2006年4月から施行された障害者自立支援法により、障害者福祉の現場は未だに混乱が収まらない状況にある。特に、障害者施設や居宅支援の利用にかかる応益負担(定率1割)の導入は、障害者の生活を直撃し、施設からの退所、サービス利用の制限などの形で、生活水準の低下を引き起こしている。また、サービス事業所も、報酬単価の引き下げや日払い化によって、経営難に陥り、職員の賃下げや非常勤化、離職、閉鎖など、福祉サービスの低下や縮小が深刻化している。
政府は、障害者自立支援法に関連し、2008年度までの特別対策として、利用者負担の軽減措置や事業者への激変緩和措置を行い、さらに、この特別対策を2009年度以降も継続し、障害児のいる世帯への軽減策などを上乗せするとしている。これらについては、一定の評価をするものの、緊急避難的な処置に過ぎない。
そもそも、法施行から1年も経ずに、特別対策が必要となる事態に追い込まれ、さらに2年を経ずに、特別対策の継続と上乗せが必要となる事態は、障害者自立支援法そのものの制度設計に無理があり、抜本的な改正を免れないということである。
2006年12月、国連総会で「障害者の権利条約」が全会一致で採択され、2007年9月、日本は同条約に署名を行っている。世界の潮流に鑑み、真に障害者に対する差別を撤廃し、障害者の自立と社会参加を求める立場から、下記の処置を講ずるよう強く求める。
記
1 利用者負担は応益(定率)負担ではなく、負担できる能力に応じた応
能負担を原則とすること。また、利用料の算定に当たっては、本人収入
のみに着目すること。
2 指定障害福祉サービス事業者等に対する報酬を月割制へ戻し、概ね
障害者自立支援法施行以前の収入を保障すること。
3 障害者が地域で人間らしく生きていけるように、社会基盤整備につい
て立法措置を含めた拡充策を進めること。また、自治体が支給決定し
たサービスや地域支援事業について、財源保障を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成20年12月 日
佐 賀 県 議 会
衆議院議長 河 野 洋 平 様
参議院議長 江 田 五 月 様
内閣総理大臣 麻 生 太 郎 様
厚生労働大臣 舛 添 要 一 様
以上、意見書案を提出する。
平成20年12月18日
提出者 牛嶋博明 太田記代子 末安善徳 内川修治 徳光清孝
藤崎輝樹 武藤明美 宮崎泰茂
佐賀県議会議長 石 丸 博 様
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