諫早湾干拓潮受堤防排水門の中・長期開門調査の早期実施を求める意見書(案)
有明海の再生については、「有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律」が制定され、これまで種々の施策が講じられてきた。しかしながら、今も有明海異変は続き、タイラギをはじめとする魚介類の漁獲量は総じて減少し続けるなど、漁業者の経営は逼迫した状況が続いている。
また、ここ数年、安定した生産が行われてきたノリ養殖についても、昨年度漁期は、本県西南部海域では珪藻赤潮による色落ちが発生して非常に厳しい漁期となるなど、地域間格差が生じている。
有明海の漁業者の深刻な実態を鑑みると、有明海の再生は「待ったなし」の状況にあると言わざるを得ない。
一方、佐賀地裁の諫早湾干拓潮受堤防排水門の開放を命じる判決を受けての昨年7月10日の農林水産大臣談話において、「開門調査のための環境アセスメント」を実施するとしたことは、中・長期開門調査を実施しないとした、国のこれまでの姿勢を転換したものであり、開門調査実施に向け第一歩を踏み出したものと言える。
このような中、去る8月5日には、環境アセスメント方法書が公表され、具体的な手続きが始められたが、このままでは開門調査の実施までに6年~7年もの年月を要するとも言われている。
我々が望むものは、国が一日でも早く中・長期の開門調査を実施し、有明海の再生と沿岸の水産業、農業の振興を図ることであり、下記のことを強く要望する。
記
1 国は、開門調査を確実に実現するため、環境アセスメントの中で、開門調査の実施による環境変化の予測・評価を、これまでのデータ蓄積も活かしながら客観的かつ科学的に明らかにすることにより、関係者の共通認識を醸成し、農林水産大臣談話にある「関係者の同意」につなげるよう最大限の努力を払うこと。
2 国は、環境アセスメントの実施に当たって、国、関係自治体及び地元漁業団体、学識経験者等からなる協議会を設置するなどして、十分検討すること。
3 国は、漁業と農業、防災を両立させ、一日も早い開門調査を実現すること。そのために、影響が確実に予測される「農業生産」や「背後地の防災」については、その影響の具体的な回避・低減措置を早急に検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成21年10月 日
佐 賀 県 議 会
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫 様
衆議院議長 横 路 孝 弘 様
参議院議長 江 田 五 月 様
農林水産大臣 赤 松 広 隆 様
環境大臣 小 沢 鋭 仁 様
水産庁長官 町 田 勝 弘 様
農林水産省九州農政局長 宮 本 敏 久 様
以上、意見書案を提出する。
平成21年10月2日
提出者 全 議 員
佐賀県議会議長 留守茂幸 様
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