂
佐賀県議会議長 石 丸 博 様
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