来年度から、市町村国保や健康保険組合などの医療保険者に、40歳から74歳を対象とするメタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した特定健診・特定保健指導が義務付けられる。高齢者医療確保法では、この特定健診・特定保健指導の実施率などの成果に応じて、75歳以上の後期高齢者医療制度を支えるために保険者が拠出する支援金額を増減させる規定が設けられている。
しかし、実施率が低い保険者に対する支援金の増額は、合理的な理由を欠くペナルティに他ならず、保険加入者の健康を保持するための健診・保健指導を、高齢者医療費削減の手段として位置付けるべきではない。
また、従来の老人保健法による健康診査等は市町村が主体であったため、集団健診より訪問医療・訪問介護に重点を置き換え、国保医療費を低く推移させるなど実績を上げている自治体もある。国の基本方針に沿った特定健診等の実施を押し付けることは、地方分権に反するやり方である。
一方、メタボリック・シンドロームの診断基準は、2006年4月の日本内科学会総会で異論が続出し、米国糖尿病協会、欧州糖尿病研究協会は2005年9月に共同声明を出し、「批判的に吟味すべき、科学的エビデンス(根拠)がない」と指摘している。痩せ型の内臓脂肪肥満が健診対象から外されること、逆に不必要な受診・投薬による医療費の増加なども懸念されている。
よって、国においては、特定健診・特定保健指導について抜本的な見直しを強く要請し、下記の通り求めるものである。
記
1 特定健診・特定保健指導の実施率が低い保険者に対し、後期高齢者医療制度を支えるために保険者が拠出する支援金を加算する仕組みをやめること。
2 特定健診・特定保健指導の精度や安全性について充分な点検を
行い、その基準について適宜適切な見直しを図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成19年12月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 河 野 洋 平 様
参議院議長 江 田 五 月 様
内閣総理大臣 福 田 康 夫 様
厚生労働大臣 舛 添 要 一 様
以上、意見書案を提出する。
平成19年12月14日
提出者 牛嶋博明 増本亨 太田記代子 末安善徳 内川修治
徳光清孝 藤崎輝樹 武藤明美 宮崎泰茂
佐賀県議会議長 石 丸 博 様
|