少子化が進行する中、次世代育成支援のために保育所制度の拡充が有効であることは、これまでも度々指摘されている。そのためにも、保育所において保育の質がしっかり確保され、新たな時代の要請に即した機能や役割が十分果たされることが重要である。
現在、政府の地方分権改革推進委員会や規制改革会議などにおいては、保育を経済効率の観点からとらえ、市場原理に基づいた保育所への直接契約制度の導入や入所要件及び最低基準の見直しなどの保育制度改革論議が行われている。これにより、本来福祉政策であるはずの保育制度に市場原理が導入され、保育業界に過度の競争を引き起こして無用の混乱や不安を招き、その結果、子どもの最善の利益を失うことが懸念される。
よって、国におかれては、子どもの立場に立ち、かつ、地方の実情を踏まえたうえで、保育の質をしっかり守った保育制度を維持するよう、下記事項について強く要望する。
記
1.保育制度においては、真に子どもの最善の利益が確保されることが必要であることから、地方財政にも配慮し、十分な財源補償を行ったうえで、保育の質をしっかりと確保できるよう制度を維持すること。
2.現行の保育所入所方式は、保護者にとって公平感と安心感があり、また、真に保育を必要とする子どもが排除されない優れた仕組みであることから、直接契約制度及び直接補助制度は導入しないこと。
3.子どもの福祉の後退を招く保育所最低基準の見直しは、行わないこと。
4.制度の改革に当たっては、保育所利用者や保育事業者等関係者が納得できるような仕組や基準を確保すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成21年3月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 河 野 洋 平 様
参議院議長 江 田 五 月 様
内閣総理大臣 麻 生 太 郎 様
総務大臣 鳩 山 邦 夫 様
厚生労働大臣 舛 添 要 一 様
以上、意見書案を提出する。
平成21年3月24日
提出者 牛嶋博明 太田記代子 末安善徳 内川修治 徳光清孝 藤崎輝樹
武藤明美 宮崎泰茂
佐賀県議会議長 石 丸 博 様
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