政府は、第164通常国会において「医療制度改革関連法」を成立させ、2012年3月末で12万床の介護療養病床を廃止し、2006年現在23万床ある医療療養病床(回復期リハビリテーション病棟を除く)を15万床に削減することとした。
しかし、一昨年厚生労働省がまとめた都道府県の「療養病床アンケート調査」では、日中・夜間とも自宅では介護できる人がいないとの回答が、「医療療養病床」54.3%、「介護療養病床」61.4%にものぼっている。
また、同調査では、医療療養病床における医療区分1のうち、最低でも59.7%の患者が「都道府県が例示した医療措置」を実施しており、介護療養病床における医療区分1のうち、最低でも58.4%が「都道府県が例示した医療措置」を実施していることが判明している。
こうした中で、医療療養病床については、今年都道府県が策定した2012年度の療養病床の目標数が現在の医療療養とほぼ同じ22万床となり、医療現場や患者の状況を踏まえて、政府はこれを追認し全国医療費適正化計画に盛り込んでいる。
しかし、介護療養病床の廃止について、現場や患者からはその中止を求める声も根強い。
介護療養病床の転換先として、介護療養型老人保健施設などが示されているが、介護療養型老人保健施設は、夜間の医師や看護職員の配置が手薄くなるなどの課題が多く、拙速に介護療養病床が廃止されれば、どこにも行き場のない、いわゆる「医療難民」、「介護難民」がでてくることが懸念される。
ついては、地域住民が、いつでも、どこでも安心して必要な医療及び介護を受けられるようにするために、介護療養病床の廃止について再検討されることを要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成20年12月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 河 野 洋 平 様
参議院議長 江 田 五 月 様
内閣総理大臣 麻 生 太 郎 様
厚生労働大臣 舛 添 要 一 様
以上、意見書案を提出する。
平成20年12月18日
提出者 全 議 員
佐賀県議会議長 石 丸 博 様
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