県政運営の抜本的改善と県議会に対する信頼回復を強く求める決議(案)
今回のアラブ首長国連邦に佐賀牛を不正輸出していた件に関し、法令違反を行ったこと及び県議会との信頼関係を大きく損なったことに対し、強い憤りを感じている。
まず、知事及び県は県議会並びに県民に対して事実と異なる答弁を繰り返し、農林水産省に対しても、違法性を認識していないという報告をなされたことに対し、再調査と補助金返還を命ぜられ、そのことを契機に住民監査請求が起こり、外部による「牛肉輸出問題再調査チーム」の報告書により、それが完全に虚偽のものであったことが明らかになった。
それと同時に、「佐賀県職員措置請求監査報告書」の公表により、県職員が植物検疫法に基づく輸出入検査も受けずに6回にもわたって果物などの輸出入を行っていた事実も明らかになった。
このように、率先して法を守るべき県職員が法令違反であることを認識しながら当該行為に及んだことは、県政に対する信頼を失墜させるものである。さらに、外部再調査チームと住民措置監査請求報告書がなかったら、そのまま隠し通していこうという姿勢の表れと言わざるを得ない。
ひいては、県議会と行政執行のあり方の最も基本的なことをないがしろにするという、まさしく「県民軽視」、「議会軽視」そのものであり、今後の議案や行政執行部の答弁そのものの信頼を欠く何ものにほかならない。すなわち、県民の負託を受け、行政に対するチェック機能を果たさなければならない県議会との関係を根底から崩壊させ、深刻な状況を招いたもので、知事の政治的・道義的責任は大きい。
これまでも、対県議会、対県民への説明責任の欠如というより、知事の県政のキーワード「オープン」というそのものの否定につながるような幾多の問題があった。知事の県政に対する姿勢、議会に対する姿勢共に深く反省を求め、二度とこのようなことがなされないことを強く求めるものである。
特に今回の事態に至ったことは、一般質問でも多くの議員が指摘しているとおり、知事のトップダウンによる意思決定と性急さ、さらには対外的なアピールの重視など、知事の行政手法そのものが主因となっており、地に足をつけた行政運営を怠った結果であると言わざるを得ない。
知事は平成15年から昨年度までにすでに6回にわたって自らの責任として給与の減額条例を制定しているにもかかわらず、またしても同じことが繰り返されたことは、危機管理意識及び当事者意識が欠如していると言わざるを得ず、まったく反省の色が感じられない。このような異常なことは、議会としては金輪際許されるものではない。それを肝に銘じて反省し、今後、県民の声に耳を傾けることに努力し、職員が自由にものが言える職場づくりに努めるよう求める。さらに、抜本的な再発防止策とコンプライアンス体制の確立を図り、組織運営の見直しを含めた知事の行政手法を改め、県民の信頼を早急に回復し、議会からも信頼できる行政の姿を確立することを強く求める。
以上、決議する。
平成21年10月 日
佐 賀 県 議 会
以上、決議案を提出する。
平成21年10月2日
提出者 全 議 員
佐賀県議会議長 留 守 茂 幸 様
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