少子・高齢化の進展、医療ニーズの多様化などわが国の医療をとりまく環境は大きく変化し、地域や診療科における医師の不足や偏在及び看護師をはじめとした医療スタッフの不足の解消は大きな課題となっており、地域医療サービスをめぐっては「医療過疎」や「医療の貧困」ともいえる状況に直面している。
しかしながら、政府と経済財政諮問会議などによる「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(いわゆる骨太の方針)2008」案では、「06年方針に則り最大限の削減を行う」として、急速な少子高齢化の中で増大せざるを得ない医療サービスや医療保険財政などの社会保障費を5年間で、国の一般会計予算ベースで1兆1,000億円削減する方針を踏襲している。
また、昨年12月には、公立病院改革ガイドラインが出され、経営形態の見直しや再編・ネットワーク化など含めて、各自治体に年度内の改革プラン策定を求めている。
県内においても、6月26日に公立病院の今後のあり方を議論する「検討委員会」が設置されたが、へき地医療・周産期医療・高度先進医療・救急医療など採算性が取れない医療サービス、いわゆる政策医療を支えてきた公立病院の存続が危ぶまれている。
地域医療は、住民の生命・健康に直結する不可欠なライフラインの公共サービスであり、国民が安心と信頼の上に地域医療にアクセスできる医療提供体制を確保することは、国の責務でもあると言える。
このため、全国民が安心で信頼できる医療を地域で受けられるための政策及び財政措置を講じることをめざし、政府に下記内容を要請する。
記
1 崩壊の危機に直面している地域医療を守る医療財源の確保を確
実にはかること。
2 地域医療を担う医師・看護師・助産師などの確保と養成のために必要な財政的支援体制を国が行うこと。
3 病院事業にかかる地方交付税措置については、不採算地区病院、小児・救急・精神科・へき地・高度・周産期医療、追加費用などについて、その所要額を確実に確保すること。
このうち、不採算地区病院については、市町村合併後における不採算地区の範囲について必要な検討を行い、引き続き所要の財政支援措置を講じること。
4 「公立病院改革プラン」の策定に当たっては、公立病院の使命を
十分に勘案し、地域住民が安心して身近に受けられる地域医療の確
保の観点から、住民・利用者・医療関係従事者などの意見を十分に
踏まえて策定・実施すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成20年 7月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 河 野 洋 平 様
参議院議長 江 田 五 月 様
内閣総理大臣 福 田 康 夫 様
総務大臣 増 田 寛 也 様
財務大臣 額賀 福志郎 様
厚生労働大臣 舛 添 要 一 様
以上、意見書案を提出する。
平成20年 7月16日
提出者 全 議 員
佐賀県議会議長 石 丸 博 様
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